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秀光 - チームランプレ ファンミーティング 「来年チーム名は変わるが、魂は変わらない。日本との親密な関係も続けていく!」

ジャパンカップの熱き闘いが幕を閉じた2日後、10月25日(火)に、ランプレ・メリダによる記者懇親会&ファンミーティングが開かれた。会場は秀光の川崎塩浜工場。企業が自転車チームをスポンサードする意味とは。そして、移籍を前にした新城の心境インタビューをお届けする。
 
text●Asaka MIYAMOTO、photo●Kanako TAKIZAWA

秀光もジャパンカップでスポンサーを続けてきたことで、自転車ファンの間で認知度を高めつつある

ヨーロッパの自転車レースと企業スポンサーの関わりについてのトークセッションに参加するランプレ・メリダのメンバー
ヨーロッパの自転車レースと企業スポンサーの関わりについてのトークセッションに参加するランプレ・メリダのメンバー
秀光の佐久間悠太取締役は秀光という会社がどういうことをやっているのか知ってほしいと語る
秀光の佐久間悠太取締役は秀光という会社がどういうことをやっているのか知ってほしいと語る
選手たちも実際に鋼板を手に取ってみる
選手たちも実際に鋼板を手に取ってみる
銀行のオフィスやロビーの内装を手掛ける秀光は、イタリア・ランプレ社製のカラー鉄板を使用している関係で、毎年ジャパンカップ大会限定のチームスポンサーとしてランプレチームを支えてきた。記者懇親会では自転車レースの歴史と共に、イタリアを筆頭に世界の自転車チームを支えてきた企業スポンサーの歴史が紹介された。中でも鉄板製造会社であるランプレが、イタリアにおける自転車人気をうまく利用して知名度や企業イメージを上げてきたことが解説されると、秀光の佐久間修介社長もこう続けた。

「主に銀行のための家具・内装デザインを手掛ける秀光も、顧客はあくまでも企業であるため、一般市民に広く名を知られるような会社ではない。ただランプレと同じように、秀光もジャパンカップでスポンサーを続けてきたことで、自転車ファンの間で認知度を高めつつある」
 
ランプレ・メリダのウエアサプライヤーであるチャンピオンシステムの棈木亮二代表
ランプレ・メリダのウエアサプライヤーであるチャンピオンシステムの棈木亮二代表
工場見学で説明を受ける選手たち
工場見学で説明を受ける選手たち
ランプレ・メリダの広報、アンドレア・アッビアーニ氏がスポンサーとの関わりについて語る
ランプレ・メリダの広報、アンドレア・アッビアーニ氏がスポンサーとの関わりについて語る
チャンピオンシステムが提供するランプレチームジャージは、新城幸也の加入で売り上げが5倍に拡大したこと、また日本や外国でのワイン販売を伸ばす狙いで、ヴィーニファンティーニが世界中を転戦する自転車レースを協賛対象に選んだことなども、それぞれの関係者から解説された。さらには懇親会に招待された銀行・企業関係者に対して、佐久間社長はこう説いた。

「なによりイタリアと同じように、日本でも企業スポンサーとスポーツのよい関係を作っていくべきだ」

ただし今季までイタリア登録だったランプレ・メリダチームは、来季からは中国登録に変わる。メインスポンサーはTJスポーツ・コンサルテーションに移行し、サブスポンサーのメリダはバーレーンの新チームへと鞍替えする。1991年~1995年、さらに1999年~2016年の23年間に渡って冠スポンサーを務めてきたランプレの名前は、もしかしたら、チーム名から消え去ってしまうのかもしれない。

「来年チーム名は変わるが、魂は変わらない。日本との親密な関係も続けていく!」

ランプレのチームプレス担当、アンドレア・アッピアーニ氏は、ファンミーティングに詰めかけたファンの前で宣言した。バーベキューや抽選会で大いに盛り上がった会場では、ジャパンカップクリテリウム3位、本戦ロードレース4位のエマヌエーレ・モーリが契約を2年間更新したことも発表された。

チームが新たなスポンサーと共に新たな道を進んでいくのであれば、そこに所属する選手たちも、それぞれに新たな道へと進む。今季はランプレのフクシア色を身にまとった新城幸也は、メリダの自転車に乗って、来季はバーレーンの新生チームチームへと漕ぎ出していく。
 
工場内敷地にてアフターパーティーが行われた。モーリの2年間契約更新もここで発表された
工場内敷地にてアフターパーティーが行われた。モーリの2年間契約更新もここで発表された
ファンの皆さんが持参したワインでモーリと乾杯!
ファンの皆さんが持参したワインでモーリと乾杯!

新城インタビュー


Q.ランプレ・メリダで過ごした1年が終わろうとしています。初めてイタリアチームで走った感触はいかがでしたか?
「イタリアとフランスのやり方は全く違うのだ、と勉強になりました。それから、フランス人というのは、フランスのチームに所属していることが多い。その逆でイタリア人は、外国のチームに出て行っている。国には関係なく走っている。だから、外のチームに所属しているイタリア選手と話す機会も増えて、友達の輪が広がりましたね」
 

Q.同じチームに7年所属してきて、ランプレで1年過ごし、早くも来年にはバーレーンのチームへと2年契約で移籍します。この1年は、キャリアの中でどういう位置づけでしょうか?
「知ることができた、そんな1年でした。来年からは、より『勝利』が重要視されるチームに移ります。バーレーン籍ですが、イタリア式のチームです。だから今年イタリアのチームで過ごし、イタリア式のやり方に触れ、慣れておくことができたのは良かったですね。今シーズンの走り出しは(2月カタールでの落車骨折のせいで)遅くなりましたが、最終的には80レースくらい走りました。終わってみれば大成功だったと思います」


Q.来季はグランツールの総合優勝を狙うチームに、初めて加入します。自分の存在を、どうやって押し出していくべきでしょう?
「やっぱりツール・ド・フランスに出たい。だからまず、アルデンヌクラシックまでに結果を出したいですね。『ツールに出たい』という希望を聞いてもらえるだけの、いい走りを見せたいです。たしかに今まで、グランツール総合優勝経験者と同じチームで走ったことはありません。……まあヴィンチェンツォ・ニバリがツールに出場するようなら、僕もまた、クライマーになるしかないんです。上れるよう体を絞り込んでいく。だって平坦を引けないんだったら、上れるようになればいいんです!上り口でしっかり仕事ができるよう、照準を合わせて、体を変えていくしかないんです。ツール出場はあきらめません。自分のタイプを変えながらも、なんらかの道を探っていきます」