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いよいよ100回記念大会が開幕! ツール・ド・フランス2013

本日、フランス南部のコルシカ島で100回記念大会のツールが開幕。198選手が3週間の旅に出発する

 

Photo: Graham Watson

100回記念大会にはラルプ・デュエズとモン・バントゥが登場!


記念すべき100回記念大会を迎えたツール・ド・フランスが、6月29日に地中海のコルシカ島で開幕する。今年のコースは『ツール100:100%フレンチ』と主催者が銘打った通り、近隣諸国に越境することなく最初から最後までフランス国内で行われる。その開幕の地に選ばれたコルシカ島をツールが訪れるのは史上初めてのことだ。総距離は3404kmで、ステージの内訳は平坦ステージが7、丘の多いステージが5、山岳ステージが6で、そのうち4ステージが頂上ゴール、個人タイムトライアルステージが2、チームタイムトライアルステージが1、休養日が2。カテゴリー2以上の峠は28ヶ所あり、過去3年間で最多となっている。山岳ステージはモン・バントゥ峠とラルプ・デュエズ峠の両方が登場。しかもアルプ・デュエズには史上初めて1日で2回上るレイアウトになっている。

初日はプロローグではなく、ポルト・ベッキオからバスティアまでの213kmで平坦ステージが競われるため、記念すべき100回記念大会最初のマイヨ・ジョーヌはスプリンターが獲得することになりそうだ。しかしその翌日には、標高1163mのビッザボーナ峠を越える中級山岳ステージが設定されている。コルシカ島で3ステージ競ったあと、フランス本土へと渡り、第4ステージはニースで25kmのチームタイムトライアルが行われる。ツールでチームタイムトライアルが行われるのは、2009年大会以来のことだ。

その後、時計回りでフランス南部の海岸線を東から西へと横断し、第1週目の週末には、早くもピレネーに到達する。ピレネー山岳ステージは2日あり、第8ステージは終盤に標高2001mでカテゴリー超級のペレール峠を越えた後、標高1360mでカテゴリー1のアクス・トロワ・ドメーヌ山頂にゴール。第9ステージはアスペット峠、マンテ峠、ペイルスールド峠、バルルロン・アゼット峠、ラ・ウルケット・ダンチザン峠という5つの峠越えがあるが、ゴールは最後の峠を下った先にある。

7月8日は移動を兼ねた休養日となり、レースはフランス北西部へと舞台を移す。そして第11ステージでは世界遺産のモン・サンミシェルで最初の個人タイムトライアル(33km)が競われる。その後、フランス本土を斜めに南下し、厳しいステージが続く終盤へと突入する。その口火を切るのは、死の山の異名を持つ標高1912mのモン・バントゥ峠に挑む第5ステージだ。2週目の週末に行われるこのステージは、242.5kmで今年の最長ステージでもある。

2度目の休養日のあと、舞台はアルプスへと移り、目の離せない5日間がスタートする。第17ステージには2度目の個人タイムトライアルが行われる。距離は32kmで、平均勾配6%の峠を2つ越えるレイアウトだ。その翌日には、100回記念大会で最大のステージとなるラルプ・デュエズ区間が登場。そして息をつくヒマもなくグランドン峠やマドレーヌ峠を越える第19ステージを競ったあと、最終日前日に設定されたのは、ツール初登場となるアヌシー・セムノ峠でゴールする最後の山岳ステージだ。全長10.7kmで平均勾配8.5%のセムノ峠の山頂でマイヨ・ジョーヌを着ていた選手が、記念すべき100回目の勝者になるだろう。

 

【第100回ツール・ド・フランス全行程】

6月29日(土) 第1ステージ ポルト・ベッキオ~バスティア 213km

6月30日(日) 第2ステージ バスティア~アジャクシオ▲▲ 156km

7月1日(月) 第3ステージ アジャクシオ~カルビ▲ 145.5km

7月2日(火) 第4ステージ ニース~ニース(チームTT) 25km

7月3日(水) 第5ステージ カニュ・シュル・メール~マルセイユ 228.5km

7月4日(木) 第6ステージ エク・サン・プロバンス~モンペリエ 176.5km

7月5日(金) 第7ステージ モンペリエ~アルビ▲ 205.5km

7月6日(土) 第8ステージ キャストル~アクス・トロワ・ドメーヌ▲▲▲▲ 195km

7月7日(日) 第9ステージ サンジロン~バニェール・ド・ビゴール▲▲▲ 168.5km

7月8日(月) 休養日 

7月9日(火) 第10ステージ サンジルダス・デ・ボワ~サン・マロ 197km

7月10日(水) 第11ステージ アブランシュ~モン・サンミシェル(個人TT) 33km

7月11日(木) 第12ステージ フジェール~ツール 218km

7月12日(金) 第13ステージ ツール~サンタマン・モントロン 173km

7月13日(土) 第14ステージ サンプールサン・シュル・シウール~リヨン 191km

7月14日(日) 第15ステージ ジボール~モン・バントゥ▲▲▲▲ 242.5km

7月15日(月) 休養日 

7月16日(火) 第16ステージ ベゾン・ラ・ロメーヌ~ガップ▲▲ 168km

7月17日(水) 第17ステージ アンブラン~ショルジュ(個人TT) 32km

7月18日(木) 第18ステージ ガップ~アルプ・デュエズ▲▲▲▲ 172.5km

7月19日(金) 第19ステージ ブール・ドワザン~ル・グラン・ボルナン▲▲▲ 204.5km

7月20日(土) 第20ステージ アヌシー~アヌシー・セムノ▲▲▲▲ 125km

7月21日(日) 第21ステージ ベルサイユ~パリ・シャンゼリゼ 133.5km

 

コンタドール VS フルーム! 激戦を制するのはどっち?!


昨年の覇者ブラッドリー・ウィギンスがヒザのケガでツールに出られなくなったことで、今年はチームスカイの単独エースの座を得た英国のクリストファー・フルームが、100回記念大会総合優勝候補の筆頭に揚げられている。フルームは昨年のツールでウィギンスの山岳アシストをつとめて総合2位になり、今年はツール初優勝を目指して調整をつづけ、直前のクリテリウム・デュ・ドーフィネを制して絶好調だ。山岳でフルームをアシストするのは、今季パリ~ニースを制したオーストラリアのリッチー・ポートだ。28歳のポートは、ひょっとするとスカイで昨年のフルームのような立場になる可能性もある。

フルーム初優勝の野望の前に立ちはだかるのは、グランツールを5度制しているスペインのアルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ)だ。彼はクレンブテロール事件で資格停止処分を受け、昨年のツールには参加できなかったため、2年ぶりの出場となる。昨年コンタドールはブエルタ・ア・エスパーニャでフルームを打ち負かしているが、ツールでの総合対決は今年が初めてになる。今年は山岳アシストにロマン・クロイツィーゲル(チェコ)とニコラス・ローチ(アイルランド)を得て、チーム力でもスカイには引けをとらない。コンタドールとフルームがどんな闘いを見せてくれるのか楽しみだ。

アルベルト・コンタドール(スペイン/30)

●チーム:チームサクソ・ティンコフ

●グランツールの成績:ツール2勝(2007、2009)ジロ1勝(2008)、ブエルタ2勝(2008、2012)

●2013年の成績:ツール・ド・サンルイス区間1勝&総合4位、ツアー・オブ・オマーン総合2位、ティレーノ~アドリアーティコ総合3位、クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合10位

 

クリストファー・フルーム(英国/28)

●チーム:スカイプロサイクリング

●グランツールの成績:ブエルタ総合2位(2011)、ツール総合2位(2012)

●2013年の成績:ツアー・オブ・オマーン総合優勝、ツール・ド・ロマンディ総合優勝、クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合優勝

そのほかの総合優勝候補

カデル・エヴァンス(オーストラリア/36)

●チーム:BMCレーシングチーム

●グランツールの成績:ツール1勝(2011)

●2013年の成績:ジロ総合3位

●今大会に出場するツールウイナーの1人。36歳だがジロで総合3位になった。初出場するチームメートのティージェイ・バンガルデレン(米国)も注目選手だ

 

 

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン/33)

●チーム:モビスターチーム

●グランツールの成績:ブエルタ1勝(2009)

●2013年の成績:ブエルタ・ア・アンダルシア総合優勝、クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合7位

●ナイロ・キンタナ、アンドレイ・アマドールといった未来のチャンピオンを従えてツール初優勝を目指す

 

ライダー・ヘシェダール(カナダ/32歳)

●チーム:ガーミン・シャープ

●グランツールの成績:ジロ1勝(2012)

●2013年の成績:-

●ジロは不調で途中リタイアが、その後のツール・ド・スイスで攻撃的な走りを見せてくれた。スイスでの落車の影響が心配される

 

ホアキン・ロドリゲス(スペイン/34歳)

●チーム:カチューシャ

●グランツールの成績:ジロ総合2位(2012)、ブエルタ総合3位(2012)

●2013年の成績:カタルーニャ一周総合2位

●ツール総合優勝を目指し、今年はジロを欠場。山岳では目が離せない存在になるだろう

 

 

アンディ・シュレク(ルクセンブルク/28)

●チーム:レディオシャック・レオパード

●グランツールの成績:ツール1勝(2010)、総合2位(2011)

●2013年の成績:-

●昨年はケガで欠場し、その後は不振に陥っていたが、ツール・ド・スイスでやっと復活のきざしを見せた。レオパードの名を背負って走る最後のツールで完全復帰してほしい

 

過去10年間のツール・ド・フランス総合優勝者

2003 -

2004 -

2005 -

2006 オスカル・ペレイロ(スペイン/ケスデパーニュ)*

2007 アルベルト・コンタドール(スペイン/ディスカバリーチャンネル)

2008 カルロス・サストレ(スペイン/CSC・サクソバンク)

2009 アルベルト・コンタドール(スペイン/アスタナ)

2010 アンディ・シュレク(ルクセンブルク/サクソバンク)*

2011 カデル・エヴァンス(オーストラリア/BMCレーシングチーム)

2012 ブラッドリー・ウィギンス(英国/スカイプロサイクリング)

(*…2006年と2010年は優勝者がドーピングで失格になり、繰り上げ優勝)

 

サガン、カヴェンディッシュ、グライペルが三つ巴のバトル! マイヨ・ベール争いと初日のマイヨ・ジョーヌ争い


マイヨ・ジョーヌ争いと並んで注目されるのが、スプリンターたちが競うポイント賞のマイヨ・ベール争いだ。昨年はスロバキアのペーテル・サガン(キャノンデール)、英国のマーク・カヴェンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)、ドイツのアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル)がそれぞれ区間3勝したが、マイヨ・ベールを獲得したのはサガンだった。この3人は奇しくも先週末のナショナル選手権で全員が優勝し、ナショナルチャンピオンを着てツールに参加する。カヴェンディッシュは今季、ジロ・デ・イタリアで区間5勝してポイント賞のマリア・ロッサを獲得。サガンもツール・ド・スイスで区間2勝してポイント賞を獲得している。今年のツールは初日にスプリント・ステージが設定されているため、最初のマイヨ・ジョーヌを獲得する運を持ち合わせた選手が、シャンゼリゼ通りでもマイヨ・ベールを着ているかもしれない。
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●参加選手はここでチェック→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail.php?id=6851

 

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