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【ツール速報】 エバンズがケガで脱落! シュレックが首位

レース

第97回ツール・ド・フランスは、7月13日にモルズィヌ・アボリアズからサンジャン・ドゥ・モーリエンヌまでの204.5kmで、アルプス最終日の第9ステージを競い、200km近くを逃げ切った地元フランスのサンディー・カザー(FDJ)が、小集団のゴールスプリントを制して区間優勝した。2位はルイスレオン・サンチェス(ケスデパーニュ)、3位はダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ファルネーゼビーニ)だった。この逃げ集団には、残り1kmを切ってから総合2位でマイヨ・ブランのアンディ・シュレック(チームサクソバンク)と、アルベルト・コンタドール(アスタナ)が合流し、区間優勝したカザーと同タイムでゴール。マイヨ・ジョーヌのカデル・エバンズ(BMCレーシングチーム)は、マドレーヌ峠越えで脱落し、8分以上遅れてゴールしたため、シュレックが総合首位に立った。ゴール後、エバンズは一昨日の落車で左ヒジを骨折していたことを公表している(詳細はコチラ)。

第9ステージはウラジミール・カルペツ(チームカチューシャ)、ロジャー・クリューゲ(チームミルラム)、ファビオ・フェッリーネ(フートン・セルベット)、サイモン・ゲランズ(チームスカイ)が出走せず、182選手がスタート。序盤でマルクス・アイベッゲルもリタイアし、ツール初参加選手ばかりのフートン・セルベットは、早くも3選手がツールを去っている。カルペツは第2ステージの落車で左手を負傷。その時の検査では骨折は見つからなかったが、休養日に行った精密検査で、手のひらの骨の骨折が見つかっている。クリューゲは第8ステージの落車で右手の舟状骨を骨折、ゲランズは同日の落車で腕を骨折している。

5km地点でマイヨ・ベールのトール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム)と、マイヨ・アポワのジェローム・ピノー(クイックステップ)を含めた12選手がアタック。ヒュースホーウトは最初の中間スプリントをトップで通過したあと落車し、集団に戻った。46km地点、カテゴリー1のコロンビエール峠はクリストフ・モロー(ケスデパーニュ)、ピノー、アントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム)、カザー、L・サンチェス、シリル・ゴティエ(Bボックス・ブイグテレコム)、イェンス・フォイクト(チームサクソバンク)、ホセイバン・グティエレス(ケスデパーニュ)、リナルド・ノチェンティーニ(AG2R・ラモンディアル)の順で通過。上りで先頭集団から遅れていたヨハネス・フローリンガー(チームミルラム)に、後続から追いついてきたクネゴとレイン・ターラマエ(コフィディス)が加わり、下りで先頭の9人に合流。12人で先頭集団を形成した。

終盤、25.5kmつづくマドレーヌ峠のふもとで、12人のアドバンテージは6分以上あったが、カテゴリー超級の上り坂で逃げ集団は分裂。山頂ではシャルトー、クネゴ、L・サンチェス、カザーの4人だけが生き残っていた。マドレーヌ峠の山頂をトップで通過したシャルトーは、ここで脱落したピノーから山岳賞のマイヨ・アポワを奪い取っている。ゴールまで残り44km、メイン集団ではマドレーヌ峠の中腹でアスタナとサクソバンクが加速すると、エバンズが脱落。手負いのマイヨ・ジョーヌは、そのままトップ集団に復帰することはできなかった。それを合図にするかのように、先頭からシュレックがアタック。コンタドールが反応し、2人で山頂を目指した。途中、逃げ集団から脱落していたフォイクトが合流し、シュレックのアシストをする場面もあった。マドレーヌ峠山頂を、先頭の4人から2分20秒遅れて通過したシュレックとコンタドールには下りでモローが合流。3人はゴール手前600メートルで先頭の4人に追いつくドラマティックな展開を演じたが、最後の区間優勝争いに絡むことはなかった。

混戦のゴールスプリントを制して区間優勝した31歳のカザーはこう語った。「最初の1週間が厳しかったから、総合成績で良い結果を得る望みを失ってしまった。だからその瞬間から、このステージのことを考えいていた。ボクに合っていたからね。上り坂はキツかったけど、ゴールが頂上ではないからボクには好都合だった。2008年のジョーズィエールで、シリル・デセルの後ろで2位になって以来、ボクはこのタイプのゴールに対する準備を、より綿密にしている。もしボクが勝利のチャンスを得られるとしたら、それは最後から2番目のコーナーだってわかっていたんだ。けれど、シュレックが追いついて、すぐに先頭立つなんて思ってもいなかった。だからボクは彼を追い越すことに全力を尽くしたんだ。その時、残り200メートルだと思っていたけど、実際には350メートルだった。その瞬間、今まで何度も味わった2位の記憶が甦っていた。ボクは去年サン・ジロンで打ち負かされていたL・サンチェスが怖かった。クネゴがとても速いのも知っていた。でも残り200メートルで、ボクは負けられないという思いに導かれて全力を尽くした。サンチェスはマドレーヌ峠の上りのツケが回ってきてたんだと思うよ」カザーのツールでの区間優勝は、2007年につづいて2度目。しかし、昨年のツールでドーピング陽性になったミケル・アスタルロサに負けて2位になった第16ステージの繰り上げ優勝を入れれば、3度目になる。

アルプス最終日に、思いがけずマイヨ・ジョーヌを獲得したルクセンブルクのA・シュレックは「エバンズにとってはドラマティックな一日だったろうけど、それはボクのせいじゃない。実際にはいいステージだった。序盤からハードだったけど、ボクはとても好きだ。選手たちはアタックをし続けて、今日は本当のレースみたいだった。ボクたちはフォイクトを逃げに送り込んでいて、彼は素晴らしい働きをしてくれた。彼には何とお礼を言っていいのかわからない。それからC・セーレンセンとフグルサングはボクのために集団の先頭で働いてくれた。その前にはカンチェッラーラ、オグレディ、N・セーレンセン。みんなが今日はファンタスティックだった。彼らがボクのジャージの一部なんだ」と、喜びを語った。「区間1勝して、今はこのジャージも獲得した。素晴らしいよ。今、ボクはマイヨ・ジョーヌで、コンタドールに40秒差を付けている。他の選手たちにはかなりの差だ。ボクはもう、たった1人の選手だけ注意してればいいのサ」

■第9ステージ[7月13日/モルズィヌ・アボリアズ→サンジャン・ドゥ・モーリエンヌ▲▲▲▲/204.5km]
1 サンディ・カザー(FDJ/フランス)                5時間38分10秒
2 ルイスレオン・サンチェス(ケスデパーニュ/スペイン)
3 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ファルネーゼビーニ/イタリア)
4 クリストフ・モロー(ケスデパーニュ/フランス)                 +2秒
5 アントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)          +2秒
6 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)                 +2秒
7 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)           +2秒
8 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)        +52秒
9 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)           +2分07秒
10 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +2分07秒

11 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +2分07秒
13 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +2分10秒
15 イバン・バッソ(リクィガス・ドイモ/イタリア)              +2分50秒
18 ランス・アームストロング(チームレディオシャック/米国)         +2分50秒
19 ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ/チェコ)          +3分48秒
20 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)          +3分48秒
27 カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム/スペイン)          +4分55秒
30 ブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ/英国)              +4分55秒
42 カデル・エバンズ(BMCレーシングチーム/オーストラリア)        +8分09秒
■第9ステージまでの総合成績
1 アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)    43時間35分41秒
2 アルベルト・コンタドール(アスタナ/スペイン)                +41秒
3 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)      +2分45秒
4 デニス・メンショフ(ラボバンク/ロシア)                 +2分58秒
5 ユルフン・バンデンブルーク(オメガファルマ・ロット/ベルギー)      +3分31秒
6 リーバイ・ライフェイマー(チームレディオシャック/米国)         +3分59秒
7 ロベルト・ヘシンク(ラボバンク/オランダ)                +4分22秒
8 ルイスレオン・サンチェス(ケスデパーニュ/スペイン)           +4分41秒
9 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)           +5分08秒
10 イバン・バッソ(リクィガス・ドイモ/イタリア)              +5分09秒

11 ロマン・クロイツィーゲル(リクィガス・ドイモ/チェコ)          +5分11秒
13 アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ/カザフスタン)          +6分31秒
15 カルロス・サストレ(セルヴェロテストチーム/スペイン)          +7分13秒
16 ブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ/英国)              +7分18秒
18 カデル・エバンズ(BMCレーシングチーム/オーストラリア)        +7分47秒
■マイヨ・ジョーヌ:アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■マイヨ・ベール :トール・ヒュースホーウト(セルヴェロテストチーム/ノルウエー)
■マイヨ・アポワ :アントニ・シャルトー(Bボックス・ブイグテレコム/フランス)
■マイヨ・ブラン :アンディ・シュレック(チームサクソバンク/ルクセンブルク)
■チーム成績   :ケスデパーニュ(スペイン)
(http://www.letour.fr/)