ニュース

小林海(マリノ)の体当たりスペインロードレース参戦記 第1回

レース
●スペインからこんにちは!
どうも。これから毎月数回、みなさんにスペインのコアな自転車事情から、選手の私生活、食事、日常などをお伝えして行く小林海です。
まずは自己紹介から入ろうと思います。「海」って書いてマリノと読みます。スペインの父と日本の母を持つハーフで今年20歳。U23二年目のヨーロッパでトッププロを目指すロード選手です。自転車歴は2年10ヶ月程と短いですが、遅く始めたのはハンデでは無くもはやアドバンテージだと思って日々楽しんで自転車ロードレースをやっています。
そんな僕の自転車を始めた理由。最初はダイエット(笑)自転車ロードレースという競技自体はその頃から知っていましたが、最初は84kgという巨体をどうにかするために乗り始めました。自転車は体への負担が少なく痩せやすいと知っていたので。そして3ヶ月で20kg痩せました! 今考えると短期間で痩せすぎですが。ま、結果オーライ!
そのダイエット期間中は荒川サイクリングロードを走っていました。荒川を走ってると方はわかると思いますが、とにかく抜かす抜かされたでやたらと競ってくる人が多いんです(笑)もちろん僕も競うのは好きなので競ってました。でもすぐに敵無しになり、「あれ? 俺、実は強いんじゃね?」と思い始め、レースの世界に入りました。
2012年の3月から実業団でレースを初め、その年のカテゴリーE2、3の3デイズ・熊野でステージ1勝&総合優勝し経済産業大臣旗のユースカテゴリーで優勝。翌年の2013から国内最高峰カテゴリーのJPTジャパンプロツアーに参戦。4月のJPT群馬CSCロードレースで15位、そして夏に2ヶ月間スペインで修行。帰国後のJPT経済産業大臣旗23位。

●所属チームはプロチームの下部組織だった!
今年2014年はスペインのバスク地方のU23チームSOPELA-S.D.UGERAGA(ソペラ・S.D.ウヘラガ)に所属し、1シーズンスペインで走りました。来期の2015シーズンもスペインで走るために既にスペインに来ています。来期はCONSTRUCUCCIONES PAULINO CYCLING TEAM(コンストゥルクシオネス パウリーノ サイクリングチーム)というU23とエリート混同のアマチュアチームで走ります。こっちに来て気付いたんですが、実はプロチームの下部組織でした!(笑)
 
●よくある質問 
さて、ここからが本題です。よく、「選手はこの時期太るって聞くけど、それって本当?」と質問されることがあります。この時期の選手はシーズン中より 5kg以上太っている選手が多いです。日本の選手もオフシーズンは太ると思いますが、こっちの選手はそれ以上です。いい意味でも悪い意味でもオンとオフの 切り替えがしっかりしてるからです。太る理由はシーズン中の節制から解放され、リラックスしてるということもありますが、体重が増えるとその分筋肉も増え るので、そのためにも太ります。
 
到着した夜に、太ったみんなでピザを食べに行きました!右奥がシクロクロスU23スペインチャンプのジョナタン・ラストラ、左奥がコンタドールが作った世界トップクラ スのU23チームのメンバーでカンタブリア地方チャンピオンのオスカル・リナレス。そして左手前がオスカルの兄でスペインの自転車情報サイトで記事を書くハビエル。 右手前は僕。
 
そして筋トレと自転車でのトレーニングを並行させて筋肉、パワーを残しながら脂肪を落とすという作業に入るのです。どうしてもシーズン中は、節制しながらキツいレース、トレーニングを行なうと筋肉も少しずつ減少してしまうからです。なのでスペインに到着して最初にあった友人たちもシーズン中よりはだいぶ肥えてます(笑)僕も7kg太ったので、「お前はマリノか、マリノを食ったなにかなのかどっちだ?」なんて言われる始末(笑)。これからしっかり絞って行くので心配しないでくださいね!

●よりよいコンディションでシーズンインを迎えるために
そしてなぜこんな早くから、12月からスペインに行ってるんだろう?と思った方もいると思います。それはこっちでしっかりトレーニングを積んで、シーズン に入りたいからです。こちらでのシーズン初戦はだいたい2月の中旬から下旬。シーズン序盤に照準を定めてる選手達は初戦で既にめちゃくちゃ速いです。
 
練習の一幕。左はコンタドールのチームのオスカル!右はわからない!笑


スペインでは2月の初戦から4月までの2ヶ月間、コパエスパーニャというアマチュアのスペイン最高峰のシリーズ戦が行なわれます。その後5月くらいから夏をピークに各地でステージレースが行なわれます。そしてバスク地方では2月から9月の終わりまで、ほぼ毎週末重要なレースが行われています。コパエスパーニャを狙う選手、ステージレースを狙う選手とそれぞれですが基本的にかなり仕上がった状態でみなシーズンに入っていきます。
強い選手はシーズン序盤に勝ちを量産して、すぐにプロ契約を決めて、リラックスしてその後のレースをこなしたいという思惑の選手たちもいるからです。夏にコンディションのピークをもっていきたくても、あんまりにもコンディションが低いとレースで地獄を見るからです。僕も最初にピークを持ってきたいわけではないんですが、今年のシーズン序盤に地獄を味わったのでそれを避けるためです。
 
僕が今居候させてもらってるオスカルの家で、飼ってる小鳥が逃げてしまって捕獲している場面!(笑)

それでこっちに来た訳です。でも日本でも練習できるだろ!と思う方もいるかと思います。しかし荒川の一番端の橋の近くに住む僕には、とてもじゃないけど日本はいい環境とは言えないし、今年こっちで知り合ったプロ選手や世界トップクラスのU23の選手である友人たちとトレーニングができるからです。基本的にこっちでは集団でトレーニングします。個々でコーチについていますが、自分のメニューをやる時にはそこから離脱し、終わればまた合流する。という感じです。
日本だとあまりこういうトレーニングはできませんし、ましてやグランツールなどの世界最高峰のレースを走っている選手とトレーニングなんて無理です。僕みたいな若手選手には同世代のトップ選手、世界トップクラスのプロ選手と走ることはとても勉強になりますし、日々モチベーションが上がっていきます。そしてなにより楽しく充実したトレーニングを積めます。
僕の今滞在しているカンタブリア地方はこの時期雨が多いので、1月からはスペインの南の方にみんなで合宿をしに行く予定です。温暖な地域でガンガン練習していきますよ!
 
連載第2回はこちら!