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ロード用ハイドロリックディスクブレーキシステム一式

電動変速の登場をはじめ、近年のロードコンポは大きな進化を遂げている。そして、その波はついにブレーキへと押し寄せている。

 

text:吉本 司 photo:山内潤也、SHIMANO

油圧ディスク×電動変速、最強のパッケージが登場

2013年モデルでは少数だがディスクブレーキ搭載のロードバイクも市販され、さらにスラムはロードコンポの最高峰であるレッドに油圧式ディスクブレーキの投入を発表した。こうした新潮流を世界のシマノが静閑するわけもなく、ついにロードコンポ対応の油圧ディスクブレーキシステムを投入してきた。しかも変速は電動式という、同社のアドバンテージを最大限に生かした最強のスペックが与えられている。

 

今回の製品はデュラエース、アルテグラにも属さないコンポ外モデルであり、それは両者の電動コンポとセットで使うことを前提にしている。構成部品はブレーキキャリパー、ディスクローター、オイルライン、前後ハブ、そして11段変速に対応した電動式のSTIレバーとなる。

 

まずブレーキキャリパーは、XTR(BR-M985)などの基本構造を踏襲した対抗2ピストン方式を採用。MTBの構造を受け継ぎつつも、そのブレーキング性能は、従来のリムタイプに近い感覚を得るために、レバーとホース、そしてキャリパーに専用のチューニングを施した。ブレーキのかけ始めの制動力をマイルドに抑え、握り込むにしたがってストッピングパワーが増すようなフィーリングに設計されている。もちろん最適な制動力の演出には、XTRよりも小型化した140mm径のディスクローター(オプションで160mmも用意)も貢献している。

 

MTBよりも速度域が高く、下りの距離も長いロードバイクでは制動時の熱対策はとくに大きな問題となるが、これにはXTRのキャリパーにある冷却フィンによる「アイステックテクノロジー」が大きく貢献。安定したブレーキ性能を提供する。

熱対策と同時に開発で難しかったのがブレーキのブラケット形状。この部分の握りやすさを確保しながら、シリンダーをはじめとする油圧ディスクの構造を組み込むことに苦労したという。そして、ロードライドで常用するブラケットポジションからでも高い制動を発揮できるよう、レバー形状も専用に設計されている。

 

シビアなブレーキ制御のための調整機能も充実しており、パッドとローターの理想的な間隔を維持する、パッドクリアランスオートアジャスト機構、さらにレバーリーチとストロークの調整も搭載する。

 

リヤハブのオーバーロックナット寸法は、左側にディスクローターを装備による最適なホイール剛性を確保するために、一般的なロード用よりも5mm広い135mmに設計。すでに他社で発売されるディスクブレーキ搭載のロードバイクやシクロクロスバイクの規格に対応した形だ。

 

ディスクブレーキホイール

 

WH-RX05(ホワイト)1万3983円

 

WH-RX05(ブラック)1万3148円

 


ロードバイクの次世代標準として期待されるディスクブレーキだが、言うまでもなくシマノの参入によってその動きは加速するだろう。しかも電動変速を搭載した最先端のパッケージは、ライバルに対して大きなアドバンテージを築いている。

吉本 司の試乗インプレッション

シリンダーが装備されるブラケット先端部分の大きさは、スラムなどに比べると小型な印象。設計通りブラケットを握ってもしっかりとレバーを引くことができ、十分な制動力が得られる。標準的な手の大きさのライダーなら操作に不安はないだろう。レバーの引きはワイヤ式とは異なり、一定の力で引ける滑らかな軽さ。機械式に比べてレバータッチに前後で差が少ないのもいいところだ。制動の立ち上がりはリムブレーキよりも若干高い気もするが、怖さはなくコントロールもしやすい。とくに握り込んでじわりと効かせたときのフィーリングに優れていて、ホイールがロックしにくくも、しっかりと止まれる感じが強い。全体的にリムブレーキとフィーリングは若干異なるものの、操作や性能にストレスはなかった。電動変速との組み合わせにより、滑らかなライディングができそうな予感だ。

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