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【ブエルタ速報】アントン落車で棄権! 首位はニーバリに

レース

第65回ブエルタ・ア・エスパーニャは、9月11日にブルゴスからカンタブリア地方のペーニャ・カバルガまでの178kmで第14ステージを競った。ゴール手前6km、集団で落車が発生。リーダージャージのマイヨ・ロホを着た地元スペインのイゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ)が巻き込まれ、途中棄権するという、まさかのアクシデントが発生した。区間はホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ)が優勝。総合首位には区間2位入ったイタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(リクィガス・ドイモ)が浮上した。

この日は36km地点でオランダチャンピオンのニキ・テルプストラ(ミルラム)がアタック。ガーミン・トランジションズのデービッド・ミラーとデービッド・ザブリスキーが合流し、3人で逃げ続けた。104km地点で3人は最大12分55秒差を付けたが、セルヴェロ、ケスデパーニュ、カチューシャの働きでその差は縮まっていった。残り6kmで発生した落車には、アントンの他に彼のチームメートのエゴイ・マルティネスやマルツィオ・ブルセギン、リゴベルト・ウラン(ケスデパーニュ)も巻き込まれてしまった。マルティネスは鎖骨骨折の疑いがあり、すぐに救急車で病院へ搬送された。マイヨ・ロホがボロボロになるほどの落車に遭ったアントンは救急車には乗らずチームカーに乗り込んだ。アントンはリタイア後、落車の状況についてこう語っている。「ボクは単独で落車した。穴か、障害物にぶつかったんだと思う。両手はハンドルバーを離していた。ボクは立ちつくして、あちこち血だらけになっているのを見たけど、どこに自分がいて、何が起きているのかわからなかった。本能的に自転車に乗ろうとしたけど、そのとき自分の右ヒジが曲がらないことに気がついた。チームドクターが飛んで来て、ボクの腕を触ってこういったんだ。そのことはもう忘れろ。骨折してるから、って」アントンが落車した場所は広い道路だったが下り坂だったため、集団の時速は80km/hに達していた。ブルセギンはレースに復帰したが、17分以上遅れてゴール。総合トップ10から脱落してしまった。

レースリーダー棄権のカオスをよそに、先頭は最後のペーニャ・カバルガの上り坂に突入。テルプストラが最後まで抵抗しつづけたが、残り2kmを切ってから捕まってしまった。メイングループから残り1.5kmでニーバリがアタック。すぐにロドリゲスが追走し、観客の波をかき分けながら2人でフラムルージュを通過した。残り800メートルで道幅が広くなった瞬間に、ロドリゲスが後方から加速すると、ニーバリにはもう食らいつく余力は残っていなかった。ロドリゲスはそのまま単独でゴール。ニーバリに20秒差を付けてゴールしたが、マイヨ・ロホには届かなかった。

「アンドラと同じ失敗はしなかった。チャンスを得て差を付けられる最後の瞬間まで待ったんだ。今回は頭でレースをしたよ。多分アンドラでは過信していた。今日は戦術を変えて、それが上手く行った。明日はラゴス・デ・コバドンガの上り坂で、注意深く走らなければならないだろう。悪い1日になるはずだ。警戒しなければならないのはニーバリだけではない。まだブエルタで勝てる選手は何人かいるからね」と、区間優勝したロドリゲスは語った。落車で棄権したアントンについては「アントンにとって、こんな風にブエルタが終わってしまったのは可哀想だった。彼と彼のチームは強かった。落車は見えてなかった。ただ音が聞こえただけだった。みんなが上りの前で、いいポジションに付きたかった。だからとてもスピードが出ていたんだ。リーダージャージが落車したのは知らなかったよ」と、説明していた。この日、右目を押さえてゴールしたロドリゲスは、レース中に右目を何らかの虫に刺されてしまった。状態はわからないが、表彰式には患部を隠すように黒いサングラスを着用して現われている。

アントンのリタイアでマイヨ・ロホを獲得したニーバリは「アントンのことは悲しい。彼のリタイアはゴール後に知った。落車でリーダージャージを失うのはどんなものなのかよくわかるよ。ボクも今年のジロで経験したからね。ブエルタのリーダーには別の形でなりたかったけど、このジャージは辞退しないよ。スポンサーも尊重しなければならないからね。ロマン・クロイツィーゲルの素晴らしい働きのおかげだった。区間優勝するためにベストを尽くしたけど、山岳賞のバナーとゴールを勘違いしてしまったんだ。それに気がついたとき、ロドリゲスがボクを追い越していった。でもボクは自分のリズムで走ることにしたんだ。明日はまた特別な日だ。ボクはまた最高のクライマーたちと一緒にいられるようにトライするよ。そのあとで、素晴らしいTTができるといいね」と、語っている。

第15ステージは、ラゴス・デ・コバドンガにゴールする山岳ステージが行われる。(foto: Unipublic/Graham Watson)

■第14ステージ[ブルゴス→ペーニャ・カバルガ/9月11日/178km]
1 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)        4時間26分43秒
2 ビンチェンツォ・ニーバリ(リクィガス・ドイモ/イタリア)           +20秒
3 エセキエル・モスケラ(シャコベオガルシア/スペイン)             +22秒
4 ダビー・モンクティエ(コフィディス/フランス)                +33秒
5 ニコラス・ローチ(AG2R・ラモンディアル/アイルランド)          +34秒
6 フランク・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)          +35秒
7 シャビエル・トンド(セルヴェロテストチーム/スペイン)            +39秒
8 ダビド・ガルシア(シャコベオガルシア/スペイン)               +43秒
9 ピーテル・ベリッツ(チームHTC・コロンビア/スロバキア)          +45秒
10 トーマス・ダニエルソン(ガーミン・トランジションズ/米国)        +1分29秒
15 カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム/スペイン)          +1分42秒
99 マルツィオ・ブルセギン(ケスデパーニュ/イタリア)+17分02秒
■第14ステージまでの個人総合成績[マイヨ・ロホ]
1 ビンチェンツォ・ニーバリ(リクィガス・ドイモ/イタリア)     60時間55分39秒
2 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)              +4秒
3 エセキエル・モスケラ(シャコベオガルシア/スペイン)             +50秒
4 シャビエル・トンド(セルヴェロテストチーム/スペイン)            +50秒
5 ニコラス・ローチ(AG2R・ラモンディアル/アイルランド)        +2分11秒
6 フランク・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)        +2分12秒
7 ピーテル・ベリッツ(チームHTC・コロンビア/スロバキア)        +2分29秒
8 トーマス・ダニエルソン(ガーミン・トランジションズ/米国)        +3分29秒
9 ルベン・プラサ(ケスデパーニュ/スペイン)                +3分41秒
10 カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム/スペイン)          +3分52秒
[各賞]
■ポイント賞:マーク・カベンディッシュ(チームHTC・コロンビア/英国)
■山岳賞:ダビー・モンクティエ(コフィディス/フランス)
■コンビネーション賞:ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)
■チーム成績:ケスデパーニュ(スペイン)
(http://www.lavuelta.com/)