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7月5日に英国のヨークシャー地方で開幕!ツール・ド・フランス 2014

今年も待ちに待った3週間の夏の祭典が始まる。英国で開幕する101回大会を制するのは、果たして誰か?

 

Photo: Graham Watson / Map: ASO

第101回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)が、7月5日に英国北部のヨークシャー地方で開幕する。ツールが英国からスタートするのは、2007年にロンドンで開幕して以来だ。

 

その後、2012年に英国人として初めてブラッドリー・ウィギンス(スカイ)が総合優勝し、昨年はクリストファー・フルーム(スカイ)が2年連続でマイヨ・ジョーヌをもたらした。英国でのツール熱は、さらに高まっている。

 

初日はかつて有名なワンデーレースが開催されていたリーズをスタートし、温泉地で有名なハロゲートでゴールする190kmの平坦区間が行なわれる。そのため今年のツールはタイムトライアリストではなく、スプリンターに最初のマイヨ・ジョーヌを着る栄誉が与えられる。

 

最初のマイヨ・ジョーヌをもっとも渇望しているのは、英国出身のマーク・カヴェンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)だろう。ゴールのハロゲートは、彼の母親の故郷でもある。意外にもカヴェンディッシュは、まだマイヨ・ジョーヌを着たことがない。

 

前半戦最大の呼び物は、英国からフランス本土に渡ったあとに行なわれる、パリ~ルーベで有名な北フランスの石畳を走る第5ステージだ。スタートはベルギーのイープルで、フィリップ国王がスターターをつとめることになっている。

 

ツールの石畳区間と言えば、2010年にはルクセンブルクのフランク・シュレクが落車し、レースを棄権したハプニングがあった。総合優勝を狙う選手たちは事前の試走を行なっているが、何が起こるかわからない要注意ステージになるだろう。

 

今年のツールは時計回りでフランスを巡り、ボージュ山脈、アルプス山脈、ピレネー山脈を越える。最初の山岳ステージは1週目の週末となる7月12日に行なわれる第8ステージで、カテゴリー3のラ・モーズレーヌにゴールする。

 

その2日後は、2012年にフルームが区間優勝し、ウィギンスがマイヨ・ジョーヌを獲得したボージュ山脈のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの頂上ゴールがふたたび登場する。

 

7月15日にブザンソンで最初の休養日を過ごしたあと、2週目の週末にはアルプスでの山岳ステージが2日行なわれる。標高2360メートルで今大会最高峰のイゾアール峠を越え、標高1855メートルのリズール峠にゴールする2日目の第14ステージは勝負どころになるだろう。

 

2度目の休養日直後にスタートするピレネーの山岳区間は3連戦で、アルプスよりも厳しい日が続く。標高1680メートルのサン・ラリー・スーラン山頂にゴールする第17ステージは、ペイルスールド峠とバルルロン峠も越えなければならない。

 

そして山岳最終日でオタカム・ゴール(標高1520メートル)の第18ステージには、標高2115メートルのツールマレー峠も登場する。

 

3週間のレースの総距離は3664km。全21区間の内訳は、平坦ステージが9、丘のステージが5、山岳ステージは6で、そのうち5区間が頂上ゴールだ。

 

タイムトライアルは最終日前日にベルジュラックからペリギューの54kmで行われる個人タイムトライアルだけで、今年はチームタイムトライアルはない。

 

[全日程]

7月5日(土) 第1ステージ リーズ~ハロゲート  190.5km

7月6日(日) 第2ステージ ヨーク~シェフィールド ▲ 201km

7月7日(月) 第3ステージ ケンブリッジ~ロンドン  155km

7月8日(火) 第4ステージ ル・トゥルケ・パリ・プラージュ~リール  163.5km

7月9日(水) 第5ステージ イープル~アランベール ポルト・デュ・エノー ■ 155.5km

7月10日(木) 第6ステージ アラス~ランス  194km

7月11日(金) 第7ステージ エペルネ~ナンシー  234.5km

7月12日(土) 第8ステージ トンブレーヌ~ジェラールメール(ラ・モーズレーヌ) ▲▲▲ 161km

7月13日(日) 第9ステージ ジェラールメール~ミュールーズ ▲▲ 170km

7月14日(月) 第10ステージ ミュールーズ~ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ ▲▲▲▲ 161.5km

7月15日(火) 休養日(ブザンソン)

7月16日(水) 第11ステージ ブザンソン~オヨナ ▲▲ 187.5km

7月17日(木) 第12ステージ ブール・アン・ブレス~サンテチェンヌ ▲ 185.5km

7月18日(金) 第13ステージ サンテチェンヌ~シャンルース ▲▲▲ 197.5km

7月19日(土) 第14ステージ グルノーブル~リズール ▲▲▲▲ 177km

7月20日(日) 第15ステージ タラール~ニーム  222km

7月21日(月) 休養日(カルカッソンヌ)

7月22日(火) 第16ステージ カルカッソンヌ~バニェール・ド・ルション ▲▲▲ 237.5km

7月23日(水) 第17ステージ サン・ゴーダン~サン・ラリー・スーラン(プラ・ダデ) ▲▲▲▲ 124.5km

7月24日(木) 第18ステージ ポー~オタカム ▲▲▲▲ 145.5km

7月25日(金) 第19ステージ モーブルゲ・ペイ・デュ・バル・ダドゥール~ベルジュラック  208.5km

7月26日(土) 第20ステージ ベルジュラック~ペリギュー(個人TT) 54km

7月27日(日) 第21ステージ エブリー~パリ・シャンゼリゼ  137.5km

注目ステージ&おもな峠

[第5ステージ]

*石畳区間

 

 

 

 

 

 

[第8ステージ]

■クロワ・デ・モワナ峠…カテゴリー2(142km地点)/標高891m/全長7.6km/平均6%

■グロス・ピエール峠…カテゴリー2(150km地点)/標高901m/全長3km/平均7.5%/最大16%

■ジェラールメール(ラ・モーズレーヌ)…カテゴリー3(ゴール)/標高859m/全長1.8km/平均10.3%/最大13%

 

[第10ステージ]

■シェブレール峠…カテゴリー1(143.5km地点)/標高914m/全長3.5km/平均9.5%/最大18%

■ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ…カテゴリー1(ゴール)/標高1035m/全長5.9km/平均8.5%/最大20%

 

[第13ステージ]

■パラキ峠…カテゴリー1(152km地点)/標高1154m/全長14.1km/平均6.1%

■シャンルース…カテゴリー超級(ゴール)/標高1730m/全長18.2km/平均7.3%

 

 

 

 

[第14ステージ]

■ロータレ峠…カテゴリー1(82km地点)/標高2058m/全長34km/平均3.9%

■イゾアール峠…カテゴリー超級(132.5km地点)/標高2360m/全長19km/平均6%

*スーベニール・アンリデグランジュ

■リズール…カテゴリー1(ゴール)/標高1855m/全長12.6km/平均6.9%

 

 

[第16ステージ]

■バレ峠……カテゴリー超級(216km)/標高1755m/全長11.7km/平均7.7%

[第17ステージ]

■ポルティヨン峠…カテゴリー1(57.5km地点)/標高1292m/全長8.3km/平均7.1%

■ペイルスールド峠…カテゴリー1(82km地点)/標高1569m/全長13.2km/平均7%

■バルルロン・アゼ峠…カテゴリー1(102.5km地点)/標高1580m/全長7.4km/平均8.3%

■サン・ラリー・スーラン(プラ・ダデ)…カテゴリー超級(ゴール)/標高1680m/全長10.2km/平均8.3%

 

[第18ステージ]

■ツールマレー峠…カテゴリー超級(95.5km)/標高2115m/全長17.1km/平均7.3%

*スーベニール・ジャックゴデ

■オタカム山…カテゴリー超級(ゴール)/標高1520m/全長13.6km/平均7.8%

 

[第20ステージ]

*個人タイムトライアル

マイヨ・ジョーヌは誰の手に?

ツールを3年連続で狙う英国のチームスカイは、ディフェンディングチャンピオンのクリストファー・フルームを単独エースとした布陣を選択した。そこにはすでに、ブラッドリー・ウィギンスの居場所はなかったのだ。

 

昨年はジロ・デ・イタリアで負傷し、早々にツール参加を断念したウィギンスだったが、今年は好調だった。英国人としてツールで初めて総合優勝したウィギンスが、母国スタートのツールに出られなかったのはまったく残念だ。

 

しかし、チームにその選択をさせるほどに、フルームは今年も好調だ。直前のクリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)は、後半戦の落車で総合連覇を逃してしまったが、幸いケガの影響はなさそうだ。

 

フルームの最大のライバルになるのは、5年ぶりの優勝を目指すスペインの王者アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)だ。ドーフィネでは負傷したフルームに容赦なく攻撃を仕掛け、好調ぶりを見せつけた。

 

コンタドールは昨年よりも2kg絞り、調整は万全だ。山岳アシストのロマン・クロイツィーゲルが、バイオロジカル・パスポート問題で参加できなくなってしまったのは痛手だろうが、山岳でスカイ軍団相手にどんな戦いを見せてくれるのか、今から楽しみだ。

 

2大優勝候補に絡んでくる可能性が高いのは、昨年ジロ・デ・イタリアで総合優勝したビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)だろう。1週間前にはイタリア選手権で優勝し、初めてのイタリアチャンピオンジャージが大きな支えになっている。

 

2012年に総合3位でパリの表彰台へ上がったニーバリが、今年マイヨ・ジョーヌを手に入れることができれば、イタリアにとっては1998年に総合優勝したマルコ・パンターニ以来の快挙になる。

 

7月27日に、パリのシャンゼリゼ大通りを凱旋できるチャンピオンは、誰になるのか。今年も熱い3週間がスタートする。

 

●クリストファー・フルーム

国 籍:英国

年 齢:29歳

チーム:チームスカイ

2011年不参加/2012年2位/2013年優勝

 

 

 

 

 

 

●アルベルト・コンタドール

国 籍:スペイン

年 齢:31歳

チーム:ティンコフ・サクソ

2007、2009年総合優勝/2010年優勝剥奪/2013年4位

 

 

 

 

 

●ビンチェンツォ・ニーバリ

国 籍:イタリア

年 齢:29歳

チーム:アスタナ

2012年3位/2013年不参加

 

参加予定選手リスト→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail.php?id=9455

 

[昨年の結果]

1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)83時間56分40秒

2 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+4分20秒

3 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+5分04秒

4 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+6分27秒

5 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ/チェコ)+7分27秒

6 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+11分42秒

7 ヤコブ・フグルサング(アスタナ/デンマーク)+12分17秒

8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+15分26秒

9 ダニエル・ナバロ(コフィディス/スペイン)+15分52秒

10 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+17分39秒

 

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