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eバイクの盛り上がりを見逃すな! サイクルモード登場モデルを一挙に紹介

2017年11月3日から5日の三連休に幕張メッセにて開催された「サイクルモードインターナショナル2017」は、自転車の最新プロダクツが一堂に会する自転車業界内で最大のイベントだ。そして今年最も盛り上がりを見せたジャンルの一つといえるのが、電動アシスト付きスポーツバイク、すなわち「eバイク」であり、各社から様々なモデルが発表された。専用の試乗コースも設けられたので、それらのファーストインプレッションをお届する。
 
text:江里口恭平 photo:吉田悠太、江里口恭平

シマノ

シマノのeバイク専用コンポーネント、ステップス
ミヤタ・CRUISE
ギザロ・GHISALLO E305(仮称)
ルイガノ・モデル名未定
2018年から日本国内に向けデリバリーされるシマノのeバイクコンポーネント「ステップス」。サイクルモード2017のシマノブースではステップスの大々的な展示を行い、製品を紹介するとともにミヤタサイクル、ギザロ、ミズタニ自転車、ルイガノなど各ブランドから発表された同ユニット搭載eバイクを展示した。

その特徴としては、スポーツ走行に向けた高出力の8000系ドライブユニットと、ユーザビリティの高い6000系コントロールユニットを組み合わせることで、多くの人に本格的なeバイクの乗り心地が楽しめるという点。その開発にあたっては、バイシクルコンポーネントブランドとして、MTBプロライダーからのフィードバックを生かしたライドフィールを追求したとのことだ。

上記の展示されたバイクはそれぞれのブランドより発売するため、航続距離など詳細や発売時期は異なっている。しかし来春に発売が決定しているバイクもいくつか含まれており、今回シマノとしては試乗車を出すことはなかったが、メーカーブースで試乗が可能なモデルが用意された。
 

ミズタニ自転車

ミズタニ自転車・セラフE01S 価格:38万円(税抜)
上記のステップスを搭載した、ミズタニ自転車のeバイク「セラフE01S」。このセラフというモデル名は、同社が昭和20年代ごろから生産していたロードレーサーなどに付けられ、同社のオリジナルモデルの流れを汲むという理由から復活したものだ。

フレームのジオメトリはグラベルロードバイクに近しいものを採用しており安定感を重視した。タイヤはスリックタイプの700×32Cで、グリップやサドルに快適性を重視したパーツを選ぶことで、通勤や街中でのサイクリングに最適なクロスバイクタイプとなっている。ディスクブレーキや変速系統にはMTB用のシマノ・デオーレグレードに統一されており抜かりがない。全体の重量は17.5kgだ。

フロントギアには44Tを搭載。ステップスのラインナップとしてその歯数には32Tや38Tが存在しているが、これもメーカー側が開発段階で選定することになる。その他eバイクとしてのフレームの設計にあたって は、重量のあるバッテリーやドライブユニットを搭載しつつ乗り心地にに違和感をなくすように配置を工夫。これによって実際に試乗した時のコーナリングの挙動や高速域での安定感に貢献している。

筆者はこれまで何度かステップスに試乗をしてきたが、アシストの効きとしては、自身の踏み込みに対する反応の良さが評価できるだろう。スポーツバイクに乗り慣れている人なら、ペダルの踏み込みの強弱がアシストにそのまま生きてくるので、自分の思いのままにバイクを扱っているという感覚を損なうことがない。バイク全体に関しては、ハンドル操作が非常にスムーズかつ、細かいコーナーにおいても重心の低さから安定する。時速24kmを越えてアシストが止まってからの高速巡航は一般的なクロスバイクに近しい感覚だ。

すでにスポーツバイクに乗っている人ももちろんだが、アシストを搭載することによってこれまで以上に気軽にスポーツバイクを始めることができる一台に仕上がっている。
 

BESV

ベスビー・JR1:29万7000円(予価)
ハンドルのドロップに設けられたアシスト操作スイッチ
トップチューブにLED表示を兼ねたメインスイッチを内蔵。ハンドルに取り付けられたパネルでバッテリー残量を確認できる
ダウンチューブに内蔵されたバッテリー(プロトタイプ)
これまで都市部でのコミューターに向けた小径モデルやシティバイクタイプのeバイクを発売してきたBESV(ベスビー)は、今回のサイクルモードでeロードバイクとeMTBの2台を発表した。

eロードバイクの「JR1」は、アルミ製のフレームに自社開発のリアドライブユニットを搭載。タイヤサイズは700×25Cでシマノ・105の油圧ブレーキ、リアディレイラーはR8000アルテグラを採用し、重量は15.5kgと軽量に仕上がっている。この仕様で約100km以上の航続距離を持つ。
左右のハンドルドロップ部にそれぞれ操作ボタンが取り付けられており、右側でアシストアップ、左側でダウンの操作。モードはエコ・スマート・ターボの3段階に切り替えが可能だ。

トップチューブにはメインスイッチがあり、この部分が3段階に発光することでその時のアシスト状態を確認することができる。紫色に発光したスマートモードはその時の踏み込む力に合わせてアシストを自動でコントロールしてくれるので、航続距離とアシストのベストバランスとなる。
 
シマノ・ステップスを搭載したカーボンフレームのeMTB、ベスビー・TRS-1
形状は普段から乗っているロードバイクそのもの。リアドライブ方式ということで、ダイレクトに路面へアシストが伝わる。他の方式に比べてアシストのロスが少なく、後輪からぐんぐん進んでいくので、アシストによる加速が効いているのがよく実感できる。リアホイールに重量があるというのは、まるで「ロードバイクに乗っていて、重いホイールを履いているだけ」かのように思えるので、アシストが切れた速度域でも全体のもたつきを感じさせにくくなっている。

これまでの他社のリアドライブ形式は、ペダルの回転とホイールの動きにムラができがちで、モーターによって勝手に動いているかのような感覚があった。しかしベスビーはセンシングやモーター制御を得意としており、ペダルの動きととモーターがきっちり連動して常に一定のアシストフィールを感じさせてくれる。自転車を操る上でストレスを感じさせにくいので、十分にスポーツライドを楽しむことができるだろう。

ヤマハ

ヤマハ・YPJ-XC
ヤマハ・YPJ-ER
YPJ-Rの2018年モデルカラー
自社でフレームからドライブユニットまでを開発するヤマハは、先日の東京モーターショーで発表された最新eバイク4車種を展示。また、eロードバイクとして2015年より発売している「YPJ-R」や同フレームのクロスバイクモデルとなる「YPJ-C」などが試乗車として用意された。

新たな4モデルには現在のドライブユニットの発展型である「PW-SE」と、MTBタイプ専用の「PW-X」がある。どちらもこれまでのYPJシリーズに対しより大型のバッテリーを装備し航続距離の大幅な拡大を狙う。「PW-X」ユニットはMTBに向けてよりオフロードでの仕様を想定としており、小型ながら高出力。YPJ-XCではモーターサイクルの技術で培ったノウハウを活かし、BB周辺を鍛造成形することで人力とモーターの出力を受け止めることができる剛性を確保するなど、バイク自体にも新たなこだわりが詰められている。

今回数多く発表されたeバイクの中でもその先駆けである「YPJ-R」を改めて試乗した。開発の目的としてロードバイクそのものの走行感を大切にしたというだけあり、平地ではアシストオフの状態でも非常にスムーズ。アシストが作動しなくなる時速24kmを超えてからの挙動は、やはりこのYPJ-Rの優秀さが際立つ。
 

トレック

トレック・ヴァーヴプラス:21万3000円(税抜)
ボッシュ製のドライブユニット
トレックのヴァーヴ・プラスは今回出展したeバイクの中で唯一ボッシュ製のドライブユニットを採用したコミューターeバイク。前後のライトや泥除け、そしてサイコンももともとついて21万3000円(税抜)というプライスパフォーマンスも魅力的だ。

スポーツライドを知り尽くしたトレックが開発したというだけあって、アシストオンオフか関わらずバイクの挙動は非常に素直。それでいて「より万人にスポーツライドを気軽に楽しんでもらう」というコンセプトで開発された日本仕様の「アクティブラインプラス」ユニットを搭載しているため、総合的に見て癖のないeバイクと言えるだろう。

一般的なスポーツバイクのように力を入れて踏み出した際に、従来のアシストユニットは急加速を感じさせることもあるが、このボッシュユニットはそれがない。非常になめらかに、自然に加速していくのが好印象だ。

 

パナソニック

パナソニック・XM1:33万円(税抜)
国内では一般の電動アシスト付き自転車ですでに地位を築いており、欧米でのユニットサプライヤーでもあるパナソニックは、2016年に発表した「XM-1」を試乗車で用意。

こちらはeMTBタイプとして、海外ですでに流通しているeバイクユニットを日本向けに展開している。これまでスポーツバイクを楽しんでいた人が、今まで行けなかった山道や河川敷の砂利道にチャレンジすることができる一台として、すでに一年の想定台数を超える売り上げとなったという人気モデルだ。

バイク本体については、フレームは海外製のものを使用しているが、バイクの組み立て自体は大阪の柏原にある自社工場で行われている。
 

Qi(チー)サイクル

Qiサイクル・EF-1:12万8000円(税抜・予価)
折りたたんでコンパクトに収納できる
中国の新興スマホメーカーである小米(シャオミ)の投資で開発されたQiサイクル。昨年中国本国で発売を開始し、すでに2万8000台を売り上げている。バイクデザインはその出自もあり近未来的でスタイリッシュだ。それを感じさせるのは前後ライト、制御コンピューター、そしてバッテリーをメインフレームに内蔵していることからだろう。

16インチの小径ホイールで、前輪のハブにユニットを持つフロントドライブ方式。時速24kmまでのアシストとなるが、そのサイズ感から前側でぐんぐん進んでいく感覚だ。街中での移動においてはこれは非常に快適。小径車だからか、それ以上のスピードを出そうとは感じさせないので、これで必要十分と言える。

コンパクトに折りたたむことができるので、15kgという軽量さから、クルマなどに積んで行った先での移動にも便利。街中でのスマートモビリティとして、セカンドバイクや家族共用の一台として活躍する事は間違いないだろう。
 

ベネリ

ベネリ・ネロ27.5+:価格未定
BAFANG製のドライブユニット
モーターサイクルの老舗であるイタリアのベネリ。2017年よりすでに国内で発売されているeMTB「タジェーテ27.5」に続くモデルとして、「ネロ27.5+」が来年発売される。その名のとおり27.5プラスサイズのセミファットタイヤを装着することにより地面との設置感が強まるとともにオフロードでの快適性も向上する。

ユニットにはタジェーテで好評だったバッファ製。ファットタイヤは上りでの挙動が鈍重になりがちだが、アシストがあるのでそれを感じさせる隙がない。他のユニットに比べて比較的パワフルな加速を体感できる。シンプルなアルミフレームと相まって、オフロードだけでなく街中でも存在感をもつ一台だ。
 

ルイガノ

ルイガノ・名称未定
カナダのスポーツバイクブランドのルイガノは、シマノステップスを搭載したスポーツモデルを現在開発中。サイズは20インチで太目のタイヤを履く小径車と、27.5インチのMTBタイプの二つが今回参考出品として展示された。

スペシャライズド

スペシャライズド・ターボREVO
スペシャライズドのターボREVOは、日本国内では主にMTBパーク上での使用を目的としているeMTBだ。公道での走行を想定していない分、国内のアシスト比率の規制を受けていないため、他のモデルと比べてより出力の出る仕様となっている。現在MTBパークなどでレンタルを行っており、本格的なコースで欧米で楽しまれているそれを体感できる。

タイヤサイズは27.5+で、ブラゼ製のドライブユニットを内蔵したフレーム形状と相まって、まるで大型モーターサイクルのような存在感。試乗した際は、アシストによってその重量は感じさせることなく、上りでも安定した挙動を見せる。スペシャライズドの上位MTBにも採用されているものと同等の前後サスペンションの存在によって、下りでの挙動は今回試乗した中では抜け出ている。MTB用のパークで楽しむなら、これ以上の選択肢はないように思える。