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安井行生のロードバイク徹底評論 第2回 GURU Photon SL vol.4

670gの超軽量フレームを作る技術を持ちながら、フルオーダーが基本という姿勢を貫くカナディアンブランド、グル。いかにも北米らしいスッキリとした雰囲気をまとうこのブランドは、何を考え、どこを目指して自転車を作るのか。カナダ自社工場の製造工程とフォトンSLのインプレッションを通じて、先鋭と人間臭さが複雑に混じりあうグルの製品哲学に迫る。vol.4。
text●安井行生  photo●我妻英次郎/グル

軽さの秘密は「無駄を省くこと」

また、グルはカーボンの樹脂含有率をできるだけ低く抑えることにも注力しているという。目指す樹脂含有率は30%(繊維と樹脂の比率が70:30)。どんなプリプレグを使っているのか(プリプレグの種類によって樹脂含有率は異なる)、そのためにどんな工夫をしているのかは分からないが、ただペタペタと金型に貼り付けて硬化させるだけではなく、素材レベルからフレームの性能向上を目指しているという姿勢は伝わってくる。
 
このクオリティを目指すがゆえに、他のブランドより価格が高くなってしまうらしい。グルは、樹脂含有率を下げることにそれだけの価値はあると考えているようだ。この樹脂含有率を下げること(応力を担わない樹脂をできるだけ少なくすること)と、緻密なカーボンシートのカット技術(応力を担わない“働かないカーボン繊維”をできるだけ少なくすること)が、軽さの秘密だろう。
 

チューブの接着にも多くのこだわりが

成型された各チューブ(トップチューブ、ヘッドチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ+BBシェル、シートステー、チェーンステー)は、その端面が当たるチューブに合わせてザグりが入れられ、チューブ同士が点ではなく線で接するように加工される。その後、ジオメトリーに合わされた治具にセットされ、エポキシ系の接着剤で接着される。しかしこれは、本接合ではない。溶接フレームでいうところの仮付けのようなもの。
 
それから、各チューブの接合部をパテ状のエポキシモールディングコンパウンドで覆ってしまう。このエポキシモールディングコンパウンドとは、過熱すると非常に硬くなり、かつ削って成形することも簡単な耐熱性のある樹脂だ。
 
硬化したエポキシモールディングコンパウンドは無駄な部分が削られ、チューブ接合部が滑らかになるように整えられていく。なぜ、この非構造部材(応力を受けることのできない素材)であるパテを盛るなどという工程が必要なのか。その答えは、次の工程にある。チューブ接合部にカーボンシートを巻いて本格的に接合し、やっと完全なフレーム体となるわけだが、カーボンシートを巻く前にパテを盛って繋ぎ目を滑らかにしておくことで、カーボンシートが折り曲がらず、繊維の性能を最大限に発揮させることができるのだ。このパテによる重量増は、フレーム1本につき6g程度。
 
パテを盛って滑らかにしたチューブ接合部に接着剤を塗ってUDカーボンシートで覆ったら、フレームはバキュームバッグに入れられ、真空状態にして無駄な樹脂を吸い取りつつ過熱して完全硬化。これでやっとチューブ同士が本接合され、フレームの完成となる。
 
 
 
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