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【ツール速報】 アルプスでシュレック優勝/エバンズ首位

レース

第97回ツール・ド・フランスは、7月11日にスタシオン・デ・ルセからモルズィヌ・アボリアズまでの189kmでアルプス山岳2日目の第8ステージを競い、ルクセンブルクのアンディ・シュレック(チームサクソバンク)が、スペインのサムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ)との一騎打ちを制して区間優勝した。3位には10秒遅れでロベルト・ヘシンク(ラボバンク)が入った。総合優勝を狙う選手たちはヘシンクと同じグループでゴールし、世界チャンピオンのカデル・エバンズ(BMCレーシングチーム)がマイヨ・ジョーヌを獲得。この日、ラマズ峠でメイン集団から脱落したランス・アームストロング(チームレディオシャック)は11分45秒遅れでゴールし、38歳の夏の挑戦は幕を閉じた。日本の新城幸也(Bボックス・ブイグテレコム)は、27分49秒遅れのグルッペットでゴールして区間146位、総合は51分17秒遅れの122位になった。

第8ステージは186選手が出走。今年初めて序盤で逃げが決まらない、ナーバスな展開になった。6km地点で落車が発生し、アルカンシエルのエバンズ、マイヨ・アポワのジェローム・ピノー(クイックステップ)、ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ)が巻き込まれたが、全員集団に復帰した。アームストロングは、このときは路肩の草むらに逃げ込んで落車は免れた。28km地点でマリオ・アールツ(オメガファルマ・ロット)がアタックし、コース・ムーレンハウト(ラボバンク)、クリストフ・リブロン(AG2R・ラモンディアル)、イマノル・エルビティ(ケスデパーニュ)、セバスティアン・ミナール(コフィディス)、アマエル・モワナール(コフィディス)が合流。5人は110km地点で最大7分差を付けて逃げ続けた。この日は、最初の1時間の平均時速が50.8km/hで、今年最速を記録している。

133km地点でアームストロングが落車したが、4人のチームメートに守られて集団に復帰した。しかし、ツールを7度制した王者は、ゴールへと向うモルズィヌ・アボリアズ峠の前に設定されていたラマズ峠の登坂でメイン集団から脱落。そのままマイヨ・ジョーヌ争いの集団に返り咲くことはできなかった。

残り34.5km、ラマズ峠の山頂で逃げを追うメイングループは30人程度の精鋭に絞られ、アスタナがコントロールし続けていた。アームストロングはすでにこの山頂で3分15秒、マイヨ・ジョーヌを着たシルバン・シャバネル(クイックステップ)は4分45秒遅れていた。2つのカテゴリー1の峠の間にあった、カテゴリー3のレ・ジェ峠の山頂直前で、アームストロングは再度落車に巻き込まれ、足止めをくらってしまった。

残り14km、モルズィヌ・アボリアズ峠のふもとでアールツ、ムーレンハウト、モワナールの3人はまだ先頭を逃げ続けていたが、ゴールへと向うカテゴリー1の峠でメイン集団に捕らえられた。ダニエル・ナバロ(アスタナ)が牽くメイン集団は15人ほどになっていたが、残り3.5km地点でブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ)が脱落。英国人は結局この日、1分45秒遅れでゴールしている。残り2km、クロイツィーゲル、ヘシンクが抜け出そうと試みたが失敗し、最後はフラムルージュを越えたあとでシュレックが満を持してアタック。サンチェスだけが付き従ったが、最後はマイヨ・ブランのシュレックが両手を上げてゴールラインを通過した。

「アタックできて、それにコンタドールが付いてこられなかったのがわかったことはすごくやる気が出る。すべてが完璧に運んで、ボクにとってはファンタスティックな区間優勝だ。むずかしいだろうが、チームはボクを信頼できるし、ボクは彼らにパリまで闘い続けると約束する。自転車から落ちるまで闘い続けるよ。できるかぎり早くマイヨ・ジョーヌ姿を見せたいけど、それはピレネーになるだろうね」と、区間優勝したアンディ・シュレックは喜びを語った。

アルカンシエルからマイヨ・ジョーヌに着替えたオーストラリアのエバンズは「ボクはこれが本当に信じられない。多分カメラは最初の数キロで起きた落車を撮影してなかっただろう。ボクは地面にひどく叩き付けられたけど、幸い衝撃を受けたのは腕で、脚ではなかった。けれど、あれは厳しい1日をより厳しいものにした。結局シュレックは行ったけど、ボクはちょっとためなければならなかった。ゴールは風が判断を難しくさせ、簡単な区間ではなかったけど、現時点でボクは素晴らしいポジションにいる。ボクはコンタドールにタイム差を付けてるからね。ボクたちの歴史を考えれば、それはいいことさ」と、語った。

7月12日はモルズィヌ・アボリアズで、今年最初の休養日となる。アルプス山岳最終日の第9ステージは、13日にモルズィヌ・アボリアズからサンジャン・ドゥ・モーリエンヌまでの204.5kmで競われる。序盤にカテゴリー1のコロンビエール峠を越え、中盤には同じくカテゴリー1のセズィー峠越え、そして終盤にはいよいよ今年最初のカテゴリー超級、標高2000mのマドレーヌ峠を越えなければならない。しかし、アルプス最終日は頂上ゴールではなく、ゴールのサンジャン・ドゥ・モーリエンヌはマドレーヌ峠を下った先にある。

■第8ステージ[7月11日/スタシオン・デ・ルセ→モルズィヌ・アボリアズ▲▲▲▲/189km]
1 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)     4時間54分11秒
2 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)
3 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                  +10秒
4 ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ/チェコ)            +10秒
5 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)                +10秒
6 カデル・エバンズ(BMCレーシングチーム/オーストラリア)          +10秒
7 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)        +10秒
8 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)           +10秒
9 イバン・バッソ(リクィガス・ドイモ/イタリア)                +10秒
10 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                   +10秒
11 カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム/スペイン)            +10秒
19 ブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ/英国)              +1分45秒
27 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)          +2分23秒
61 ランス・アームストロング(チームレディオシャック/米国)        +11分45秒
■第8ステージまでの総合成績
1 カデル・エバンズ(BMCレーシングチーム/オーストラリア)    37時間57分09秒
2 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)          +20秒
3 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)              +1分01秒
4 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)      +1分03秒
5 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +1分10秒
6 ライダー・ヘスイェダール(ガーミン・トランジションズ/カナダ)      +1分11秒
7 ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ/チェコ)          +1分45秒
8 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +2分14秒
9 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)      +2分15秒
10 マイケル・ロジャース(チームHTC・コロンビア/オーストラリア)     +2分31秒
11 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +2分37秒
12 カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム/スペイン)          +2分40秒
13 イバン・バッソ(リクィガス・ドイモ/イタリア)              +2分41秒
14 ブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ/英国)              +2分45秒
15 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)          +3分05秒
39 ランス・アームストロング(チームレディオシャック/米国)        +13分26秒
■マイヨ・ジョーヌ:カデル・エバンズ(BMCレーシングチーム/オーストラリア)
■マイヨ・ベール :トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)
■マイヨ・アポワ :ジェローム・ピノー(クイックステップ/フランス)
■マイヨ・ブラン :アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■チーム成績   :ラボバンク(オランダ)
(http://www.letour.fr/)