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【20万円台で乗れるロードバイク】ピナレロ・ネオール



ピナレロ伝統のレシピを用いたモデル「ネオール」。性能もルックスも深みも欲しい人にオススメだ。

 
text●安井行生 photo●永田まさお

この価格で「ピナレロの味」が手に入る

シートステーをカーボンとし、動力性能を維持したまま乗りごこちアップを図るカーボンバック。ヘッドベアリングをフレームに内蔵し、ヘッド剛性を向上させるインテグラルヘッド。フォークとシートステーを大胆に湾曲させ、剛性と快適性の両立を図るオンダフォーク。フレームの右と左で形を変え、バランスを適正化する左右非対称設計。ピナレロが自転車界に持ち込んだ新技術は枚挙に暇がないが、この4つの設計技術はインパクトが強かった。  

もちろん、時代の移ろいによって技術は革新を迎えるし、淘汰もされる。事実、現在のピナレロの トップモデルはフルカーボンフレームになり、オンダフォークも形状を大きく変えている。しかし、これら4つのピナレロ伝統のレシピを用いたモデルが、2016年の今でも一台だけ存在する。アルミカーボンバックフレームの「ネオール」である。  

ネオールの概要を簡単に説明するとこうだ。まず、油圧成型でアルミチューブを複雑に加工し、それでフレームの基幹をガッチリと作る。そのままでは乗りごこちが悪くなるので、フォークとシートステーをカーボンとして快適性を確保。そのカーボンセクションはオンダ形状にして走りを磨き、さらにフレームの要所に左右非対称設計を取り入れバランスを高める。 ネオールは、各所にピナレロが先鞭をつけた技術を取り入れた「血中ピナレロ濃度」がかなり高いモデルなのである。


 


ピナレロ・ネオール
シマノ・ティアグラ完成車価格/22万円(税抜) 

フレーム●アルミニウム6061-T 6、カーボン24HMUD 
フォーク●オンダFPカーボン 24HMUD 
コンポーネント●シマノ・ティアグラ 
ホイール●シマノ・WH-R500 
タイヤ●ヴィットリア・ザフィーロ 700×25C 
ハンドルバー●モスト・DB ALU 
ステム●モスト・4BOLT ALU
シートポスト●モスト・ALU
サドル●モスト・レオパード 
サイズ●42SL、44SL、46SL、50、52、54、56、58、60、62 
カラー●648ホワイト×ブラック×レッド、647BOB 
試乗車実測重量●8.99kg(46サイズ、ペダルなし)


 
コンポーネントは全てシマノ・ティアグラで統一されている。非純正パーツを混用した105完成車より操作感はいいくらいだ
コンポーネントは全てシマノ・ティアグラで統一されている。非純正パーツを混用した105完成車より操作感はいいくらいだ
2003年に登場したオンダフォーク。何度も湾曲する独得の形状により直進安定性、快適性、ハンドリングの一挙三得を実現
2003年に登場したオンダフォーク。何度も湾曲する独得の形状により直進安定性、快適性、ハンドリングの一挙三得を実現
メンテナンス性を重視し、BBはオーソドックスなスレッド規格を採用する。各チューブは適度に太く、堅実に作られている
メンテナンス性を重視し、BBはオーソドックスなスレッド規格を採用する。各チューブは適度に太く、堅実に作られている
サドルやハンドルはピナレロのオリジナルブランド、モスト。フレームの塗装も凝っており、イタリア車らしい雰囲気をたたえる
サドルやハンドルはピナレロのオリジナルブランド、モスト。フレームの塗装も凝っており、イタリア車らしい雰囲気をたたえる
カーボンセクションは左右非対称。レーシングゼロやボーラワンくらいなら難なく履きこなすであろう骨太なフレームである
カーボンセクションは左右非対称。レーシングゼロやボーラワンくらいなら難なく履きこなすであろう骨太なフレームである

安井行生の試乗インプレッション

ピナレロのDNAを受け継いだ...... などといくら耳当たりのいいことを言っても、それが走りにつながっていな ければ無価値だが、このネオールはかつて異次元の完成度で一世を風びした「ピナレロのカーボンバックらしさ」 がそっくりそのまま味わえる一台である。

どこもかしこもしっかりと作られたフレームは、踏めば力強いトラクションが湧き上がる。オンダフォークならではの安定感は、意のままに操る楽しさを提供してくれる。挙動が素直で良く進むだけでなく、ピナレロらしさを色濃く受け継ぐ走りに感動できる。何より、ペダルの一回転一回転に「走らせる歓び」があるところがすばらしい。この価格で「深み」や「らしさ」を味わえるバイクは少ない。この根源的な〝ロードバイクの魅力〞はいつまでたっても色あせないだろう。

ティアグラ完成車で22万円と、ライバル他車に比べればコスパでは不利に思えるが、忘れてはならないのは豊富なサイズ展開である。この価格帯は3~4サイズを作ってよしとするメーカーが多いなか、ネオールは10種類ものサイズを用意する。いくら安価でも体にフィットしなければ意味がない。低 価格帯でも決して手を抜かないピナレロの良心である。

 

問い合わせ先

ピナレロジャパン
072・238・0039
http://www.pinarello.jp/