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バランスのとれたエアロロード「グエルチョッティ・エウレカDX50」アサノ試乗します!その19

グエルチョッティのエアロロードの中堅モデル・エウレカDX50。

空力性能に優れるのはもちろん、6種類のカーボンを使い分け、剛性の高さや快適性も併せ持つオールラウンドなバイクに仕上げたという。

エアロロードはレース志向の強いモデルが多いが、このモデルはどのような立ち位置だろうか?

 
text:浅野真則 photo:長谷川拓司

6種類のカーボンを使い分け、高い剛性や快適性も兼ね備える

「グエルチョッティ・エウレカDX50」フレームセット価格/26万円(税抜)

エウレカDX50は、2016年に発表され、2017年春に2018年モデルの先行モデルとして30台限定で発売されたエアロロード。エアロダイナミクスの追求だけでなく、振動吸収性と剛性のバランスをとることを命題としている。

エアロフレームは、通常のロードフレームに比べてチューブが前後方向に幅広く、左右方向に薄いため、縦方向への剛性が上がり、振動吸収性が悪くなる傾向にある。エウレカ DX50は、エアロロードにありがちなこの弱点を解消するため、6種類ものカーボン素材を必要に応じて使い分けている。

フレームは24HM カーボンを中心に、40HM カーボンと 24HM カーボンのクロスカーボンを組み合わせるなどしている。こうすることで、必要な剛性を保ちながら振動吸収性を高め、快適性向上を目指している。

また、BBエリアとシートクランプ部、チューブとチューブの接合部を24HMカーボン、ストレスのかかるリアエンド部とフロントディレラー部には 30HMと40HMの高強度のカーボンでそれぞれ補強している。

このような緻密なカーボンレイアップにより、空力に優れたフォルム、快適性と優れた走行性能を両立するバランスのとれた剛性を兼ねそろえることに成功している。

また、成型時に発泡スチロールで内圧をかけるEPS製法を採用することで、余分な芯材が残りにくく、最小限のカーボンと樹脂で必要な強度と剛性を確保できるため、軽量フレームを作ることも可能にしている。

フレームセット販売のみで、価格は26万円(税別)。カラーはグレー/ゴールドの1色のみとなる。
 
上が1-1/8"、下が1-1/2"のテーパードコラムを採用したカーボンモノコックフォーク。インテグレーテッドフォークシステムにより、ヘッドチューブとフォーク、ダウンチューブの隙間を減らし空力性能も追求
マッシブなチェーンステーと細身のシートステーからなるリア三角。シートステーとシートチューブとの接合部が低く、パワー伝達性能と振動吸収性能を高い次元で両立する
シートポストはエアロ形状の専用品。シートクランプは、斜臼型のものがフレームに内蔵され、すっきりした外観と空力性能を両立。固定力も高く、不意にサドルが下がることがない
BB規格はBB86。ダウンチューブとシートチューブの接合部を広くとれるため、BB周りの剛性を高め、パワー伝達性能を向上。ペダリングに対する良好なレスポンスを実現する
大きな負担がかかるリアエンド付近は高強度カーボンで補強。クイックレバーがエンド付近にすっきり収まる形状を採用し、細部に至るまで空気抵抗の低減を徹底的に追求している

レーシーな乗り味。平坦系の短距離レースで真価を発揮


エアロロードというカテゴリーのバイクは、空力に優れるものの、乗り心地が硬く快適性に欠けるきらいがあり、重量もやや重めなバイクが多い。だから、平坦系のレースでは真価を発揮する一方、ロングライドや上り系のレースには使いにくい――というのが一般的だ。

しかし、グエルチョッティのエアロロード・エウレカDX50は、6種類のカーボン素材を適材適所に使い分け、カーボンレイアップを最適化することで剛性と快適性を両立。さらに発泡スチロールを芯材に使うEPS成型を採用することで、素材の使用量を最小化し、芯材を残しにくいため、フレームの軽量化も実現しているという。つまり、エアロロードの弱点を解消した、と謳っているわけだ。

エアロロードの軽量化に関しては、ダウンチューブなどに断面形状の後端を切り取ったようなカムテール形状を採用することで空力性能と軽量化を両立するブランドもある。しかし、エウレカDX50はそのような形状を採用しているわけではなく、ダウンチューブは角断面形状だ。

エアロロードらしい形状は、シートチューブに翼断面形状を採用してリアホイール付近がアーチを描くように切り欠きになっていること、シートポストがエアロ形状の専用品であること、フロントフォークとヘッドチューブ、ダウンチューブのデザインに連続性を持たせ、段差を少なくすることで空気抵抗を減らすインテグレーテッドフォークシステムを採用していることぐらいだ。

そんなこともあり、フレームのエアロ効果については、正直なところ劇的に違いが分かるレベルでは感じられなかった。しかし、高速域や向かい風の中ではいくらか恩恵があるように思われた。空力性能云々は、ライダーがエアロフォームをとりやすいか否かが最も大きな要因となるし、ホイールなどアッセンブルされるパーツの方がフレームより影響力が大きいのは間違いない。

その点、エウレカDX50は、ヘッドチューブの長さはごく標準的で、レース志向の選手に好まれる低めのハンドル位置にも調整可能だ。また、試乗車にはセミディープタイプのカーボンホイールが搭載されていたが、ボリュームのあるマッシブなフレームなので、空力云々を抜きにしても、ディープリムホイールの方が見た目にもマッチすることは間違いないだろう。

個人的にはこのバイクには50mmハイトクラスのディープリムホイールが走りにおいてもビジュアル面でも合うような気がする。

重量に関しては、フレーム重量が1000gを超えるが、この価格帯のエアロロードとしては標準的か少し軽いぐらいだろう。とはいえ、ことさらに軽さは感じないため、長い上りは得意ではない。短めの上りなら平坦や下りでのスピードを利用してパワーで押し切るような走り方で気持ちよくクリアできる。

そういう意味では、体重の軽さで勝負するタイプのライダーではなく、筋肉量が多くパワーで勝負するタイプのライダー向きと言えるだろう。

特筆すべきポイントとしては、この手のバイクにしては快適性に優れることだ。エアロロードというと足回りを絞り上げたチューニングカーのようなスパルタンな乗り味のバイクも少なくないが、エウレカDXに関してはごく一般的なロードバイクと遜色ないレベルにまで振動吸収性が高められている。

これは扁平かつ細身のシートステーのたまものだろう。とはいえ、エンデュランスバイクのような快楽さとは違い、あくまで路面からの大きな突き上げをある程度はいなしてくれるというレベルだ。

フレーム剛性も高い。とりわけ横剛性はエアロロードにしてはかなり高い。その秘密はBB86規格を採用し、BBシェル幅をワイドにすることでダウンチューブやシートチューブの接合部を広げ、BBエリアの剛性を高めたことにありそうだ。ペダリング時にBBまわりがどっしりとペダリングの力を受け止め、ダイレクトに推進力に変換するイメージだ。

高強度のアタックを繰り返すような短距離レース、特にロードレースやクリテリウムに向きそうだ。ロングライド向けではないが、剛性の高いアルミフレームからの乗り換えやレーシングバイクに慣れた人ならロングライドでも乗りこなせるだろう。

コースは、上りはあまり得意とは言えないので、平地や短めのアップダウンが続く丘陵地がベスト。体格がよく高いパワーを出せる人に向くと思われる。エアロロードの雰囲気を手ごろな価格で味わいたい人にふさわしいバイクだ。
 

spec.

フレーム/カーボン 
フォーク/カーボン 
コンポーネント/シマノ・デュラエースR9100 
ホイール/シマノ・デュラエースC40
タイヤ/コンチネンタル・フランプリ4000S 
ハンドル/デダ・ゼロ100 
ステム/デダ・ゼロ100
サドル/セラSMP・フォルマ
サイズ/XS,S,M,L
試乗車重量/6.77kg(サイズS)



■浅野真則
実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、海外のグランフォンドにも参加経験がある。愛車はスコット・アディクトとキャノンデール・キャード10。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。
 

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