トピックス

雪のレースでプールスがサプライズ優勝! リエージュ~バストーニュ~リエージュ 2016

春のクラシックシーズンを締めくくる
リエージュ~バストーニュ~リエージュは
冬のような一日になり、
雪でコースの一部も変更になった。
その過酷なレースを制したのは、
優勝候補に名前も上がっていなかった
オランダのプールスだった…
 
Photo: Graham Watson

雪のリエージュ~バストーニュ~リエージュ

 
ベルギー南部ワロン地方で開催されるリエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)は、現存するレースで最も歴史が古く、 “ラ・ドワイヨンヌ(長老)” の愛称を持つ。今年は4月も中旬だと言うのに、天気予報通りに冬のような一日になり、スタートから気温は1度Cで、冷たい雨や雪と闘う過酷なレースになった。

優勝候補の筆頭は、水曜日のフレッシュ・ワロンヌ(UCIワールドツアー)で大会史上初の4勝目を上げたスペインのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)で、チームは一日中集団をコントロールする仕事に徹していた。

しかし、今年ゴール手前3kmに新しく加えられた石畳のナニオ通りの丘で、先頭集団からスイスのミヒャエル・アルバズィーニ(オリカ・グリーンエッジ)がアタックしたとき、バルベルデは彼を追わなかった。

そこでアルバズィーニに付いて行ったのは、ポルトガルチャンピオンのルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)、スペインのサムエル・サンチェス(BMC)、オランダのウォートル・プールス(チームスカイ)だけだった。

「石畳はこのレースで決定的な場所にはならないだろうと思っていた。しかし、結局はそれでスプリント勝負に戻すことができなかった…」と、バルベルデはレース後に敗因を語っている。

最後はナニオ通りの丘で抜け出した4人のゴール勝負になり、坂を上りきった残り250メートルのカーブで最初に仕掛けたプールスがそのまま先頭でフィニッシュラインを通過し、サプライズな初優勝を勝ち取った。

オランダ人がリエージュ~バストーニュ~リエージュで優勝したのは、1988年のアドリ・ファンデルプール以来28年ぶりで、プールスは4人目のオランダ人優勝者になった。それは彼が昨年から所属している英国のチームスカイにとっても、モニュメントと呼ばれる5大クラシックで初の勝利だった。
 
 
リエージュ~バストーニュ~リエージュの第102回大会は、気温1度Cで冷たい雨が断続的に降るリエージュを200人がスタート。冬のような寒さだったが、時折太陽が顔を出すこともあり、ベルギーらしくめまぐるしく天気が変わる一日だった。

11km地点でトーマス・ドヘント(ロット・ソウダル)、アレッサンドロ・デマルキ(BMC)、ジェレミー・ロワ(FDJ)、パベル・ブルット(ティンコフ)、パオロ・ティラロンゴ(アスタナ)、ニコラ・エデ(コフィディス)、チェーザレ・ベネデット(ボーラ・アルゴン18)が集団から逃げ出し、50km地点でベガルトスターケ・ランゲン(IAM)が加わって8人になった。

ランゲンが集団から飛び出した直後、主催者は雪が積もった標高の高い丘越えを避けるため、45km地点から75km地点までのルートを変更。そのため距離は5km縮まり、253kmから248kmになった。

折り返し地点のバストーニュ(106.5km地点)で、8人は集団に9分差を付けていたが、後半には9ヶ所の丘越えが選手たちを待ち構えていた。しかもゴールまで70km地点では、レースは激しい雪に見舞われた。

ゴールまで残り60kmのロズィエの丘で、集団からトマ・ヴォクレール(ディレクトエネルジー)がアタックしたが、先頭の逃げに合流することはできなかった。先頭の逃げもバラバラになり、エデとデマルキの2人が抵抗を続けたが、残り25kmで集団に吸収されてしまった。

先頭集団を昨年2位になったジュリアン・アラフィリップと、優勝経験者のダニエル・マーティンを擁したベルギーのエティックス・クイックステップが引く中、ゴールまで残り18kmでカルロス・ベタンクール(モビスター)がアタックしたが、5km先で捕まってしまった。

残り7kmのサン・ニコラの丘では、ディエゴ・ローザ(アスタナ)とイルヌール・ザカリン(カチューシャ)がアタックしたが、やはり成功しなかった。ここでイタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)は、先頭集団から脱落してしまった。
 

そして迎えた最後のナニオ通りの丘は今年初めてコースに加わった丘で、600メートルと短く平均勾配は10.5%だったが、石畳の道だった。ここでアルバスィーニがアタックし、コスタ、サンチェス、プールスとともに集団から逃げ出すことに成功した。

残り1kmのフラム・ルージュを通過した時、4人は集団に10秒差を付けて最後の坂を上り続けていた。誰が勝っても初優勝という状況の中、ゴール手前のカーブで最初に仕掛けたプールスが、その栄光を勝ち取った。

ひどい降雪に見舞われた1980年大会では、参加174選手中21人しか完走できなかったが、今年は参加200選手中154人が完走を果たしている。

■初優勝したプールスのコメント「天候のせいで本当にハードな一日だった。防寒が肝心なので、僕はウエアでそれに対処する準備をしていた。リエージュで勝つなんてすごい。3年前のひどい落車の後で、夢が実現したようなものだ。今や僕はより堅実で、浮き沈みの少ない完璧な選手だ。リエージュは子供のころTVで観ていたモニュメントレースの1つだ。それで勝ったなんて信じられないよ」
 
 

第102回リエージュ~バストーニュ~リエージュ結果

1 ウォートル・プールス(チームスカイ/オランダ)6時間24分29秒
2 ミヒャエル・アルバズィーニ(オリカ・グリーンエッジ/スイス)
3 ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ/ポルトガル)
4 サムエル・サンチェス(BMC/スペイン)+4秒
5 イルヌール・ザカリン(カチューシャ/ロシア)+9秒
6 ワレン・バルギル(ジャイアント・アルペシン/フランス)+11秒
7 ロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ/チェコ)+12秒
8 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+12秒
9 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+12秒
10 ディエゴ・ローザ(アスタナ/イタリア)+12秒

http://www.letour.fr/liege-bastogne-liege/2016/us/
 

Liège Bastogne Liège - Best of 2016 (English) par tourdefrance