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トレック・ドマーネSLR7 & SLR6ディスク アサノ試乗します!その3

シートチューブをしならせる独自の手法で快適性を高めたトレックのエンデュランスロード・ドマーネシリーズ。2017年モデルでフルモデルチェンジを果たし、新たなテクノロジーが搭載された新ドマーネのセカンドグレードSLR7の実力に迫る。
 
text:浅野真則 photo:岩崎竜太

最高峰のフレームにアルテグラDi2を搭載


ニュードマーネのセカンドグレードSLR7。ハイエンドのSLR9と同じフレームに、メインコンポーネントにシマノ・アルテグラを搭載するなどして手の届きやすい価格を実現している魅力的なパッケージだ。リアIsoスピードはピボットの位置を変更してリニューアルしただけでなく、アジャスターを搭載してフレームの縦剛性のコントロールを可能にした。これにシートマストを組み合わせ、Isoスピードによるシートチューブのしなりを最大限に生かし、優れた快適性を実現する。また、ヘッドチューブにもフロントIsoスピードを搭載し、フロントフォークからの振動も積極的に吸収しすることを可能にした。フレームにはトレックが誇るOCLV600シリーズカーボンを採用し、優れた重量剛性比を誇る。
 

バイクの乗り味が七変化。アジャスター搭載で進化したIsoスピード


シートチューブをしならせて快適性を高めるIsoスピードを搭載したドマーネシリーズは、これまでの自転車界の常識を覆すエポックメイキングなモデルだった。その鮮烈な印象がまだ冷めきらないうちに、トレックはさらにわれわれの想像を超えるバイクを登場させた。ドマーネSLR7だ。

初代モデルにも搭載されたリアIsoスピードはこのモデルでも踏襲されたが、しなり具合を調整するアジャスターを搭載し、ピボットの位置も見直すなど、中身は全くの別物といっていいほど進化を遂げた。さらにヘッドチューブ内にもフロントIsoスピードという新しいテクノロジーを搭載。ハンドル周りの衝撃吸収性を劇的に高めたという。

まずはリアIsoスピードのアジャスターを真ん中あたりにして乗ってみる。突き上げのいなし方がこれまでのドマーネに近く、やや快適性が勝った乗り味であると感じた。さらにシートポストがしなりにくい方向にアジャスターを調整すると、フレームのカッチリ感が際立った乗り味に。レーシーさが強調され、路面からの突き上げはよりダイレクトに伝わるものの、レースバイクとしては十分すぎるほどの快適性だ。最後にアジャスターを最もシートチューブがしなる方向に調整。すると今度はこれまでのドマーネよりもはるかに快適性が高まったと感じた。1台のバイクがこれほどまでに乗り味を変えるとは驚きだ。

快適性を高める要素として、フロントのIsoスピードもいい仕事をしている。フロントまわりの路面からの大きな突き上げは、フロントIsoスピードが効果的にいなしてくれる。さらにラバーコンパウンドのインナーレイヤーによって高周波の振動吸収性を高めたIsoコアハンドルバーが細かな振動を効果的に吸収する。これらの相乗効果はちょっと乗っただけでも違いが分かるレベルだったので、長距離ライドでは相当な効果を感じられそうだ。

加速する、曲がる、止まるといった基本的走行性能は、上りや下り、平坦などあらゆるシーンで安定して高いレベルにあった。軽量ピュアレーサーのヒラヒラ舞う感じではなく、エアロロードのような高速域で伸びていくイメージでもなく、尖った部分のない優等生的なイメージだ。これを退屈と感じる向きもあるかもしれないが、ドマーネには、寝かせ気味のヘッドアングルや少し長めのホイールベースに由来する安定性の高さという強みがあり、誰もが走行性能を引き出して楽しく走れる懐の深さがある。

ただ、レーススピードで走ることを重視すると、ヘッドチューブが長めのエンデュランスジオメトリーでは個人的にハンドルバーの位置が高すぎると感じた。そのような場合にはプロジェクトワンでOCLV700カーボンを選ぶことでよりヘッドチューブが短いプロエンデュランスジオメトリーにすることもできるが、これだけで12万円余分にかかる。とはいえ、低めのハンドル位置を好む自分のような志向のサイクリストは少数派だろうから、このことは大多数のホビーサイクリストにとっては問題にすらならないかもしれない。

今回試乗した完成車のSLR7は、ハイエンドのSLR9と同じOCLV600カーボンフレームに、シマノ・アルテグラとボントレガーのチューブレスレディアルミホイールという組み合わせ。コンポーネントやホイールをあえてハイエンドモデルとしないことで、現実的に手が届きやすい価格帯に抑えたこともホビーサイクリストには魅力と言えるだろう。プロジェクトワンを利用すれば、このバイクと同じようなパーツ構成でもハイエンドモデルを購入するより安くオリジナルデザインの完成車だって手に入れられるのだ。
 

■トレック・ドマーネ SLR7
シマノ・アルテグラ完成車価格/68万円(税抜)
●フレーム/カーボン ●フォーク/カーボン ●コンポーネント/シマノ・アルテグラ ●ホイール/ボントレガー・パラダイム コンプ ●タイヤ/ボントレガー・R3 700×28C ●ハンドル/ボントレガー・プロ アイソコア ●ステム/ボントレガー・プロ ●サドル/ボントレガー・アフィニティ エリート ●サイズ/50、52、54、56、58、60、62
 
■浅野真則
実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、海外のグランフォンドにも参加経験がある。愛車はスコット・アディクトとキャノンデール・キャード10。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。
 

より手の届きやすいモデルが「ドマーネSLR6」

ラバーコンパウンドのインナーレイヤーを設け、振動吸収性を高めたIsoCoreハンドルバー。細かな振動をよく吸収し、荒れた路面でも手がビリビリすることがほとんどない
フロントIsoスピードは、フォークのコラムがヘッドチューブ内のリング状の部分に通る構造。ブレードからステアリングコラムまでを積極的にしならせることで快適性を高める
ドマーネSLRシリーズのリアIsoスピードは、シートチューブのしなり具合を調整するためのアジャスターを搭載している。上に移動させればカッチリ感が増し、下に移動すればよりしなやかな乗り味となる
軽さと剛性を高いレベルで両立するOCLV600グレードのカーボンフレームを採用。プロジェクトワンでは、さらに重量剛性比に優れたOCLV700カーボンも選ぶことができる
シートチューブにシートマストをかぶせるトレック独自の方式を採用。サドル高の調整が容易なだけでなく、Isoスピードによってシートポストがしなるのを妨げず、快適性向上にも寄与する
旧モデルよりタイヤクリアランスを拡大。キャリパーブレーキ仕様は、ボントレガーのスピードストップダイレクトマウントブレーキを採用し、700×28Cのタイヤまで対応する

ドマーネ SLR 6 ディスク

ドマーネSLR7と同様のアジャスター付きのリアIsoスピードとフロントIsoスピード、OCLV600カーボンフレームを採用するディスクブレーキ搭載モデル・ドマーネSLR6ディスクにも試乗した。SLR7との違いは、油圧式ディスクブレーキ搭載であることと、メインコンポーネントがDi2ではない普通のアルテグラになっていることだ。

ディスクブレーキ搭載モデルは、700×32Cのタイヤを標準装備しており、このモデルもキャリパーブレーキを搭載するSLR7よりも快適性の高さに磨きがかかっている印象を受けた。走行性能に大きな違いは感じられないが、上りでの軽快さや加速の乗りの良さは、わずかな差ではあるがキャリパーブレーキ仕様に軍配が上がる。快適性を第一に考えるならSLR6ディスク、キビキビとした走りを楽しみたいならSLR7かSLR6がいいだろう。


■トレック・ドマーネ SLR6 ディスク
シマノ・アルテグラ完成車価格/64万円(税抜)
●フレーム/カーボン ●フォーク/カーボン ●コンポーネント/シマノ・アルテグラ ●ホイール/ボントレガー・パラダイム コンプ ディスク ●タイヤ/ボントレガー・R3 700×32C ●ハンドル/ボントレガー・プロ アイソコア ●ステム/ボントレガー・プロ ●サドル/ボントレガー・アフィニティ エリート ●サイズ/50、52、54、56、58、60、62
 

試乗を行った展示会「トレックワールドジャパン」の模様を動画で!


京都で行われた「トレックワールドジャパン」。トレックのバイクを始め、ボントレガーのアクセサリーなどが一堂に会する国内最大の”トレックフェス”。その模様を動画で楽しめます。


問い合わせ先

トレックジャパン
www.trekbikes.com/jp