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白銀の極寒バトル! Raphaスーパークロス野辺山 2016

東京都心で11月に初雪が54年ぶりで観測された日、長野県の野辺山では30センチの雪が積もった。その2日後に開催された『Raphaスーパークロス野辺山』の会場は、白銀の世界に囲まれていた
 

雪原の間を駆け抜けるシクロクロス

女子エリートで独走する日本チャンピオンの坂口聖香(パナソニックレディース)
女子エリートで独走する日本チャンピオンの坂口聖香(パナソニックレディース)
 
11月26日、27日の2日間で開催された人気のシクロクロス・イベント『Raphaスーパークロス野辺山2016』は、開催2日前に会場となった長野県南佐久郡野辺山高原の滝沢牧場に30センチの雪が積った。7年間の歴史で、こんな白銀の大会になったのは初めてだ。

大会前夜は気温がマイナス10度以下になり、当日も低温で決してレース観戦に向いた日和ではなかったのだが、例年以上に大勢の観客が “シクロクロスの聖地” 野辺山に集結し、極寒の中で繰り広げられた激闘に熱い声援を送っていた。

シクロクロスのコース上は、大会主催者によって除雪されていたものの、周囲はまだ深い雪が残っていた。快晴に恵まれた初日は、日差しが強くなるにつれて凍った大地と雪が溶け出し、午後には誰もが期待するような野辺山らしい泥沼のコース・コンディションになっていた。
 
快晴に恵まれた大会初日。雪をいだいた八ヶ岳がキレイだった              
快晴に恵まれた大会初日。雪をいだいた八ヶ岳がキレイだった              
コース上は除雪されていたが、周囲にはまだ雪がたっぷり残っていた
コース上は除雪されていたが、周囲にはまだ雪がたっぷり残っていた
今年のカウベルはワインレッド。これが欲しければ初日から野辺山へ行こう
今年のカウベルはワインレッド。これが欲しければ初日から野辺山へ行こう
会場にあったか〜いお湯の出るシャワーがあればいいのに…
会場にあったか〜いお湯の出るシャワーがあればいいのに…

親子でも楽しめるシングルスピード

セサミストリートのバートとクッキーモンスターのコスプレでシングルスピードに参加していた親子 
セサミストリートのバートとクッキーモンスターのコスプレでシングルスピードに参加していた親子 
 
大会初日は午後にシングルスピードが行われ、今年も爆笑のコスプレで盛り上がった。その中で今年のコースに一番ピッタリだったのは、背中のポケットに詰めていたお菓子を、沿道で応援する子供たちに配りながら走るサンタクロース。

昨年は野辺山で知り合って結婚したカップルが走っていたが、今年はセサミストリートのバートとクッキーモンスターに扮した親子ペアが登場。日本で独特のスタイルを築いているシングルスピードは、仲間でワイワイ楽しむレースから、ファミリーでも楽しめるレースへと進化していた。
 
ちびっ子にだけお菓子をくれるサンタクロース                  
ちびっ子にだけお菓子をくれるサンタクロース                  
今年の仮装で大人気だったのがこの “ハト”
今年の仮装で大人気だったのがこの “ハト”
お天気には恵まれたシングルスピードだが、路面はドロドロになっていた
お天気には恵まれたシングルスピードだが、路面はドロドロになっていた
シングルスピード恒例のレース後記念撮影 
シングルスピード恒例のレース後記念撮影 

女子エリートは日本チャンピオンの坂口が圧勝

女子エリートは日本チャンピオンの坂口聖香が1周目から独走して優勝した
女子エリートは日本チャンピオンの坂口聖香が1周目から独走して優勝した
女子エリートの表彰台。左から2位の今井美穂、優勝した坂口、3位の與那嶺恵理
女子エリートの表彰台。左から2位の今井美穂、優勝した坂口、3位の與那嶺恵理

銀世界の極寒バトル!

熱い闘いを見せてくれた小坂(宇都宮ブリッツェン)と沢田(ブリヂストン・アンカー) 
熱い闘いを見せてくれた小坂(宇都宮ブリッツェン)と沢田(ブリヂストン・アンカー) 

男子エリートのUCIレースがスタートしたのは午後2時45分。心地よい日差しは西へと傾き、冷たい風が吹き始めると、気温をどんどん下がっていた。気象情報では気温4度Cだったが、体感温度はずっと低かった。

招待選手として来日し、午前中にはCXスクールを行っていた米国のティム・ジョンソンがスタート地点にいたので「どうして走らないの?」と、聞いてみたら「オレはもう引退しているから。観ている方がラクさ」と笑っていた。

そんなティムの優勝候補は、昨年の野辺山で初日に優勝した日本チャンピオンの竹之内悠(東洋フレーム)。チームメートで弱冠18歳のキャメロン・ベアード(キャノンデール・シクロクロスワールド)も強いから、注目していて欲しいと言っていた。
 
男子エリートは84人が出走した 
男子エリートは84人が出走した 
泥沼のコースは日が陰るにつれてふたたび凍り始めた              
泥沼のコースは日が陰るにつれてふたたび凍り始めた              
 
凍てつくような寒さの中、84選手の集団が銀世界のコースへと飛び出した。ほんのすこし前まではぬかるんでいた泥沼は、日陰ではすでに凍りつき、日向もレースが進むに連れてどんどん凍り始めていた。

60分、8周回で競われた男子エリートのUCIレースは、1周目から優勝候補が先行する高速レースになった。2周目で早くも沢田時(ブリヂストン・アンカー)とベアードがわずかに先行したが、すぐに小坂光(宇都宮ブリッツェン)が追いついて3人になり、横山航太(シマノレーシングチーム)もすぐ後方に続いていた。

先頭では18歳のベアードが最初に失速し、小坂と沢田の2人になって後半に突入。残り4周からは、小坂の独走態勢になった。最終周回に沢田が先頭の小坂のすぐ後方にまで迫ったが、ベテランの小坂が先頭を譲ることはなかった。

大勢の観客が待つホームストレートに単独で飛び込んだ小坂は誇らしげに胸を指し、ガッツポーズでゴールした。「野辺山は地元で、ホームとも言えるレースだったから、やっと勝ててメチャクチャうれしい」と、長野県佐久市出身の小坂は表彰台で初優勝の喜びを語っていた。
 
2周目で先行した沢田とベアード
2周目で先行した沢田とベアード
小坂は沢田とベアードを逃しはしなかった                                   
小坂は沢田とベアードを逃しはしなかった                                   
シケインを越える小坂(左)とベアード
シケインを越える小坂(左)とベアード
6位に入った丸山厚(ボーマ・ロンド)       
6位に入った丸山厚(ボーマ・ロンド)       
野辺山でやっと勝てた長野県佐久市出身の小坂       
野辺山でやっと勝てた長野県佐久市出身の小坂       
凍てつくレースで苦戦した18歳のベアード
凍てつくレースで苦戦した18歳のベアード
ゴール後にチームメートのティム・ジョンソンがベアードをねぎらっていた
ゴール後にチームメートのティム・ジョンソンがベアードをねぎらっていた
初日は10位で終わった日本チャンピオンの竹之内
初日は10位で終わった日本チャンピオンの竹之内
厳しいレースを完走できたのは一握りの選手だった…
厳しいレースを完走できたのは一握りの選手だった…
男子エリート初日の表彰台。左から2位の沢田時、初優勝した小坂光、3位の横山航太            
男子エリート初日の表彰台。左から2位の沢田時、初優勝した小坂光、3位の横山航太            
 
■ラファ・スーパークロス・野辺山(DAY1) 男子エリート結果
[11月26日/UCIレース・クラス2/長野県野辺山高原・滝沢牧場特設コース]

1 小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム/日本)58分30秒
2 沢田時(ブリヂストンアンカー シクロクロスチーム/日本)+11秒
3 横山航太(シマノレーシングチーム/日本)+19秒
4 キャメロン・ベアード(キャノンデール・シクロクロスワールドドットコム/米国)+58秒
5 ギャリー・ミルバーン(スピードワーゲンMAAP/オーストラリア)+1分41秒
6 丸山厚(ボーマ・ロンド/日本)+1分51秒
7 武井享介(チームフォルツァ/日本)+2分01秒
8 ケビン・ブラッドフォード(SET・コーチングドットコム/米国)+2分10秒
9 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム/日本)+3分03秒
10 竹之内悠(東洋フレーム/日本)+3分07秒