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マヴィックが「UST(ユーエスティー)シリーズ」発表 最高に使いやすいロードチューブレス

フランスの老舗自転車パーツメーカー・マヴィックが遂にロードバイク用チューブレスタイヤを発表した。その名も「USTチューブレス」。「Universal System Tubeless」=「広い汎用性を持ち、システムとして統合的に開発され、そしてチューブレスタイヤのメリットを最大限生かす」ことを目指した新たなタイヤだ。

チューブレスの作業性の悪さの原因は、タイヤとホイールの相性にあった。その両方を製造できる同社は、”相性”という壁を取り払うことに成功したのだ。マヴィックが作り上げたこのタイヤのキーワードは「イージー」、「セーフ」、「ファスト」の3点だ。
text:中島丈博、江里口恭平 photo:江里口恭平

ホイールと総合的に開発されたチューブレスタイヤ

マヴィックは1999年よりMTB用チューブレスタイヤを開発。自転車用タイヤとホイールの共通規格である「ETRTO(エトルト)」にも認められ、現在MTBシーンでは、既にチューブレスタイヤは一般的に使用されている。

ロードバイクにおいてもチューブレスの波は10年前から存在していた。マヴィックも2000年代初頭からロード用チューブレスの開発に取り組んでいたものの、精度など技術的な問題から一般の発売にいたることはなかった。この数年、様々なブランドが次々に新製品としてロード用チューブレスタイヤを発表。だが、大きなシェアを獲得するにはいたっていない。
 
ではなぜ今になってマヴィックがその製品を世に送り出したのか。その理由のひとつは、マヴィックが「システム」としてそれらを作り上げたという点がある。
 
これまで、マヴィックはクリンチャータイプの「Yksion Pro」などをはじめとした、タイヤとホイールを総合的に設計することにここ数年取り組んできた。そしてついに、チューブレスタイヤをホイールとトータルに開発することにより、マヴィックの求める水準に達する製品が作り上げられた。
 
ビード直径はマヴィック独自規格621.95mmから±0.35mmの内の精度で設計される(ETRTO規格は±0.50)
ビード部はリムにはまりやすい様に、ひっかかりの少ない滑らかなアールを描く
トレッド部には「TUBELESS」の刻印が入る
その恩恵はまず、「イージー」という点に現れている。
これまでのチューブレスタイヤを試したことがある人は、おそらく全員経験したに違いないのはその「はめにくさ」。もしも長距離ライドの途中でパンクなどのトラブルによって、自身でタイヤを脱着することになった場合、これまでのチューブレスタイヤは作業に非常に手こずってしまうことが多かった。その理由としては、ホイールとタイヤそれぞれの相性の問題、またはそれぞれの”安全性”の基準をどこにおいているかという点が挙げられる。
マヴィックはホイール側、タイヤ側にそれぞれ厳重な規格(ETRTO/ISO)に基づく精度を与えることで、交換だけでなくシーラント剤を使った時などを含めたメンテナンス性能の容易さを追求した。
 
また、その精度から交換が容易になったことに加えて、「セーフ」という点も手に入れている。ホイールとタイヤがしっかりとマッチングしている事で、走行中にタイヤが外れてしまうなどの危険性を減少させる。
 
そしてチューブレスタイヤの最大の恩恵である「ファスト」、速く走るという点も、もちろん実現。内部にチューブを介さない事によってリム〜チューブ〜タイヤ間において発生する摩擦熱からのエネルギーロスをカット。それによって転がり抵抗の減少を得る。またそれに伴い、空気圧セッティングも低圧にできることから、走行時の快適性の向上となる。
 
タイヤの肝であるコンパウンドにおいては、フランスのハッチンソン社の「イレブンストーム」を採用。同社の最新モデル「フュージョン5」にも採用されたこのコンパウンドは、ウエット時などのさまざまな路面状態でもグリップ力を確保しつつ、低い転がり抵抗を実現しており、その性能は外部の検査機関においても高い評価を得ている。そのコンパウンド素材を採用しつつ、USTチューブレス専用にタイヤの構造面、トレッドや形状を独自に開発。マヴィックが自信をもって送り出す、全くオリジナルのタイヤが作り上げられた。
 
「USTチューブレス」は初回販売分としてはマヴィックの名作「キシリウムプロ」、「キシリウムエリート」に装着した上での販売予定だ。今後マヴィックのホイールラインナップは全てこの「UST」に対応をさせていくということ。もちろんタイヤ単品としての販売も予定している。

しかしながら統合的なシステムとして設計されたこのタイヤの真価、まずはホイールに装着した状態で試してみるのが良いかもしれない。
 
発表会では実際にタイヤの脱着を体験できた。チューブレスタイヤ交換経験者なら思わず歓声をあげてしまうイージーさだ
プレゼンテーションでは製品開発リーダーのマキシム・ブルダン氏がスカイプで登場。製品開発時の裏話や来場者からの質問に答えた
マヴィックは今後、全てのロード用ホイールをこのUSTチューブレスタイヤに対応させる予定だ
会場には「UST」キャンディが用意された

サイスポ.JP編集長・ナカジはこう見る

7年前の2010年。ロードチューブレスが本格的に普及しはじめるか? という頃に、自分もまずは使ってみようと購入した。低圧でも乗り心地はよく、それでいて「べちゃっ」としない乗り味は魅力だったが、重量にアドバンテージがなかったことや、タイヤ、ホイールの選択肢の少なさはネックだった。そしてホイール、タイヤの相性に起因する、作業性の悪さも無視はできなかった。加えてクリンチャータイヤの高性能化、フルカーボンクリンチャーホイールはどんどん進化していった。それに反して、チューブレスはのラインナップが増えなかったという状況から、そのあと自分もチューブレスホイールは手放してしまった。

そして、仕切り直しとばかりに、マヴィックがUSTというチューブレスタイヤ&ホイールシリーズを発表。
あれから時代は変わり、いまチューブレスホイールには2つの可能性を個人的に見いだしている。一つはフレームの高剛性化だ。ロードバイクの標準的なタイヤ幅が23Cから25Cへと太くなったこともあり、各社のトップレンジピュアレーサーはどんどん剛性アップを図った。ホイールも空力性能を求められることで、高剛性フルカーボンリムが普及していく。自ずと振動を除去する役割は、タイヤへの依存度を高めていくことになった。クリンチャーよりもチューブレスにアドバンテージがある分野である。

もう一つは、ディスクブレーキロードの進出だ。ディスクブレーキバイクにはフルカーボンチューブレスホイール&タイヤを組み合わせるのがいいと、個人的にはイメージしている。リムが担う役割として”制動”から解放されることで、軽量化が進みやすくなる、チューブレスで実現しにくかった”重量”というアドバンテージを獲得できるようになるのではないかと予想している。

また、駆動方向に加えて、ディスクブレーキによって高い制動力にタイヤとリムの接触面が耐える必要が高まるため、タイヤのビードがしっかりリムにはまるチューブレスが、チューブラーやクリンチャーよりも駆動性能が上がると思うからだ。
そしてマヴィックが実現した高い作業性も魅力なのは言うまでもない。
真円度を高めてきていることを考えるとチューブラーへのアドバンテージは大きい。そこでチューブレスを見直す価値があると感じる。試乗してみて、改めてその価値を確認したいと思う。もう一度、チューブレスへ……。
 

​spec.

内径Ø 619.7, Stiffness 113 daN/mm、ケブラービード

●初回発売モデル
「キシリウム プロ UST」
伝統と実績のあるキシリウムシリーズの中で最も軽量な ロードチューブレス アルミホイールセット 

重量/ペア:1420g (フロント 605g /リヤ 815g) 
価格/13万円(ペア・税抜) 、6万円(フロント/税抜) 、7万円(リア/税抜) 
カラー/グラファイトブラック

「キシリウム エリート UST」
定評のあるキシリウムエリートを UST チューブレス化し、乗り心地と快適性を向上。 ブラック×グレー、ブラック×レッド、ブラック×イエローの3カラーを展開。
 重量/ペア:1490g (フロント 650g /リヤ 840g) 
価格/8万5000円(ペア・税抜) 、4万円(フロント/税抜) 、4万5000円(リア/税抜) 
カラー/ブラック×グレー、ブラック×レッド、ブラック×イエロー

 

問い合わせ先

マヴィック
https://www.mavic.com/ja-jp