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ファビアン・カンチェッラーラ ジャパンカップ直前インタビュー!

明日、宇都宮にて開催されるジャパンカップ・クリテリウムで、プロサイクリストとしてのキャリアを終える、リオ五輪の個人TT金メダリスト、ファビアン・カンチェラーラ(トレック・セガフレード・CAテクノロジー)。昨日深夜に来日したカンチェラーラと個人的な親交のある国際派自転車ジャーナリスト・難波ケンジが、引退をひかえたその心境を滞在中の東京駅直結のホテルで聞いた。
 
text&photo:難波ケンジ

日本のファンはいつも特別だ。

 
 
ーアブダビで開催されたUCIガラパーティー(アブダビツアーに先立って開催された年間のUCI優秀選手を一堂に集めた、フォーマルなパーティーイベント)から直接の東京入りとなりましたね?1年ぶりの日本は?
「日本のファンはいつも特別だ。昨夜も深夜の到着にも関わらず数十名のファンが空港に駆けつけてくれた。世界中のどの国に行ってもこんなに熱心なファンがいる国は他にはない。また日本に帰ってこれて嬉しいよ。」

ーいよいよ、明日のクリテリウムでプロフェッショナルとしてのキャリアを終えることになります。その心境を聞かせてください。
「リオ五輪で金メダルを取った瞬間に、自分の中でのプロフェッショナルとしての走りを発揮するプロ生活は終わっているので、それ以降のレースはエピローグのようなもの。でも、そのエピローグを宇都宮で終えることにしたのは、やはり日本のファンがこれほど熱心に私のことをサポートしてくれるから。もし、ジャパンカップが(日曜日の)UCIロードレースだけだったら出走しなかったけど、クリテリウムなので出走して、そしてここでキャリアを終えることにした。ヨーロッパのポストシーズンクリテリウムではなく、本気のUCIレースのジャパンカップのクリテリウムという事に意味がある」。
 

7は特別な数字だと思っている

 
 
 
 
ー今日の詳しいインタビューは、11/20発売のサイクルスポーツ本誌に掲載しますが、サイスポ.jp編集部からどうしてもカンチェッラーラに聞いてほしいという質問が届いています。そちらを質問させてください。まず、レース前に必ず行っているゲン担ぎのようなものはありますか?
「7だね」。

ー7?ラッキーセブンですか?
「7は特別な数字だと思っていて、今までのキャリアを振り返って、勝てたレースの日は例えばホテルの部屋番号が7だったり、ゼッケンが43(4+3=7)だったり、ゴール時間が3時7分だったり、何故か7に関連する事が多い。多くの場合は勝った後に気がつくけれど、スタートする前に7に関連する何かが出てきたら今日はイケると思うことがあるね」。

ーいつもの愛車にはステムにエンブレムが貼ってありますが、あれもゲン担ぎですか?
「あれはメカニックからのお守りのようなもの。でも、エンブレムの中の鉾の数が7本あるんだ。だから、ゲン担ぎといえばゲン担ぎだね」。
 

憧れの選手はいますか?

 
 
ー質問が飛びますが、編集部からの質問です。ロードレースを始めた頃の憧れの選手は居ますか?
「始めたばかりの頃は、それは強い選手が憧れだよ。ツールの皇帝ミゲール・インデュラインはヒーローさ。でも、ヒーローは見るレースによって変わる。クラシックならクラシックのヒーローがいるし、ジロならジロのヒーローといった具合さ。それはみんな同じだろ?」

ーマペイに入って、憧れの大先輩という意味では?
「去年も話したけど、タフィ、バッレリーニ、ムセウ。特にバッレリーニは、すべてが完璧。神の域の走りに今でも深く尊敬している。バッレリーニ自身に何かを手取り足取り教えてもらうという事はなかったが、思い出深い話としては、最初にクラシックを走った頃かな?(アシストとして仕事もできず)チームも散々な結果だったけど、バッレリーニにこう言われたんだ。”今日の成績には満足していないかもれないし、私も満足していないが、君はいつの日か必ずクラシックの王になれる日が来るから安心して精進しろ。”とね。結果としてキャリア全体を通してクラシックでは活躍出来たが、今でもあのバッレリーニの言葉は覚えているよ」。
 

タイヤの空気圧はトップシークレットだったけど……

ー更に編集部からの質問です。レースの時のタイヤの空気圧を教えてください。その日によって変えますか?
「それはトップシークレット。でも、もう明日で引退だから教えてもいいかな。数字としては明確にいくつとは決めていない。コースや天候に合わせてメカニックが決めて出してきたタイヤに乗って、自分の感覚で微調整しているんだ。だから毎日違うし、もちろん23Cなのか、25Cなのか、アスファルトなのかパヴェがあるのかで全然違う。でも8気圧が基本かな。TTだと11気圧まで上げることもある。その上で感覚で微調整している。」

ー今後の進退については?
「レースではないが、自転車には関わり続けていくし、自転車と家族が中心の生活になるね。お楽しみに。」

ー移動の連続でお疲れのところ、貴重なお話をありがとうございました。
「多くのファンが宇都宮に駆けつけてくれることを期待しているよ」


11/20日発売のサイクルスポーツ本誌では、カンチェッラーラ氏が誌面に登場し、他では読めない独占インタビューと企画を展開する予定です。