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軽さ、剛性、快適性を融合したエンデュランスロード 「スコット・ソレイス 20」アサノ試乗します!その15

スコットのロードバイクのラインナップで、エンデュランス系の最新シリーズにあたるソレイスシリーズ。フレームをコンフォートゾーンとパワーゾーンに分けて設計し、軽さ、剛性、快適性を高いレベルでの融合を目指したこのシリーズ、CR1とはどこが違うのか、インプレッションを通じて検証する。
 
text:浅野真則 photo:岩崎竜太

コンフォートゾーンとパワーゾーンに分けて設計されたフレームを採用

「スコット・ソレイス20」 シマノ・105完成車価格/28万9000円(税抜)
ソレイスシリーズは、スコットのカーボンロードバイクの中では、コンフォートロード、エンデュランスロードの位置づけ。最大の特徴は、フレームやフォークをパワーゾーンとコンフォートゾーンに分けて設計していることだ。

パワーゾーンはフレームのヘッドチューブからダウンチューブ、チェーンステーに至るエリアと、フロントフォークのコラム付近で、パワー伝達性能を高める役割を担う。具体的にはBBシェルに近づくにつれて太くなっていくテーパードシートチューブ、上下異径のステアリングコラムを持つフォーク、BB86の採用などのテクノロジーによって成り立っている。
一方、コンフォートゾーンはフレームのトップチューブ、シートチューブ、シートステーと、フロントフォークの先端部からブレードの中央部にかけてのゾーンで、路面からの衝撃をいなし、快適性を高める役割を担う。具体的にはBB下にブレーキを移設することでブリッジを廃した極細・極薄のシートステイ、縦方向に薄く扁平なトップチューブなどのテクノロジーが採用されている。
パワーゾーンとコンフォートゾーンの相乗効果により、軽さ、快適性、剛性を高い次元で融合することを目指している。

今回紹介するソレイス20は、メインコンポーネントにシマノ・105、シマノの完組ホイールWS-RS11-Aを搭載するセカンドグレード。ステムやハンドルなどはシンクロス製で、各アイテムの差し色がフレームのデザインとマッチするなど、パッケージとしての統一感もある。完成車価格は28万9000円(税別)で、フレームカラーは1色のみとなる。

このモデル以外に、キャリパーブレーキ仕様ではシマノ・アルテグラ仕様の上位モデル・ソレイス10とシマノ・ティアグラ仕様のエントリーモデル・ソレイス30、さらにディスクブレーキ仕様も2モデル用意される。ちなみに、上位モデルとの違いは、コンポーネントやホイールだけで、このシリーズでもフレームそのものは同一だ。
 
ケーブル類はヘッドチューブ付近から内蔵される。フロントフォークのコラム径は上が1-1/8"、下が1-1/2"のテーパードコラム。ハンドリングとブレーキング時の安定感に優れる
リアブレーキをBB下に移動したことで、ブリッジを廃したシートステー。非常に細く、縦方向に薄いため、路面からの突き上げを効果的にいなし、快適性の向上に貢献する
フロントフォークは、細身のブレードが緩やかにカーブしたベンドタイプ。コラム付近は剛性とパワー伝達性能を向上させ、先端付近は衝撃吸収性を高めるべく設計されている
シートチューブがBBシェル幅ギリギリまで裾広がりになるテーパードシートチューブを採用。BB規格は、スコットの他のカーボンフレームと同様同様のBB86だ

安楽ではない“芯のある快適性”が軽快な走りをもたらす

今われわれが“ロード”と呼んでいるロードバイクは、かつてはロードレーサーという呼び方が一般的だったという。レース用機材としてのロードレーサーがあり、ロングライド志向を満たす自転車はツーリング車という別のバイクがあったからだ。

だが、今ではレースを楽しむガチガチのレーサーはどちらかというと少数派になり、ロングライドを“ロード”で楽しむ人も少なくない。だからロードレーサーがロードバイクと呼ばれるようになっていったわけだ。その過程で、同じロードバイクの中でもキャラクターの違うマシンが登場するようになった。純然たるレーシングロードと、長距離を快適に走れるようなエンデュランス系ロードだ。

ソレイスは、スコットのロードバイクのラインナップでエンデュランス系ロードというカテゴリーを担うシリーズ。同社のピュアレーサー・アディクトシリーズと比べると、ヘッドチューブが長く、トップチューブが短めで、上半身が起きたアップライトなポジションを取りやすくなっている。レーシングスピードではなく、高速巡航を楽しむことを前提としていることがうかがえる。

となると、前回紹介したCR1シリーズとキャラクターがかぶる部分がありそうだ。今回のインプレでは、ソレイスシリーズの乗り味とともに、CR1シリーズとの違いも確認していきたいと思う。

ソレイスの最大の特徴は、フレームやフォークの設計に関し、パワー伝達を担うパワーゾーンと快適性向上を担うコンフォートゾーンという2つのパートに分けて考えていることだ。具体的にはパワーゾーンはヘッドチューブからダウンチューブ、BB、チェーンステーにかけての部分とフロントフォークのコラムからブレードの中ほどまで、コンフォートゾーンはそれ以外の部分(トップチューブ、シートチューブ、シートステーとフロントフォークの中ほどから先端付近)となる。これらの違いはカーボンの素材選びや積層、チューブ構造などで総合的に実現しているという。

さらにパワーゾーンとコンフォートゾーンというフレーム構造に、ソレイスのテクノロジーが紐付けられている。たとえばパワーゾーンを形成するテクノロジーとして、上下異径のテーパードヘッドチューブであったり、BB付近が末広がりになっているテーパードシートチューブ、左右非対称のチェーンステーなどが挙げられる。また、コンフォートゾーンに関しては、CR1シリーズにも採用されているSDS(ショック・ダンピング・システム)やBB下に移設したリアブレーキ、それに伴ってブリッジを廃した極細のシートステーなどが挙げられる。

これらの相乗効果は、レースバイクのようなBBまわりやヘッドチューブ回りのカッチリ感がありながら、路面からの突き上げもしっかりと緩和するという、相容れなさそうな要素が見事に調和している独自の乗り味に現れている。上りも軽快だし、高速巡航はお手の物。下りやコーナーでの挙動も安心感がある。

CR1との違いは、おもに重量と走りのカッチリ感に現れていると感じた。ダンシングでペダルに体重を乗せるように踏み込んだとき、CR1はややウイップする感じがあったが、ソレイスはBBまわりがトルクをどっしりと受け止める感じがある。どちらがいいかは好みにもよるが、ソレイスはペダリングスキルのうまさにあまり関係なく、誰でも気持ちよく走れそうな印象だ。ただし、ロングライド時に脚に来にくいのはCR1かもしれない。

ジオメトリーの特徴として、ヘッドチューブが長く、トップチューブが短いことを挙げたが、これはロングライド向けのポジションに特化したもの。言い換えれば、前傾の深いレーシーで攻撃的なポジションを出すにはこのバイクは適さない。走りにおいても、高速巡航はそつなくこなすが、レーシングスピード域で走るにはポジションの制約が大きいと感じた。そこはアディクトシリーズやフォイルシリーズとの棲み分けということになるのだろう。

ソレイスはロングライドやグランフォンドを志向するようなサイクリストにはまさにどんぴしゃの1台といえる。キャリパーブレーキ仕様のモデルは、シマノ・アルテグラ仕様のソレイス10とシマノ・ティアグラ仕様のソレイス30があるが、将来的なアップグレードを考えるとこのモデル、長く乗るつもりなら上位モデルのソレイス10が個人的にはおすすめだ。
 

spec.

●フレーム/カーボン ●フォーク/カーボン ●コンポーネント/シマノ・105 ●ホイール/シマノ・RS11 ●タイヤ/コンチネンタル・グランドスポーツレース 700×25c ●ハンドル/シンクロスRR2.0 アナトミック31.8 ●ステム/シンクロスRR2.0 ●サドル/シンクロス FL2.5 ●サイズ/XXS,XS,S,M,L ●試乗車重量/8.6kg(サイズS)


■浅野真則
実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、海外のグランフォンドにも参加経験がある。愛車はスコット・アディクトとキャノンデール・キャード10。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。
 

問い合わせ先

スコットジャパン
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