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シマノが送り出すeバイク向けコンポーネント「ステップス」が来年国内向けに展開開始!その乗り味は?

既に欧米各国において新しい自転車の遊び方としての地位を築きつつあるeバイク、国内で言うところの電動アシスト付き自転車。そのコンポーネントにおいてシェアを広げつつあるのが、シマノ・ステップスだ。ついに国内仕様に対応した製品を搭載したモデルが2018年より国内にデリバリーされる。先日開催された「シマノ鈴鹿ロードレース」において、展示された試乗車のインプレッションとともに、詳報をお伝えする。
 
text:江里口恭平 photo:岩崎竜太

遂にシマノが国内eバイク市場に参戦!


シマノのeバイク用コンポーネントには、現在2つのシリーズが用意されている。通勤や週末のトレッキングなど、普段使いがメインとなるシティコミューターに向けたE6000シリーズ。ダートコースや長距離を走るなど、よりシリアスなスポーツ走行を目的としたE8000シリーズ。E8000系は昨年発表され、より小型化、高出力を生かしたドライブユニットが特徴となる。

このeバイクコンポは、大まかに4つのパーツから構成される。動力となるドライブユニット(モーター)、電源となるバッテリー、そして操作を司るコントロールスイッチと表示用のディスプレイだ。

今回日本の国内基準を適合させてデリバリーされるのは、上記のコントロールディスプレイとスイッチという操作系がE6000系であり、動力ユニットとバッテリーがE8000シリーズ。それぞれのシリーズの長所を組み合わせたものである。
つまり、動力系に最新かつ軽量・高出力なユニットを備え、それでいて操作系統はより扱いやすく視認性の高いものを組み合わせているということ。スポーツ走行に特化させるのではなく、普段は通勤や週末のツーリングが主な用途だが、ちょっとしたスポーツライドやトレッキングなどを気軽に、それでいて高いアシスト性能で楽しむことを主眼としているといえる。
 
視認性の高い大型のディスプレイは、ステム上部に取り付けられる
ハンドル左手のスイッチは3ボタン。エルゴノミックな形状で操作性は高い
ハンドル部に採用されるE6000系は、シティコミューターモデルに採用されることを想定しているため、操作性や視認性の高さを重視している。

アシストモードはハイ、ノーマル、エコの3タイプ。ハンドル上のスイッチは3つボタンがあり、上と下の部分でアシスト力を直感的に操作。中央のスイッチで画面上の表示内容切り替える。

ステム上に取り付けられるコントロールパネルに表示されるのは、モードごとの残り走行可能距離、時速、走行距離、走行時間、時計、使用中のギアの段数。コントロールパネル上のスイッチでは電源のオンオフと、ライトの操作が可能だ。
スイッチの操作方法や画面表示は、現在シマノの電動コンポなどで使用されるEチューブプロジェクト上で変更できる。Bluetooth(BLE)を介してPCやタブレット、スマートフォン上から自身の扱いやすい状態にセッティングできる。
 
現在市販されている中で最軽量の2.8kgとなるセンタードライブユニット
バッテリーはBB側に重心が下がるように雫型だ
次にドライブ側のE8000系を見ていこう。

バッテリーは1000回の充電に耐えるリチウムイオン式で、504Whまでのパワーをカバーできる。1度の充電で100km以上の走行が可能。重心がバイク中心に向かって下がる様に雫型のような形状となっている。製造には日本企業が関わっているとのこと。

モーターはスポーツライドに向けて、小型、軽量化。他社の同等のモデルが3~4kgの重量を持つ部分ながら、2.8kgと現在最軽量である。
シマノのMTB用コンポのXTと同じ177mmのQファクターとなり、従来のMTBと遜色ないペダリングが可能だ。また、ユニットの後方がよりBB側に詰まっているため、BBと後輪のセンター長を短くしたバイク設計が可能となる。また、搭載するクランクはシマノの上位グレードで一般的なホローテックⅡを採用している。

Eバイクのセンサーはセンタードライブユニットに一般的な、トルク、ケイデンス、スピードを計測。スピードセンサーは、リヤホイールから計測するのだが、センサー本体はリアの油圧キャリパーに埋め込む様に取り付けられ、ホイール側の磁石はリアディスクブレーキのブレーキローターに設置。現在日本に流通している最新電動ママチャリ(子ども載せ用電動アシスト付き自転車)に採用されるような、ハブ付近に設置されることで、外部からの損傷を受けにくい位置となる。

(※価格、スペック等は現在未定)
 
シマノのMTBコンポ、デオーレXTと同じQファクターとなるドライブユニット。ペダリング時に脚とフレームとの接触を少なくし、自然な乗車感となる
スピードセンサーのパーツ、ホイール側の磁石はリアディスクローターの内側に。外的損傷によってセンサーに異常が出ることを防ぐポイントだ

サイスポjp編集部 エリグチがインプレッション!


この半年の間に、国内に急流のごとく入ってくるeバイクを試乗し、その上でひとつ言えるのは、一般の電動アシスト付き自転車とeバイクのアシストの感覚はそれぞれ全く異なっているということだ。

ママチャリなどに採用されるモーターのアシスト比率は、いわば「分かりやすいアシスト」である。こぎ出した瞬間に「クッ」と後ろから背中を押してもらうようなものだ(それでも数年前の法律改正時にかなりゆるやかになったのではあるが)。

しかしこの「スポーツとして楽しむ」ことを目的としているeバイクのアシストというのは、「自分の踏み込んだ力に合わせて、自然に加速していく」という印象があると言えるだろう。

その流れの通り、シマノ・ステップスは非常に滑らかなアシストであるのは間違いない。そこから注目したいのは以下の2点だ。

ひとつはバイクの挙動に重量からくるギャップを感じにくいということ。本来の自転車ではあり得ないであろう、BBからダウンチューブに最も重量のあるユニットを抱えるということは、すなわちこれまでのバイクと重心が全く異なってしまう。それによりeバイクの挙動は我々が知っているスポーツバイク達とそもそも大きく違っているはずだ。

しかしステップスはユニットを小型・軽量化し、BBとホイールまでのセンター長を詰めている。バイクの挙動がよりきびきびとし、ペダルにかけたトルクが路面にダイレクトに伝わるのだ。

また、他社の大ぶりなユニットに比べて、BB前方にドライブユニットが集中していることにより、ライダーが後方にかける体重とバランスされることになる。より自然にバイクのBB直下に重心を持ってくることができるので、乗り慣れたスポーツバイクの感覚と似たコントロール性能となる。特に急な上り坂では、重心が掴みやすいというのは生かされる。

もう一つは、トルクをかけた瞬間のアシストに違和感がない点。バイクのコーナリング練習でよく行われる「8の字コーナー」を試してみて、自分のペダルにかけるトルクに合わせるようにアシストがじりじりと効いてくる。それでいれ踏み込むと「ああ、ちゃんとアシストしているんだな」と分かる程度にモーターが動き出す。その挙動の微妙な自然さは、シマノの技術者達がテストライダーと繰り返し研究を重ねた結果だという話も納得できる。

こうしてeバイクのアシストを比べていると、それぞれにまだ全く異なる「個性」が見えてきて、新しいモノが生み出される時故の各メーカーの試行錯誤感が伝わってくる。

そしてシマノはやはり、自転車のコンポーネントメーカーとしてのプライドの様なこだわりが詰め込まれているように感じた。

来年以降この日本仕様ステップスを採用したeバイクが国内に流通しはじめると、各フレームメーカーがこのコンポに合わせたバイク作りを行うこととなるだろう。次はフレームから細部まで、トータルしてそのeバイクごとの差異を感じていくレベルになることを期待したい。


・サイスポjp編集部江里口恭平
本誌と弊サイト編集部を兼任する若手編集部員。自転車店での勤務経験から、国内に流通している電動アシスト付き自転車を、ママチャリからスポーツタイプ問わず広く試乗。その時の経験をもとに、近年発表され続ける「eバイク」に注視している。先日箱根の峠道をeバイクで上り、己の脚を鍛える意味を問い始めた。