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ファクター・ワン 英国からグランツールを闘うマニアックな戦闘機が上陸

知る人ぞ知るバイクブランド「ファクター」が、国内取り扱いスタート。強烈な個性を持ったメーカーで、2017年シーズンはアージェーデューゼール(AG2R)・ラモンディアールに機材を供給し、グランツールにも登場することが決まっている。旬な一台だ。
text:中島丈博 photo:小見哲彦

ロードバイク群雄割拠の時代に個性が光る

「ワン」はその機構はもちろん、カラーリングも個性的だ
英国の新ブランド「ファクター」が、2016年のサイクルモード会場にて一般ユーザー向けに国内初お披露目された。名スプリンターのバーデン・クックがオーナーである同社のラインナップは、レースで使えるトップレンジのみを揃えるというロックなブランド。2017年よりプロツアーチームのAG2Rに機材提供することも決まっており、話題に事欠かない。ラインナップのひとつ「ワン」はダウンチューブが双胴というめずらし構造を持つ。これによりフロントホイールを通過した空気がダウンチューブの間を抜け、シートチューブに当たることによって、ダウンチューブが1本の場合よりも高い空力性能を発揮することができるという。これはF1界出身の開発陣によりもたらされた、非常に効果のあるものだとのこと。

これだけでも十分個性的だが、ヘッドチューブ~フォークの構造もまた個性的だ。通常はヘッドチューブの中をフォークコラムが貫通しているが、ワンはフォークコラムはヘッドチューブ内には存在しない。代わりにヘッドチューブの上下に固定ボルトがある。そしてヘッドチューブ前面に見えるカバーのような構造物で上下の固定部をつなぐ構造。これによりUCI規定をクリアしている。空力性能を優先するとヘッドチューブの前にエアロカバーを取り付けたいが、UCIは空力性能を向上する付加物の装着を禁止している。つまり空力性能を向上するためだけに、カバーなど別のパーツをつけるのは禁止、ただそれが応力を担っている場合はその既定をかいくぐれる。そこに着目したファクターはこの構造を採用した。ただ特殊な構造ゆえ、ステムとハンドルバーは専用品が必要になる。
 
独自機構のヘッド回り、ヘッドチューブの上下でフォークを固定している
フォークを下から見たところ。ヘッドチューブ内部が、がらんどうになっていることがわかる
双胴のダウンチューブ。この間を空気が抜けていくことで空気抵抗を低減する。ボトルケージ台座まわりの造形も凝っている。
BB下まで双胴のダウンチューブから来るリブが設けられている。リヤブレーキはダイレクトマウントタイプが付く

超個性的な一台を所有する勇気はあるか

フォークがヘッドチューブの中を貫通するのではなく、外側を通るという独自の機構になっているが、これがエアロのため。反面、間違えば、ハンドリング、ヘッド回りの違和感を生む原因になることは容易に想像できる。専用ハンドルは独特の触感、形状ゆえの好き嫌いはあるだろうが、自分は”あり”な形。ハンドリングは機敏、実際のステム長よりも短めに感じる。脚を止めて惰性で下っているときは気にならないが、下りで一気に速度を上げようと踏んだときや、段差など荒れた路面のコーナーだと、やや挙動が落ちつかないというか、独自の動きをみせる時がある。ヘッド自体は剛性不足ではないように感じるが、双胴のダウンチューブゆえに癖のある横方向の剛性に起因するように思う。

重量ほど走りに軽さ、パリっとした軽量バイクのようなキャラクターが目立つ、というよりはしっとりとタメが効いてその反動で加速していくイメージ。ハンドル一体ステムはとてもカッチリしていて、ダンシングで振り回しても意外や違和感はなかった。これは予想外。上りではその重量と相まってとても気持ちよく上ってくれる。ワイヤ類はフレームに内蔵されるが、各部の作りこみがやや粗削りな印象。その無骨さがカラーリングと相まっていい感じだ。
何より、バイクにまたがったときに両脚の間に広がる景色が独特で、それだけで所有欲が満たされることは間違いない。掃除が大変そうとか、想像できる問題は少なくないが、このバイクの個性を前にして、そんなことは大した問題ではない。この価格、この個性を所有するにはオーナーの器も試されることになるだろう。
 

spec.

フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
メインコンポ●シマノ・デュラエース9070Di2
ホイール●ブラックインク・ブラックサーティーチューブラー
タイヤ●テュフォ・S3ライト2 700×21mm
ハンドルバー●ファクター・ オーティスRGi カーボンインテグレーテッドエアロシステム
ステム●ファクター・ オーティスRGi カーボンインテグレーテッドエアロシステム

サドル●フィジーク・アリオネ00
シートポスト●ファクター・オリジナルエアロポスト
カラー●ターコイズ、ブラック、ブルー
サイズ●51、54、56、58、61
試乗車実測重量●6.56kg(51サイズ・ペダルなし)
フレームセット価格●59万円(税抜)
シマノ・デュラエース9070完成車価格●132万円(税抜)

※インプレッション車は市販モデルと仕様が異なる場合があります

 


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