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トレック渾身のエアロロード 新型マドンのギミック詳細

7月1日、ツール・ド・フランス開幕直前のタイミングでオランダ・ザイストでトレックが2016年モデルの新型マドンを発表した。空力性能を飛躍的に高めたエアロロードであると同時に同社がもつ技術を惜しみなく注ぎ込み快適性、軽さも併せ持ったバイクに仕上がっている。
 
text&photo:ナカジ

注目モデルが早くも国内に上陸

マドンの新型はサンディエゴの風洞実験施設でのテストに加えて、センサーを取り付けての実走テストで空力性能が煮詰められている。風洞実験だけではわからないリアルワールドでの性能を追求しているのだ。開発にはのべ100台以上のプロトタイプが作られた。
 

ワイヤ類がほぼ見えない

そのハンドル周りはワイヤ類が一切露出していない。ワイヤ類はコントロールレバーの根元からハンドルに内蔵がスタートし、ステムへ。フロントブレーキワイヤはフォークコラムの前にある溝に沿わされて専用ブレーキキャリパーへ。
 
ヘッドチューブには可動カバーがつけられ、ハンドルの舵角が大きくなると、ワイヤと干渉しないようにそのカバーが横方向に開閉する構造だ。前後ブレーキについてはカバーをあけて調整する。
 
空気抵抗を低減すべく、ヘッドチューブの形状をアレンジしたとしてもその前面にワイヤがあるとそれだけで抵抗が増えてしまい、ヘッドチューブの空力性能がスポイルされてしまう。それを解決する設計だ。まるで組立途中のワイヤを通していない状態かのようだ。
 
コンポーネントに機械式変速を採用する場合は、ダウンチューブの途中にワイヤテンションを調整できるダイヤルが備わる。シマノ電動変速を採用する場合は、変速調整をするジャンクションAが同じ場所に、ビルトインタイプのバッテリーと一緒に格納される。
 
 
 
リヤブレーキケーブルも、もちろんトップチューブに内蔵される。リヤブレーキもフロント同様センタープルタイプが採用される。そのワイヤラインはシートチューブを貫通してくる斬新なルート。構造は特殊だが、ワイヤの流れは無駄なカーブがないので低抵抗を実現できる。
 
空気抵抗についての取り組み以外にも、エンデュランスロードのドマーネに採用されているISOスピード機構も搭載されている。

シートチューブとトップ チューブの交点にベアリングを採用した支点をつくり、アクティブに動かすことで、リヤからの突き上げを緩和するもの。マドンではエアロチューブの内部に、 しなりを作り出すための円型チューブが入る二重構造になっている。
ジオメトリーはレーシングなH1(OCLV700カーボン使用)、とH2(OCLV600カーボン使用)。各サイズに最適な剛性、乗り心地に設計されている。

シートポストは長さが2種類、オフセットも2種類。ボトルケージの位置も空気抵抗がいちばん少なくなる高さに最適化されている。
 

フミ「今まで乗ったどのバイクより速い!」

発表会にはトレックチームの別府史之が登場。「いつも走っている道で試乗したけれどすごく速いのが明らか! スプリント練習でも速度を維持するのがラクですね。ブレーキングポイントが変わってしまうくらいスピードが出る。今年のドーフィネでチーム使ったとき、自分は新型ではないバイクにのっていたんですが、トレインを組んだ時に新型に乗るチームメイトに前後を挟まれて走ったんです。すると前を走るチームメイトは離れていくし、後ろがブレーキをかけている。これってすごいことですよ」とその性能に舌を巻く。

「TTバイクに近い見た目ですが剛性一辺倒ではなくて、ロードレースに合うような快適性を持っています。衝撃吸収がいい。チームとして3、4年テストライドを重ねてきたんですが、バウク・モレマは「山岳の麓に楽に到達できる」と言っています。自転車がもっと走ろう! と言っているようで、走ること自体を楽しくしてくれるバイクですね」
 

問い合わせ先

トレック・ジャパン
http://www.trekbikes.co.jp/jp/ja/