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小林海(マリノ)の体当たりスペインロードレース参戦記 第2回

レース
どうも!!「小林海の体当たりスペインロードレース参戦記」第2回目です!前回の記事で1月は雨から南の方に逃げると言っていましたが、思いのほか今年は天気がよく、まだカンタブリア地方のシセロという小さい町にいます。相変わらずオスカルの家に居候してます(笑)。
 
新ジャージを試した時にチームに撮られ“編集”された写真(笑)
 
でも今週こそ南に下ります。1月16日金曜日の予定。Alicante(アリカンテ)という街に行きます。この周辺、半径50km圏内のいろんな街に世界各地からたくさんのプロ選手がトレーニングに来ています。
この時期、寒いのはまだ絶えられますが、さすがに雨に降られるとしんどいですからね。温暖で雨の少ない地域にみんな集まってきます。スペイン国内の有力な同世代の選手もたくさんいるので、モチベーションも最高に!

・しっかり上げていきますよ!
そんな、モチベーションは最高の僕の現状はというと、12月にこっちに来てから本格的にトレーニングを始めたため、最初はかなーりしんどかったのが、ようやく自分の想像どおりの動きになってきてる感じ。パワーメーターの数値はまだまだ昨シーズンのベスト時に比べると大変低いですが、まあこれからこれから!
巡航時のパワーはしっかり出てるので、少しずつインターバルトレーニングを行ない、2月下旬のシーズン開幕に向けて調整していく予定です。

・アマチュアでもコーチをつける
練習風景。左は昨年のU23シクロチャンプのジョナタン・ラストラ。右はおなじみオスカル
 
トレーニングについては前回少し話しましたが、個人でコーチについていて4週間ごとにトレーニングメニューを組んでもらっています。人に決められて、毎日やることが決まっているのが嫌いな選手もいますが、僕にはこれが向いてると思っています。
基本的にはメニューどおりにやればいいわけで、難しいことを考えなくても大丈夫。なにより迷いがなくなります。トレーニングのことを考えるのは好きですが、やはり自分で考えるのと、プロコーチが考えるのでは全然違います。そして迷いがある状態では、トレーニングに集中できません。
たまに自分の体の具合を考慮して、トレーニングをアレンジしたりすることはありますが、基本的には何でもコーチに相談します。
スペインのプロ選手やプロ志望の若手選手にとって、これがスタンダードです。U23のチームなどでも強豪チームだと、専属のコーチがいて、選手たちのトレーニングメニューを組んでいます。
たまーに自分で考えていたり、感覚に従ってトレーニングしてる天才的な選手もいますが。代表的な例ですと3回世界チャンピオンに輝いたオスカル・フレイレです。彼はスピードメーターすら使わず、己の感覚のみを頼りにトレーニングしていたみたいです。やっぱり3度世界王者になった人は違いますね・・・(笑)
 
トレーニングの合間に一息美味しいコーラとトルティーヤ
 
という感じでトレーニングを行なっているので、たまにSNSなどで「どんなトレーニングをしているんですか?参考にしたいので教えてもらいたいです!」とやる気満々のホビーレーサーや年下の選手に聞かれるんですが、うまく答えられてません。すみません(笑)

・シーズン前はやっぱりシクロクロス!
 
シクロクロスを走るサムエル・サンチェス
 
もう1つ今回みなさんにお伝えしたいお話はこれ!シクロクロススペイン選手権を観に行ってきました!場所は隣のアストゥリアス地方のGijon(ヒホン)という大きな街。サッカーチームのスポルティング・ヒホンの本拠地です。
ちなみに僕が今年所属するチームも、街は違うが同じアストゥリアス地方。僕はOviedo(オヴィエド)というこれまた大きな街。オリンピック金メダリストで、ツール山岳賞のサムエル・サンチェスもここに住んでいます。
9日金曜日から11日の日曜日までの3日間。初日は地方対抗戦を観戦。エリート、U23、ジュニア、マスター、女子の各カテゴリー1人ずつを各地方が選び、リレーみたいな感じで戦います。これがなかなか白熱。スペインは地方同士の対抗意識が強いため、運動会の最後のリレーみたいな感じで盛り上がってました!
2日目の土曜は自転車を持って行ったので午前中は軽く練習し、お昼からはホテルに所属チームであるCONSTRUCUCCIONES PAULINO CYCLING TEAM(コンストゥルクシオネス パウリーノ サイクリングチーム、Inteja MMRというプロチームの下部組織)の監督2人が来てくれて、正式な契約書にサインしたり今シーズン使用するジャージのサイズ合わせをしたり、チームの方針や今シーズンのレースカレンダーなどの話をじっくりしました。
プロの下部チームなので、夏ごろに2、3人スタジエール(研修生)としてトップチームに送り、その中の少なくとも1人は来年はプロに確実に通れるとのこと。チャンスは全員平等なのでこりゃあ頑張るしかない!とこれまたモチベーションマックスに。そのまま夜のGijonを楽しんできました!(笑)
そして日曜日。メインイベントのエリート男子。観客もとっても多い。スペインはあまりシクロクロスが盛んなイメージはないですが、ジュニアまではロードと両立させる選手も多いので、想像以上に盛り上がっていました。
メンバーも豪華で、MTBで世界チャンピオンになったことのあるホセ・アントニオ・エルミダも出場。そしてなんといっても今回の目玉はサムことサムエル・サンチェス!じつは僕もサムを観に来ました!
 
・サンチェスが覚えてくれていた!
サムとは2013年に来日した時に会うことができて、知り合いました。前日コースにいたサムに声を掛けたら、覚えていてくれてうれしかった!
「サム!誰だか覚えてる!?」と聞いたら「おいまじかよ!覚えてるよ!マリノだろ!観に来たのか??お前、電話番号教えたろ!来るなら電話してくれよ!!」と。
そして僕が住むチームの宿舎にサムの家が近いみたいなのでOviedoに行ったら、一緒に練習する約束をして、日曜日頑張れよ!とちょっと話ができました。その時の写真を撮り忘れるという痛恨のミス・・・。
 
1位のアイトル・エルナンデス
 
レースは1位は前評判の高かったアイトル・エルナンデスが圧勝し、期待されてたホセ・エルミダは3位。サムはウェットな泥に苦しみかなり後退してしまいました。あんなに脚があり、テクニックもあるサムがこんな順位かあ、シクロ選手はすごいなあと痛感させられたレースでした。
さて、今回はこの辺で!次回こそは温暖なリゾート地の写真をお送りします!(笑)
 
連載第1回はこちら!
連載第3回はこちら!



●小林海
「海」と書いてマリノと読む。スペイン人の父と日本人の母を持つハーフで今年20歳。U23二年目のヨーロッパで トッププロを目指すロード選手。自転車歴は2年10ヶ月程と短いですが、遅く始めたのはハンデでは無くもはやアドバンテージだと思って日々楽しんで自転車ロードレースをやっています。自転車に乗り始めたきっかけなんとダイエット!
自転車ロードレースという競技自体はその頃から知っていましたが、最初は84kgという巨体をどうにかするために乗り始めました。自転車は体への負担が少なく痩せやすいと知っていたので。そして3ヶ月で20kgの減量に成功。そうして走る中で、自分が以外にも速いんじゃないか?と思い始め、思い切ってレースの世界へ。
2012年全日本実業団カテゴリーE2、3の3デイズ・熊野でステージ1勝&総合優勝、経済産業大臣旗杯ユースカテゴリー優勝。2013年JPTジャパンプロツアーに参戦。JPT群馬CSCロードレース15位、その後そして夏に2ヶ月間スペインで修行。帰国後のJPT経済産業大臣旗23位。