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オルベア・テラ 走りを極めたマルチパーパスバイク

スペインの老舗、オルベアから新登場したオールラウンド系ロードバイク、テラ。

レーシングブランドの真髄を感じさせる「オールラウンド」な商品企画とは?

 
text:難波ケンジ photo:長谷川拓司

オンオフ選ばない走破性の高さ


オフロードも走れるドロップハンドルバイクを、ここにきて各社とも市場に投入しているが、スペインの老舗ブランドであるオルベアは、どのようなバイクを作ってきただろうか?

ここで紹介するテラは、一目見て分かるとおりいわゆる「バイクパッキング系」のバイクではなく、どちらかというとエンデュランスロード寄りの一台。とはいえ一般的なエンデュランスロード、オルベアでいえばアヴァンなどよりはオフロードも走れる仕様。標準装備されるタイヤも写真のグレードで35C、上位車種になると40Cが装着されており同社では〝オールロードカテゴリー〞と呼んでいる。

シクロクロスレーサーと何が違うのかというと、ヘッドチューブが長めでポジションがアップライト、そしてロードバイク的な用途に使えるアウター48Tのコンパクトクランクを装備しているところである。

シクロクロスレーサーを、天気の悪い時期の通勤バイクやオフロードも走れるサイクリングバイクとして使用する人も多いが、本来はレースを考えたバイクなだけに帯に短し襷(たすき)に長し。レースよりもサイクリング用途が主目的ならテラがちょうど良い。

重装備のバイクパッキングというよりも、日帰りもしくは大型サドルバッグなどを活用して1泊程度のサイクリング旅行に最適なテラ。カーボンのフレームとフォークに、シマノ・105を組み合わせたグレードのお得感が光る。

 
標準で40Cタイヤを装着できるタイヤクリアランスは、悪天候に備えたフェンダーなどを装備しても良いのでバイクの使える幅が広がり、まさにオールロードバイク
標準で40Cタイヤを装着できるタイヤクリアランスは、悪天候に備えたフェンダーなどを装備しても良いのでバイクの使える幅が広がり、まさにオールロードバイク
メイントライアングル自体の作りはほとんどロードバイクのそれで、実際走りもロードバイクに近い。大型のフレームバッグも装着しようと思えば装着可能
メイントライアングル自体の作りはほとんどロードバイクのそれで、実際走りもロードバイクに近い。大型のフレームバッグも装着しようと思えば装着可能
シートステーは振動吸収性を意識した形状だが、実際の走りもリーフスプリング的な振動吸収性能を発揮する。フロント同様に大きく取られたタイヤクリアランスも特徴
シートステーは振動吸収性を意識した形状だが、実際の走りもリーフスプリング的な振動吸収性能を発揮する。フロント同様に大きく取られたタイヤクリアランスも特徴
48/32Tのコンパクトクランクを採用するのがシクロクロスバイクとの決定的な違いだが、カセットはロー側32Tを採用しており、オフロードの急坂にも対応したギアレシオ
48/32Tのコンパクトクランクを採用するのがシクロクロスバイクとの決定的な違いだが、カセットはロー側32Tを採用しており、オフロードの急坂にも対応したギアレシオ
フラットマウントのシマノ製ディスクブレーキを装備。フロント、リヤとも12mmスルーアクスルを採用しているため、標準的なロード用のディスクホイールがそのまま装着可能
フラットマウントのシマノ製ディスクブレーキを装備。フロント、リヤとも12mmスルーアクスルを採用しているため、標準的なロード用のディスクホイールがそのまま装着可能
シートステーからそのままトップチューブへとつながるチュービングにより振動吸収性能を向上。オフロードでの担ぎの際も担ぎやすい扁平形状のトップチューブ
シートステーからそのままトップチューブへとつながるチュービングにより振動吸収性能を向上。オフロードでの担ぎの際も担ぎやすい扁平形状のトップチューブ

ドロップハンドルに優しさを求めるなら

スマートフォンを片手に運転するドライバーへの恐怖心から都会では車道を走らず、自転車道とその裏道(多くはオフロード)をつないだサイクリングルートを開拓している筆者であるが、そういった走りにテラは最適。フォークとフレームの路面追随性がきわめて高く、振動を吸収しつつトラクションを逃さない走りは、さすがにレースで鍛えた老舗の走り。ロードバイクほど平均時速は速くはないが、かといって走りがだるいわけではないので、率直にいって楽しい。

衝撃の角は取れつつハンドリングは素直で、時速30㎞程度ならペダリングも十分軽いとくれば、ドロップハンドルのバイクにエンデュランス系ロードよりも優しさを求めるならテラで正解。60%程の心拍数で流すのが楽しい。全体のルックスは意外なほどレーシーなので、見た目に残念感がないのもうれしい。

ディスクロードの標準規格的なフロント12mmスルーアクスルのホイールを採用しているため、ロード用途に特化したホイールを用意すれば、これ一台でロードバイク的な使い方もできる。



・難波ケンジ
国際派自転車ジャーナリスト。東西の海外トレンドに詳しく、eバイク、バイクパッキング愛好家でもある自転車オールラウンダー。

 

spec.

フレーム:カーボン
フォーク:カーボン 
メインコンポ:シマノ・アルテグラR8000 
ホイール:マヴィック・アクシウムディスク 
タイヤ:シュワルベ・G-ワン オールラウンド 
ハンドルバー:FSA・エナジーコンパクト 
ステム:FSA・エナジー 
シートポスト:FSA・SL-K Di2 SB20 
サドル:サンマルコ・アスピデ スーパーコンフォート 
サイズ:XS、S、M、L、XL
カラー:グリーン×ブラック、ブラック、ブルー×レッド、グレイ×ブルー、アンスラサイト×イエロー
試乗車実測重量:9.15kg(Sサイズ、ペダルなし)


・価格
シマノ・ディスクブレーキ デュラエースR9170完成車価格/70万円(税抜)
シマノ・ディスクブレーキ アルテグラR8070 Di2完成車価格/60万円(税抜)
シマノ・ディスクブレーキ アルテグラR8070完成車価格/44万円(税抜)
シマノ・ディスクブレーキ 105完成車価格/40万円(税抜)
スラム・フォース完成車価格/50万円(税抜)、スラム・ライバル完成車価格/40万円(税抜)、




問ポディウム ☎0742・64・3555


 

問い合わせ先

ポディウム
http://www.podium.co.jp/