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TOJ参戦中のNIPPO・ヴィーニファンティーニに密着!【いなべ】

キャプテンのポッツォが第2ステージで山岳賞ジャージを獲得!
 

三重県いなべ市で開催された新ステージ

日本最大のステージレースであるツアー・オブ・ジャパン(アジアツアー2.1)。第2ステージは今年初めて三重県いなべ市で開催された『いなべステージ』だった。コースは農業公園(梅林公園)がフィニッシュ地点になる15.2kmのサーキットで、1.4km地点に山岳ポイントがあり、そこから8km地点まで下りがつづく。道幅は狭く、カーブの多いコースだ。
 
山岳ポイントの手前には最大勾配17%という激坂エリアがあり、ベルギーのフレッシュ・ワロンヌで有名なウイの壁とまではいかないが、かなりキツイ上り坂だ。ここは総合成績で大差がつくような難しいステージではないが、総合を狙う上ではけっしてライバルたちからは遅れてはいけないステージだった。
 
前夜は激しい雨が降り続き、三岐鉄道北勢線の阿下喜駅前でスタートセレモニーが行われた時にも、まだ雨は降り続いていた。この日、NIPPO・ヴィーニファンティーニのタイトルスポンサーである株式会社NIPPOの岩田裕美代表取締役社長は、多忙にもかかわらずスタートを訪れて選手たちを激励した。
 
ニュートラルのパレード走行が終わり、農業公園(梅林公園)の周回コースに入ってレースがスタートするとすぐに山本元喜がアタックし、中根英登(愛三工業)とともに逃げたのだが、他に合流する選手はなく、最初にコントロールラインを通過する前に捕まってしまった。
 
「山本は今日がんばっていたが、なかなかうまくいかなかった。(行くのが)早すぎたのかもしれない。積極的な選手が他にはいなかった」と、大門監督はふり返っている。
 
山本はその後も雨天の中、3周目でアタックして9選手の逃げを形成したが、これも長くは続かなかった。しかも集団に吸収されたあと、彼はコントロールライン前の右カーブで転倒してしまった。集団にはすぐ復帰したのだが、激坂エリアに入った途端にディレーラーが破損していたことがわかった。
 
この日はNIPPO・ヴィーニファンティーニのチームカーの序列が13番目だった上、道幅の狭い上り坂ではチームカーが渋滞。仕方なく、山本は自転車を持って歩いて坂を上った。その途中でやっとチームカーが追いつき、彼は自転車を交換することができた。幸いその後の下りが長かったため、彼はすぐ集団に復帰することができた。

ポッツォが山岳賞を獲得!

キャプテンをつとめるマッティア・ポッツォは、2周目に設定されていた今年最初の山岳ポイントは集団の先頭で通過し、5ポイントを獲得した。その後、彼は3回目の山岳ポイントでも3位通過で2ポイントを獲得し、今年のTOJで最初の山岳賞ジャージをチームにもたらした。
 
「スタート前に、山岳賞は取れたら取りに行こうという話はしていた」と、大門宏監督はレース後に語った。「取れるものは取っておかないと。やはり毎日ニュースがないといけない。ボクらはそのために来ている。取れるものがあって、調子よくポンポンと取れた。それを維持できるかどうかは別として、プロなのだから毎日こういうニュースがないとダメだ。今日だって十分露出になっている」
 
「ポッツォも明日は1コか2コ取っておかないといけない。1日でもジャージを守れればいい」と、大門監督は美濃ステージでもレッドジャージをキープするつもりであることを明かした。

総合を狙う2人は精鋭グループでゴール

終盤に集団から飛び出した14人のグループには、総合成績でエースをつとめるコロンビアのディディエール・チャパッロとアントニオ・ニーバリの2人が入っていた。
 
この先頭グループには、昨年総合優勝者のミルサマド・プルセイエディゴラフール(タブリスペトロケミカル)やスペインのフランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイ)、そしてブリヂストンアンカーの2人のフランス選手も入っていて、遅れを取ることは許されなかった。
 
最後はチュニジアのラファー・シティウイ(スカイダイブドバイ)が抜け出して区間優勝を上げたが、チャパッロとニーバリも15秒遅れの精鋭グループでゴールした。
 
「今日チャパッロは強かった。チャパッロもニーバリもスプリント力があるわけではないので、あのグループでは区間優勝はできないが、今日は遅れてはダメな日だった。総合は富士山の争いになるので、そのとき少しでも不利な状態ではいけない」と、大門監督はふり返った。
 
「今日は富士山でライバルになる選手から2人とも遅れなかったのでよかった。山本の落車は痛かったが、今日はチーム的には上出来だった」
 
しかし、新ステージでのレース展開は大門監督の予想とはちがっていた。「集団がもっとバラけるかと思ったが、バラけなかった。積極的に前へ行くチームがあると思っていたが、みんなそんなに引き離すつもりはなかったようだった」
 
「遅れなければいいというチームが多かった。お互いの顔色を見ながら走っているという感じ。今日はチームカーが13番目でよく見えなかったが、慣れていないはずの外国人に抑えられて、最後に持って行かれた印象だった」
 
「日本のチームはコースを知っていて地の利があるのだから、もっと攻撃しなければいけなかったと思う。今日見ていて、外国人の思うように走らされている感じだった。とにかく力がない。ずっと日本で同じレベルでやっているからではないかと思う」
 
「(日本のチームに所属している)外国人選手も、日本のレベルでずっと走っているから、強くなっていない気がした。選手は常に強い人間とやっていないとレベルが落ちていくものだ」
 
「最後に14人抜け出した時にも、日本人は誰も入っていなかった。できればそこに日本人がいればよかったんだろうが、日本人にとってはいいレースではなかった。弱さを暴露したようなレースだった」
 
「日本チームでは逃げに入っていないチームがあったから、みんなで追えばよかったと思う。愛三だけが追っていた。前もそんなにギンギンに行っていたわけではないから、後ろがちゃんと協力していたら追いついていただろう」
 
「ああいうところが日本人の弱い所だと思う。追いついてふりだしにもどしてもよかったと思う。利害が一致する時はちゃんと一緒に働かないといけない。これが日本の現状。弱いのにはいろいろ原因があるが、そういう所も弱い要因の1つではないかと思う」
 
「マリーニと黒枝には、今日は集団からは絶対に遅れるな、変に取り残された集団には残るなと言ってあったので、気をつけていたのではないかと思う。上りで問題がないわけではないが、今日は多分、スピードが上がらなかったのだろう。2人ともちゃんと集団に残っていたから、多分あまり速くなかったのかもしれない。日本のレベルで助かったという感じだった」ちなみにこの日の区間優勝者の平均時速は40.6km/hだった。

いなべの新コース

今年初開催だった『いなべステージ』の周回コースは、時折猿が顔を出すような自然が豊かなエリアだった。道幅が狭くて選手を間近で観られ、見どころとなる激坂エリアがコントロールラインから近いのも観戦者にはうれしいコースだった。
 
初開催で雨天という条件にもかかわらず、この日は思った以上に大勢の観客が訪れ、ゴールともなればフィニッシュ地点は鈴なりの観客だった。
 
しかし、レースを走る側には、あまり良いコースとは言えなかったようだ。いなべの新コースについて、大門監督の意見は厳しかった。
 
「今日のコースはやはり狭くて、1度のアクシデントで2度と復帰できないことがありそうな心配なコースだった。コントロールラインを通過したあとの下りは危ないと思った」
 
「観客が横にいるのはいいが、真向かいにいるのはクルマでも怖い。まっすぐ行ってしまう可能性もあるからだ。フェンスがあっても、突っ込んだらフェンスごと倒してしまう」
 
「日本のレースではみんな運転に慣れていないから怖い。日本のチームではチームカーを運転すること自体が少ない。自分は慣れているが、彼らが何か事故を起こしたら自分だってそこに突っ込む可能性もある。そういう意味で怖かった」
 
「コーナーで危ないところに電柱が立っていたりもした。いいコースだとは思えなかった。今日は100人くらいだったからよかったが、200人のレースになったら、日本のレベルや、いろんなことを考えると危なっかしい。1つのトラブルでせき止められ、チームカーも前に行けなくなってしまう。今日は全体的にラッキーだった」
 
 
■ツアー・オブ・ジャパン 第2ステージ(いなべ)結果
1 ラファー・シティウイ(スカイダイブドバイ/チュニジア)3時間10分06秒
2 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイ/スペイン)+15秒
3 ルカ・ピベルニク(ランプレ・メリダ/スロベニア)+15秒

9 ディディエール・チャパッロ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/コロンビア)+15秒
13 アントニオ・ニーバリ(イタリア)+15秒
52 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+55秒
65 マッティア・ポッツォ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)+1分39秒
67 黒枝士揮(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+1分39秒
72 ニコラス・マリーニ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)+4分34秒
■第2ステージまでの総合成績
1 ラファー・シティウイ(スカイダイブドバイ/チュニジア)3時間13分20秒
2 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイ/スペイン)+20秒
3 アダム・フェラン(ドラパック/オーストラリア)+21秒

12 ディディエール・チャパッロ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/コロンビア)+38秒
13 アントニオ・ニーバリ(イタリア)+41秒
43 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+1分15秒
66 マッティア・ポッツォ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)+1分52秒
69 黒枝士揮(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+2分05秒
71 ニコラス・マリーニ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)+4分48秒
(http://www.toj.co.jp/2015/)