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ブラッシュアップされたハイエンドキラーRIDLEY FENIX SL

現在進行形でプロ選手によって使い倒されているバイクを、貧脚ジャーナリストが同じタイミングで試乗した印象を掲載するということに、いつもの試乗記事以上の緊張感を持ちつつ筆を進める。モデル名に「~SL」とつけるのはリドレーの定石アップグレード方法。とはいえ名前だけが”えらく”なっているのではなく、中身もしっかりとブラッシュアップがなされていることを実感できる。
text●ナカジ photo●山内潤也

人気のフェニックスの”SL”が登場

名前にあるフェニックスは、同社の2013年モデルにラインナップされたミドルクラスカーボンフレームだ。その前年ツール・デ・フランドルにおいて、さらに今年のツール・ド・フランスでもステージ優勝をあげているロット・ソウダルのA・グライペルが使用。ミドルクラスのフレームながら他社のトップカテゴリーモデルと互角に闘える性能を持ち合わせていたことから、ハイエンドキラーと思ったモデルだ。実際に試乗してみて、バランスのいいフレームだったと記憶している。

そのフェニックスに本当の”ハイエンド”が登場した。同社の軽量モデル由来の極細シートステーにエアロフォークを組み合わせることで、戦闘力をアップさせたモデルだ。フレーム素材として30t、24tカーボンを採用し、ノーマルフェニックスに対して250gもの軽量化を達成している。また、太めのタイヤを装着できるようにクリアランスを大きくし、28Cまでのタイヤが使用可能となっている。

BBはBB86規格を採用。ダウンチューブの形状は同社のアイコンでもある「エッジチュービングデザイン」で、ヘッドチューブとの接合部を縦方向に、BB側を横方向に広く取ることによって必要な剛性を確保。

細いシートステーに加えて、27.2mm径のシートポストで快適性を確保している。3年の時を経て、トレンドに合わせた仕様にブラッシュアップされたといえる。
●フォークの付け根からダウンチューブへと面がつながったデザインとすることで、空気抵抗の軽減を狙っている
 
 
 
 
 
 
 
 
●シートポストの径を27.2mmと細めにすることで積極的にしならせ、振動吸収効果をねらう。他社では更に細い独自規格を採用しているところもあるが、27.2mm径ならパーツメーカー各社からシートポストがそろっているので選択肢が広い
 
 
 
 
 
●BBは定番のBB86を採用している。
●エッジチュービングはアルミフレーム時代からのアイコン的デザイン。この形状による剛性のメリハリが"らしさ"を演出している
 
 
 
 
 
 
 
 
●タイヤとフレームのクリアランスは余裕があるので、ロードバイクに太めのタイヤを装着する昨今のトレンドを反映した設計になっている。28Cの太さまで装着することが可能だ
 
 
 
 
 
 
 
●極細シートステーは横から見ると薄く、後ろから見るとやや幅がある。サスペンションのようにホイールを路面に接地させている
フロントセクションが硬く、リヤセクションで快適性を出す今どきの設計だ。路面のちょっとした凹凸はリヤセクションがいい具合に消してくれる。フェニックスはフレーム全体で剛性を出し、振動をいなすバランス型のフレームだったので、それと比べるとキャラクターが異なるといえる。

とくにヘッドまわり。フォークがしっかりしているのは、ダンシングで上っているときに感じる。またコーナリング中に突っ張る感じがある。坂の途中でガツンと踏み込んでいくと、1、2で一気に前に出るというよりはじわじわのびていくイメージ。

ブロック敷きの凹凸路面を低速で走っていると、フロントまわりの硬さがハンドルを通して伝わってくるが、速度を上げるとリドレーらしい、凹凸の頂点だけをつないでいくスムーズな走りを見せる。

ダンシングでバイクを倒して起こしてという動作を繰り返しながらペダルをこぐと、フレームが斜めになったときにクランクがすっと抜けていく。これはエッジチュービングのエッジから平面へと変わっていくタイミングなのか、自分にはいい感じだった。

 

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■ジェイピースポーツグループ
http://www.jpsg.co.jp/ridley/