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イタリア現地取材を敢行! コルナゴ・C60詳細速報!

もはや説明不要のバイクメーカー「コルナゴ」。2014年は創業60周年の節目の年となる。勘のいいサイクリストはもう予想がついているだろう。そう「C60」 の登場である!

 

text&photo●ナカジ

ついにそのヴェールを脱いだコルナゴの旗艦

1954年に誕生したコルナゴは今年が60年の節目の年。ということは否が応でも期待するモデルナンバーがあるC60だ。


40周年のときに登場したC40は、数々のロードレースで勝利を重ね、勝てる自転車フレームとして“C”印象づけた。


それ以降、コルナゴの“C”ナンバーは常にトップエンドの。そして勝利を生み出すバイクの代名詞だ。

C60の発表会は、世界各国の自転車メディアをイタリア・ビアレッジョに招いて行なわれた。斜塔で有名なピサの北西にあるリゾート地だ。

 

ラグ+チューブ構造は健在

フレームの構造は、C59と同様にカーボンラグ+カーボンチューブを接着する方法をとっている。

 

これによって、細かいサイズ設定ができる。コルナゴが大切にしている体格にフィットしたフレームサイズをしっかりと選べるようにという良心を感じる部分だ。(写真1枚目:右がC60のシートチューブ、左はC59)

 

ただ、大きく改良されているところも多々ある。まずはチューブ自体だ。


C59では真円の断面形状を持つチューブをメイン三角に使用していたが、C60では四角形の角をつぶした8角形の断面形状を持つチューブに変更。


これは、スチールフレームの名車「マスター」の星形チューブにインスピレーションを得ている。


太さもかなりボリュームアップされている。C59はチューブ径約44mmだったが、C60は66mm×52mmある。


これらの変更により、ペダリングに力を加えたときのねじれをおさえることができるので、パワー伝達効率や反応が向上する。

 
また、ラグをつかった構造の利点の一つとして、それぞれのチューブ、ラグを個別に成型するので、より薄く、かつ内部に余計なバリが発生せずに、薄くて品質の安定したチューブを生産できるというところにある。(写真2枚目:左がC60のBBラグ。右のC59とくらべるといかにボリュームアップされているかがわかる)
 
C59ではダウンチューブ内に、リブが設けられていたが、C60はシンプルなチューブだ。軽量化と快適性の向上を実現した。
 

BBは独自の規格を開発。「スレッドフィット」という。

 

基本的にはプレスフィットタイプになるが、通常のプレスフィットがフレームに直接BBを圧入するのに対して、C60ではネジが切ってあるアルミの筒がフレームに挿入され、それにプレスフィットBBを圧入する。

 

これによって、BB圧入時のフレームへのダメージを軽減できるほか、BBの着脱を容易にし、メンテナンス性を向上させている。

 

リヤエンドはアルミ製。リヤディレーラーハンガーが、フレーム外側に取り付けられているフレームが多いなか、フレームの内側にネジ止めされるように設計されている。

 

落車したときに、ディレーラーハンガーが折れてダメージを吸収することでフレームを守るため、ここは別パーツになっているわけだが、フレーム外側に取り付けられていると、結局ディレーラーハンガーと共にフレームが折れて、ダメージを与えてしまう。それを防ぐための設計変更だ。

 

製造はすべてイタリア。それも本社前の通りを挟んで向かいに立つ、エルネスト・コルナゴの自宅1階部分が工房になっている。そこで、チューブとラグを治具の上で接着して製作している。

 

C59の時は1日に25本程度生産できていたが、C60は工程に手間がかかるので、やや少なくなるだろうと担当者。

 

塗装ももちろんイタリアで!

ここで、作られたフレームは本社から約300km南下したカッシーナというところにあるペイント会社。パマペイントで塗装される。

 

この会社はコルナゴの仕事だけを請け負っている。2013年のツール・ド・フランスで新城幸也が使用した日本チャンピオンスペシャルカラーのフレームも、もちろんここで塗装された。

 

ちなみに、下写真でマスキングテープをはがしているのは、エルネスト・コルナゴ。中央はジロ・デ・イタリア総合優勝経験者パオロ・サヴォルデッリ。右は新城のフレームをペイントしたマテオさんだ。

約55kmを試乗

各部のチューブとそれらをつなぐラグは大径化されているので、基本的な剛性はある。ひとたび走り出せば、“いいバイク”のにおいが感じ取れる。このえもいわれぬ香りを出せるのは、コルナゴが持つ、長年の開発経験のなせる業なのだろう。

 

個人的に最近のトップモデルについて感じていることは、剛性の向上と軽量化の結果、とても機敏なバイクがそろっていると思う反面、全てのユーザーが扱いきれるとは言えないバイクが増えているということだ。

 

つまりは、乗り手の力量が問われるということ。プロ選手やそれに準じる身体能力。もしくは動体視力を持っている人なら、そのフレームの性能を100%引き出すことができる。でも、そうでない人にとっては、フレームの反応がシビアすぎて、付いていかないのではないかと思っている。

 

その点、C60は行き過ぎた進化ではなくて、堅実に、しかし確実なブラッシュアップを図っていると思う。


つきはなすようなシビアさはない。体がつかれてきてラフなペダリングになったとしても、しっかりと受け止めてくれる。フレームはすこし身をよじりながら、でも確実に前へと進んでいく。とてもリズムをつかみやすい。

 

路面の凹凸の大きさによるが、こまかいロードノイズはよく消してくれる。


試乗した日は、あいにくの雨。だが、ばたつきがないのはもちろん、クイック過ぎるということもない、程よいレスポンスのハンドリングのおかげで、滑りやすい下りも安定してコントロールすることができた。


価格&サイズ

 

フレームセット価格/64万5000円(税抜)※DISCモデルは近日発表予定

カラー/12種類

納期/約3ヶ月(受注生産)

 

 

サイズ展開

トラディショナル(ホリゾンタル)サイズ:530、550、570、590,610

スローピングサイズ:420S、450S、480S、500S、520S、540S、560S、580S、600S

 

 

より詳細な内容や写真は3月20日(木)発売のサイクルスポーツ5月号をチェック!





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