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フューチャーショック・サスペンション徹底比較! スペシャライズド・ルーベ エリート「アサノ試乗します!」その13

2017年モデルでフルモデルチェンジを果たしたスペシャライズドのエンデュランスロード・ルーベシリーズ。今回は新ルーベのコアテクノロジーともいえるフューチャーショック搭載モデルで最もお値打ちなエリートに試乗。フューチャーショックのセッティングを変えて乗り味の変化に迫る。
text:浅野真則 photo:岡 拓

フューチャーショックを搭載する最もお値打ちな価格のモデル

「ルーベ エリート シマノ・105完成車価格/25万円(税抜)」
スペシャライズドのエンデュランスロード・ルーベシリーズは、フロントに20ミリストロークのサスペンション・フューチャーショックを搭載したルーベシリーズと、フューチャーショックではなく従来モデルに採用されているエラストマーによる振動吸収機構・ゼルツを搭載したエントリーモデルのルーベSL4シリーズに大きく分けられる。両者の最大の違いは、フューチャーショックを搭載した新世代のフレームか否かという点だ。

今回紹介するルーベ エリートは、ルーベシリーズの最廉価モデル。すなわち、フューチャーショックを搭載する最もお値打ちな価格のモデルということになる。なお、フレームの素材は上位モデルのエキスパートやコンプと同様なので、これらのモデルの違いは、フレームカラー展開とアッセンブルされるコンポーネントやパーツの違いのみだ。

エリートはメインコンポーネントにはシマノ105を搭載し、ディスクブレーキはメカニカル仕様。価格は26万円で、フレームカラーは2色展開だ。
 
BB上に搭載されるストレージにはタイヤチューブやタイヤレバー、CO2カードリッジがスマートに収納できる。重量増が気になりにくい位置に取り付けられ、空力にも影響しにくい。もちろん取り外し可能だ
新型ルーベのラインナップ中、唯一メカニカルディスクブレーキ仕様となるエリート。フレームとフォークの仕様は同じで、フロント・リアとも12ミリスルーアクスル仕様なのも変わらない
ヤグラ部分がくの字に湾曲し、間にエラストマーが入ったコブルコブラーシートポスト。エラストマーだけでなく、クランプを下げてシートポストがしなりやすくなっていることで快適な乗り味を実現
最近のエンデュランスロードのトレンドに則り、BBまわりやフロントフォークのタイヤクリアランスは十分に設けられている。最大700×32Cサイズのタイヤまで対応し、グラベルライドも楽しめそうだ

他のフロント回りの衝撃吸収機構より確実に作動しているのが分かる

コラム内に内蔵しているスプリング。左からソフト、ミディアム、ハード。
スペシャライズドが新開発したロードバイク用のフロントサスペンション・フューチャーショック搭載の新ルーベ。前回はエキスパートで乗り味を確認することを中心に試乗したが、今回はフューチャーショック搭載のエントリーモデル・エリートでフューチャーショックのセッティングを試しながら、さらにディープに乗り味を追求したいと思う。

まずはざっとエリートのファーストインプレッション。上位モデルとフレームは同じだが、アッセンブルされるパーツが異なる。メインコンポーネントはシマノ・105でディスクブレーキはメカニカル仕様となる。乗り味そのものは大きくは変わらないが、エンデュランスロードという長距離を快適に走るためのバイクだと考えると、ディスクブレーキはレバーの引きが軽く、安定したブレーキコントロールが可能な油圧式がよいと思う。

エリートの上位モデルのコンプは、8万円高くなるが、同じフレームでコンポがアルテグラと105のミックス、油圧式ディスクブレーキとなる。完成車で購入するなら、個人的にはそちらを推したい。もしくはエリートを購入して油圧式ディスクブレーキにアップグレードすることをおすすめする。

さて、いよいよ今回の本題のフューチャーショックの徹底インプレッション。フューチャーショックは、フロントフォークのステアリングコラム内にサスペンションカードリッジを搭載することでハンドル回りの衝撃を吸収するシステム。ホイールではなく、ステムとハンドルだけが上下に動くのが特徴で、ストローク量は20ミリだ。

サスペンションカードリッジにはコイルスプリングが収められており、コイルスプリングは、ハード、ミディアム、ソフトの3種類が用意されている。このコイルスプリングを入れ替えることで、体重や路面状況に応じてサスペンションの動きやすさを調整できるようになっている。ちなみに前回のエキスパート試乗時には、標準状態のハードで試乗している。

ハードの設定で試乗した印象でも、先代ルーベや現行ルーベSL4に搭載されているゼルツや、衝撃吸収機構フロントISOスピードを搭載するトレックのドマーネ最新モデルと比べてもフューチャーショックはより積極的に動いていることが体感でき、手に届く振動も吸収されていると感じる。

それでいてハンドルに荷重をかけすぎなければ走行中に不意に動くことはない。ステムのステアリングコラム側からハンドルだけが上下に動き、フレームと前輪の位置関係は変わらないので、コーナーリング時にもそれほど違和感を感じなかった。乗り味はあくまでロードバイクだが、振動吸収性はフロントフォーク付きのMTB並みに高いという未体験の乗り味だ。

続いてコイルスプリングをミディアム、ソフトと入れ替えて同じコースを試乗してみる。正直に申し上げると、個人的にはミディアムとハードの違いはほとんど分からなかった。一方、ソフトになると、フューチャーショックがちょっとした体重移動に過剰に反応するように感じられた。ライダーの体重やライドポジションにもよるだろうが、個人的にはハード以外の設定にしなくてもいいと思った。むしろスプリングのレートは一定でもいいので、フューチャーショックをロックできた方がいいように思う。

ここで気になるのは、おおむねスムーズな日本の舗装路で、フューチャーショックのような機構が果たして必要なのかという素朴な疑問だ。最近増えてきた衝撃吸収機構を持つエンデュランスロードは、クラシックレースに登場するようなパヴェを走るからこそ意味があって、日本で乗るにはオーバースペックな気がしてならなかったのだ。フューチャーショックのサスペンションカードリッジは200gほどあるそうだが、果たして重量を増やしてまで快適性を追求する意味があるのだろうか。

今回の試乗を通じて個人的に感じたのは、「長距離を快調に走り続けたいという点に重きを置くなら、またコンディションを問わず安定した走りを楽しみたいと第一に考えるなら、必ずしもオーバースペックとは言えないのではないか」ということだ。

走行中のストレスを低減することで疲労が少なくなり、ロングライドの終盤でも正確な操作や状況判断が行いやすくなる。また、バイクそのものの安定性も高いので、荒れた路面や悪天候下でもバイクを制御しやすい。われわれのようなホビーサイクリストにとって、速く走ることよりも安全に自転車を楽しむことの方が大切なはずだ。

レースに本格的に取り組むなら、スペシャライズドには上りにも強いオールラウンドレーサーのターマックと、優れた空力性能を誇るヴェンジというスペシャリストがいるのだし、これらの方がふさわしいと思う。しかし、ロングライドメイン、たまにエンデューロというぐらいなら、断然ルーベがいい。快適性と安定感を兼ね備え、それなりのスピードでも良さが感じられ、その気になれば速くも走れる、ロングライド志向の強いオールラウンダーだからだ。
サスペンションのスプリング交換はステム交換の要領で行える
コラム内部からスプリングが現れる

spec.

シマノ・105完成車価格/25 万円(税抜)
●フレーム/カーボン ●フォーク/カーボン ●コンポーネント/シマノ・105 ●ホイール/アクシス エリートディスク ●タイヤ/スペシャライズド・ターボプロ 700×26C ●ハンドル/スペシャライズド・ホバーコンプ ●ステム/スペシャライズド・3D ●サドル/スペシャライズド・フェノムコンプGT  ●サイズ/49、52、54、56、58 ●試乗車実測重量/9.2kg(サイズ54)

 

問い合わせ先

スペシャライズドジャパン
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