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【ツール速報】 シュレックがメカトラ! コンタドール首位

レース

第97回ツール・ド・フランスは、7月19日にパミエからバニェール・ドゥ・ルションルベルまでの187.5kmで、ピレネー山岳2日目の第15ステージを競い、終盤のポルト・ド・バレス峠でマイヨ・ジョーヌのアンディ・シュレック(チームサクソバンク)が、アタックを仕掛けた直後に自転車のチェーンが外れるアクシデントに見舞われ、総合争いのグループから脱落。39秒遅れてゴールし、総合首位の座をアルベルト・コンタドール(アスタナ)に明け渡してしまう結果となった。区間はフランスチャンピオンのトーマ・ボークラー(Bボックス・ブイグテレコム)が逃げ切って優勝している。

第15ステージは175選手が出走。スタートからアタックがつづいたが、逃げ出せる選手はいなかった。93km地点でルーク・ロバーツ(チームミルラム)がトライしてやっと集団から7人が抜け出した。メンバーはロバーツ、ブライアン・バンボア(リクィガス・ドイモ)、ヨハン・バンスンメレン(ガーミン・トランジションズ)、セルゲイ・イワノフ(チームカチューシャ)、アレッサンドロ・バッラン(BMCレーシングチーム)、フランチェスコ・レダ(クイックステップ)、アラン・ペレス(エウスカルテル・エウスカディ)。95km地点でボークラー、セバスティアン・テュルゴー(Bボックス・ブイグテレコム)、ロイド・モンドリ(AG2R・ラモンディアル)の3人が合流し、逃げグループは10人になった。残り61km、アレス峠山頂でサクソバンクがコントロールする集団と10人のタイム差は10分に開いていた。集団では、第9ステージで負傷していたマイヨ・ジョーヌのカデル・エバンズを献身的にアシストしていたイタリアのマウロ・サンタンブロージョ(BMCレーシングチーム)が途中リタイアした。

終盤にそびえるカテゴリー超級のポルト・ド・バレス峠の、19.3kmつづく登坂が始まったとき、10人のタイム差は11分近くあった。ボークラーは山頂まで8km地点でアタック。単独でゴールを目指すことを選択した。集団ではマイヨ・ジョーヌのシュレックが加速したが、コンタドール、サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ)、デニス・メンショフ(ラボバンク)、ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット)がきっちり付き従った。2度目のアタックにも、総合2位から5位までが反応。シュレックは一度攻撃の脚をゆるめ、5人は集団に戻った。山頂まで3km地点で、シュレックがふたたびアタック。有力選手の集団から抜け出そうと試み、アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)がくらいつこうとした瞬間、シュレックはペダルを止めてしまった。そのまま止まったマイヨ・ジョーヌの自転車は、チェーンが外れてしまっていた。シュレックの不運に気づく術などないメイングループからは、メンショフ、S・サンチェス、コンタドールが抜け出し、ポルト・ド・バレス峠の山頂を4分15秒前に通過したボークラーの後を追った。

ポルト・ド・バレス峠の下り坂で、シュレックはバンデンブルークとともに前を追い上げたが、結局追いつくことはできず、コンタドールの集団から39秒遅れでゴールしている。マイヨ・ジョーヌの悲劇をよそに、ボークラーはピレネー山岳区間で逃げ切って区間優勝。フランスチャンピオンのツール区間優勝は、1994年のジャッキー・デュラン以来だった。「自分がスタシオン・デ・ルセ(第7ステージ)で4位になった以上に好調だと知っていた。今年のツールでは、本当に厳しいときもあった。ガップの区間が、もしも高い山がつづくステージだったら、ボクは今頃家にいただろう。けれどボクにはグランツールに12回参加している経験があって、ひどい日もあるけど、そのあとには調子が戻ってくるのをよく知っている。チームの若い連中がくよくよしているときには、いつも言ってることなのさ。今朝、ボクはクリストフ・ケルンとパリのことを考え始めるって話してた。けれど今日の序盤で、ボクたちは2人とも攻撃を試みていて、それがすごく士気を高めたんだ。最後に、ボクの脚はとても調子がよかったのさ」と、区間優勝したボークラーは語っている。

思わぬ展開で総合首位の座に立ち、表彰台で念願のマイヨ・ジョーヌを受け取る時にはブーイングを浴びせられる目に遭ったコンタドールは「アンディ・シュレックのトラブルは何も知らなかった。それに気がついたときには、ボクはもう先行していた。唯一目にしたのは、彼がアタックを始めて、そのあとでペースダウンしたところだった。自転車に問題があったなんて気がつかなかったよ。ボクがアタックしたのは、トラブルの前だった。ボクたちは友好的な関係を持っているし、スポーツ上でも同じだ。とくにスパであったこと(第2ステージで落車で遅れたシュレック兄弟と他の選手たちを集団は待った)を思い出せばわかるだろう」と、アクシデントについて語っている。

一方、マイヨ・ジョーヌを失い、明日からは新人賞のマイヨ・ブランを着ることになるシュレックはこう語った。「ボクは今、本当に怒っている。ボクはツールマレーで自転車から落ちるまで走って、このレースに全力をつくすだろう。今朝ボクは、兄にダウンヒルではどんな危険も冒さないと約束していた。けれど、ボクはかなりのスピードで下ったと思う。ボクはタイムをたくさん失いたくなかったからだ。これは起きてしまったことだ。そして起きることすべてには理由があるものさ。みんな言いたい放題だけど、アルベルトはスパでボクを待ってくれた選手の1人だったってこともわかっているはずだ。あれは本当にすばらしいフェアプレーの象徴だった。今日はまた別のストーリーで、別のシナリオだった。けれど、ツールはまだ終わってないよ」

ピレネー3日目の第16ステージは、バニェール・ドゥ・ルションからポーまでの199.5km。スタートしてすぐにカテゴリー1のペイルスールド峠とアスパン峠を越え、今年最初のツールマレー(標高2115m)越えに挑む。ゴールは後半に標高1709mのオービスク峠を越え、長い下り坂を下った後にある。

■第15ステージ[7月19日/パミエ→バニェール・ドゥ・ルション▲▲▲▲/187.5km]
1 トーマ・ボークラー(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)     4時間44分51秒
2 アレッサンドロ・バッラン(BMCレーシングチーム/イタリア)       +1分20秒
3 アラン・ペレス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)         +1分20秒
4 ロイド・モンドリ(AG2R・ラモンディアル/フランス)          +2分50秒
5 ルーク・ロバーツ(チームミルラム/オーストラリア)            +2分50秒
6 フランチェスコ・レダ(クイックステップ/イタリア)            +2分50秒
7 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)              +2分50秒
8 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)      +2分50秒
9 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +2分50秒
10 ブライアン・バンボア(リクィガス・ドイモ/デンマーク)          +2分50秒

12 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)        +3分29秒
13 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)      +3分39秒
15 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +3分29秒
16 ライダー・ヘスイェダール(ガーミン・トランジションズ/カナダ)      +3分55秒
17 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +3分55秒
19 ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ/チェコ)          +4分08秒
21 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)           +4分08秒
■第15ステージまでの総合成績
1 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)          72時間50分42秒
2 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)           +8秒
3 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)      +2分00秒
4 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +2分13秒
5 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)      +3分39秒
6 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +5分01秒
7 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +5分25秒
8 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)           +5分45秒
9 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)          +7分12秒
10 ライダー・ヘスイェダール(ガーミン・トランジションズ/カナダ)      +7分51秒
11 ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ/チェコ)          +7分58秒
12 ルイスレオン・サンチェス(ケスデパーニュ/スペイン)           +8分19秒
13 カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム/スペイン)          +9分02秒
14 イバン・バッソ(リクィガス・ドイモ/イタリア)              +9分15秒
■マイヨ・ジョーヌ:アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)
■マイヨ・ベール :アレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア)
■マイヨ・アポワ :アントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)
■マイヨ・ブラン :アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■チーム成績   :チームレディオシャック(米国)
(http://www.letour.fr/)