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サイクルトレイン「B.B.BASE」試乗イベントで館山を往復してきた!

次世代型のサイクルトレインとしてJR東日本が来年1月から運行する「B.B.BASE(ビー・ビー・ベース)」。

12月5日に両国からルートの一部である館山まで実際に運行、モデルコースとして推奨されているコースの一部を試走するモニターツアーが開催された。今最も注目を集めるサイクルトレインの旅を、一足先にお届けする。

 
text:大城実結
presented by JR東日本

JR東日本が新たな''自転車×電車旅''を提案

両国駅を発車して内房線を経由。一路、館山を目指す
両国駅を発車して内房線を経由。一路、館山を目指す

かつて房総への玄関口だったJR両国駅3番線ホームから旅はスタートする。まず驚かされたのがホームへの経路だ。「B.B.BASE」に乗車する時は、通常のように改札を通過してホームへ向かうのではなく、3番線ホーム直結のスロープを利用する。JR担当者曰く「どの発着駅でも階段を昇り降りする必要がないように考案した」とのこと。

そう、「B.B.BASE」は従来のサイクルトレインとは大きく構想が異なる。既存の車両へ自転車の持ち込み許可がされたのが従来のサイクルトレインであるのに対し、本車両は新たな”自転車×電車旅”の提案を前提に、車内設備はもちろん乗車までの駅構内の経路や、現地でのサイクリング(自由行動)時間を鑑みた行き帰りの運行ダイヤが組まれている。つまり「B.B.BASE」は車両の名前である以前に、JR東日本がリリースする新しい旅のスタイルなのだ。
 
風情ある駅舎の両国駅
風情ある駅舎の両国駅
車内の様子。サイクルラックとシートがずらり
車内の様子。サイクルラックとシートがずらり

そんな中で一番注目したいのが、各座席(全席指定)後方に設置されたサイクルラックである。従来のサイクルトレインでは自転車を自身で支えるケースが主流だったが、本車両では乗客それぞれにサイクルラックが用意されている。このラックは本車両のために開発されたもので、3ステップで設置できるという手軽さ、そして走行中の横揺れに対する強い耐久性を持つという。

百聞は一見にしかず、さっそく実践した。最初のガイドフレームを引き出した瞬間に、なるほどそういうことかと合点がいった。手軽に設置できる一方で、ラック自体にずしりとした重量感がある。試しに設置した自転車を揺らしてみても、しっかりと固定されている。他の乗客も「こんなに簡単に設置できるのに、安定感バツグンだね」と驚きを隠せない様子だった。

しかし乗車前に必ず確認しておきたいのが、搭載可能な自転車の規格だ。タイヤ外径18~29インチ、タイヤ幅49mm以下、重量15kgと一般的なロードバイクは搭載可能なものの、前後輪に泥除けがついているものやブロックパターンのタイヤのバイクなど搭載ができない車種もある。「乗車予約の前に一度公式サイトで確認をしてほしい」と担当者からも念入りにアナウンスがあった。
 
バイクを縦にしてフロントホイールをラックにかけ、ダウンチューブをベルトで固定する
バイクを縦にしてフロントホイールをラックにかけ、ダウンチューブをベルトで固定する
ラックにはシート番号が大きく書かれているので、自分の席がどこかすぐにわかる
ラックにはシート番号が大きく書かれているので、自分の席がどこかすぐにわかる

出発予定時刻となり、とうとう走り出す「B.B.BASE」。館山までの約2時間半の電車旅がはじまった。今回のモニターツアーは館山行きだったが、実際の運行では内房・外房・佐原・銚子の合計4箇所、毎週末ごと異なるエリアへ向かう。各地の見どころを盛り込んだモデルコース通り走るのはもちろん、それぞれの目的に合わせて好きなようにコース設定が可能となっている。

今回訪問した館山コースは温暖な気候の中、開放感溢れる海岸線を疾走できる快走コース。洲崎灯台や野島崎灯台をはじめ、房総フラワーラインや国道の駅ちくら潮風王国など、立ち寄りスポットも充実していた。

車窓から見える風景が穏やかな田園風景に変化し、青く眩しい内房の海が広がれば館山はもう近い。乗車から2時間半後、館山駅に到着するなり、誰もが手早く愛車を引き出し房総の地へ走り出していった。

この日は突き抜けるほどの快晴だった一方で暴風が吹き荒れていた。行きは向かい風に脚を消耗し、帰りは追い風に乗って海岸線を疾走。短時間のツーリングではあったが、体力的にも充実度的にも十二分の魅力を感じることができた。

 
館山駅は道路と同じ高さのホームに到着するので、階段を利用する必要がなかった
館山駅は道路と同じ高さのホームに到着するので、階段を利用する必要がなかった


そして「B.B.BASE」の魅力が最大限に発揮されるのは、まさに”復路”であることを体感した。愛車を設置し、広々としたボックス席に疲れた体を投げ出せば、両国駅まで一直線。もちろん途中、輪行袋を担いでホームを行き来する必要もない上に、ラッシュの時間帯に申し訳ない思いをすることもない。復路で感じていた輪行ツーリングでの障壁を一掃する「B.B.BASE」はまさに、自転車乗りのための最新鋭のBASE(基地)だった。

しかし一方「手探り状態の部分も多い」という。例えば運行スケジュールに関しても、現行で発表されているのはあくまでも来年1月から3月までのものであり、それ以降は実際の運行状況を見てより良い方向にシフトするなど、サイクリスト目線でサービスを発展させていく予定だ。「B.B.BASE」の企画者でもありサイクリストのJR広報担当者は「自転車旅の新たな一手となれば嬉しい」と話した。

そんな「B.B.BASE」が運行を開始するのは2018年1月6日。夕日に染まる房総の風景に旅情を感じながら、一足先に自転車×電車旅の可能性の広がりを感じた。

 
B.B.BASEを利用した旅行商品にも登場する「ホテルファミリーオ館山」で昼食。房総のリゾート感
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帰りには館山駅で売られている1日限定30個の駅弁「くじら弁当」をゲット
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往復の車窓からは東京湾を間近に感じることができる
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B.B.BASEの詳細、申し込み方法は専用ホームページへ