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必ず役立つ自転車特効薬

ロードバイクに乗り始めたときから聞きそびれていた初心者的な疑問。ここではライディングに関する特効薬を、元・ブリヂストン・アンカー(現・YOU CAN八王子店勤務)の村山規英さんに教えてもらった。
text●中村浩一郎/安井行生 photo:永田まさお/佐藤正巳/山内潤也

走りながらできるストレッチの効果

自転車での走行は、ほとんど同じフォームで同じ運動を何千何万回と繰り返すため、一部の筋肉や関節にストレスや疲労がたまってしまいやすい。そのため、ライディングの合間にストレッチを入れることで、疲労を軽減させられる。 「走っている最中は、つりやすい太腿やハムストリングスのストレッチを重点的に行ないます。手軽にできるのはハムストリングスのストレッチですね。片方のかかとを下げるだけでしっかりと伸びます。もちろんペダリングはできなくなるので、緩い下りなど惰性を利用して行ないましょう。ペダルから足を外して行なう太腿のストレッチは、バランスを崩してしまう可能性があるので、初心者にはオススメできません。レース中の選手くらいじゃないとやらないんじゃないかな。体が硬い人は足がサドルに届かないこともあるので、無理はしないでください」 脚がつった場合の対処法は? 「筋肉が一度つってしまったら、走りながら回復させるのは難しい。特にふくらはぎがつってしまうと回復させにくいので危険です。レース中につったら我慢するのみ(笑)。レースでなければ休憩して、無機物よくとることが回復への一番の近道ですね。」
【自転車に乗りながらできるストレッチ】 1.比較的簡単にできる方法:片方のペダルを下げ、かかとを下げてふくらはぎを伸ばす。 2.上級者向け:惰性で走りながら足の甲をサドルに引っかけて太腿を伸ばす。
【自転車を使ってできるストレッチ】 1.サドルに足首をひっかけると、それだけでハムストリングスから太腿の裏側がかなり伸びる。 2.リヤタイヤに足を乗せて腰を沈み込ませると、股関節のストレッチになる。 【そのほかのストレッチ】 1.ふくらはぎを手で上下に動かして軽くほぐし、筋肉に刺激を与えてやる。 2.太腿も同様にほぐす。筋肉を暖めてあげるイメージで。 3.四股(しこ)を踏む姿勢で腰を落とし、上半身をねじりながら肩を下げる。骨盤と肩を同時にストレッチできる。

体幹筋ってどんなもの?どうやって鍛えればいい?

自転車乗りに必須だといわれている体幹筋肉について。 「体幹というのは、拇指球から頭のてっぺんまで1本のラインでつながっているものとイメージしてもらえればいいと思います。そのラインがどこかで崩れてしまうと、体幹はうまく使えません。一般的には、腹斜筋や腹筋の下の筋肉を体幹と呼びます。これらを鍛え、効率よく使えるフォームをとることが大切です」 ジャパンカップオープンで優勝経験もある村山規英さんに、走りながらできるトレーニング法を聞いた。 「まずは緩やかな上り坂を両手放しで上ること。重めのギヤにし、上半身を立てた状態で走り始め、だんだん前傾させていきます。体感がしっかりとしている人は、前傾させても手放しのままでまっすぐ走れるんです。弱い人はそもそも前傾がとれなかったり、蛇行したりしてしまうんですね。前傾させても手放しで走れるようにトレーニングすると、しっかりと体幹を使えるようになります。ただ、これは慣れていないとフラフラしてしまうので、公道を避け、安全な場所でやるようにしましょう。選手などは走りながら腹筋や大臀筋を拳でポンポンとたたいたりもしますね。たたいて筋肉に刺激を与えることで、筋肉を起こし、そこを強く意識することができます。」 【坂道トレーニング】緩やかな坂で重めのギヤにし、手放しのまま徐々に前傾姿勢に。まっすぐ走れればOK。実際にやるとかなり腹筋がキツい。終わったら腹ばいになって上体を反らし、腹筋を伸ばしておくこと。
「片足をペダルから外して片方の脚だけでペダルをこぐ【片足ペダリング】も効果的だと思います。片足ペダリングをやると、左脚だけギクシャクしているなど、左右差がわかります。ただ、これは難度が高く、脚力がないと難しいですね。上級者なら両方ともスムーズに回せるようにトレーニングしましょう」 【片足ペダリング】ビンディングペダルユーザーならチャレンジしてみよう。引き脚を使うため、腹筋部の体幹を鍛えることができる。
家でできる効果的なトレーニング方法について。 「僕がプロ時代にやっていた方法。これをできれば各20回ずつ。簡単に見えますが難度が高く、実際にやってみるとかなりキツいですよ」 【フランス仕込みの腹筋トレーニング】 1.左右のかかと、拇指球、ヒザを付け、脚を軽く曲げる。背中を上げてしまったり、地面に着けたりすると楽になるので、腹筋がキツいと感じる位置をキープ。左右の足をつけることで、腹筋と同時に太腿内側の筋肉を鍛えることができる。足首は反らした状態にキープ。 2..腕を前に伸ばし、手を合わせて太腿の間を往復させるようにして上体を上下させ、腹筋に負荷を与える。
1.腹筋のサイドにある腹斜筋を鍛える。手を合わせて前に突き出し、顔をまっすぐ前に向ける。 2.上体を腹筋に負荷がかかる角度に維持し、腕を伸ばしたまま振り子のように左右に動かす。腹斜筋に負荷がかかっているのがわかるはず。 3.腹筋がキツい状態をキープしたまま、手を合わせた状態から写真の位置まで腕を往復させる。これらもできれば20回行なう。
1.腹筋に負荷をかけたまま、乗ってハンドルを持っている状態をイメージして手を動かす。 2.手を前後に動かし、ハンドルを引きつけるような動作も入れる。 3.最後に腹筋と腕に負荷をかけた状態のまま、頭部だけを上下に動かし、首まわりも鍛える。最初は5回ずつからでもOK。 -->このほか全25のギモンは、サイクルスポーツ2010年12月号に掲載しています。