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RIDLEY IMPRESSION 2011ロードモデル大集合

新たな技術を搭載し、さまざまな個性をそろえたリドレーの2011年モデル。そのなかから「ノア」「ダモクレスISP」「エクスカリバー」そしてTTバイクの「ディーン」と、注目の4車種を一挙試乗した。
text●小林徹夫 photo●小見哲彦

数々の技術を使い分け、ロードバイクの個性を創出するリドレー

リドレーの社長ヨキム・アールツは、石畳や悪天候などで最も過酷なレース環境といわれるベルギープロのためのフレーム製作を志し、会社を設立。その後のF・ポッツァートやチームカチューシャの活躍に貢献することになる。 エッジチュービングなどさまざまな技術で改良を続け、勝利を収めてきた同社バイクの2011年モデルは高い完成度を誇る。たとえばエアロダイナミクスを追求したTTのスペシャルマシン「ディーン」。あらゆる場面での扱いやすさと、高速巡航性を発揮するオールラウンダーの「ノア」。2009年のイタリアチャンピオン、F・ポッツァートが使用する「ダモクレスISP」など、個性豊かで多くのライダーのニーズに応えるラインナップをそろえている。 リドレーの技術に目を向ければ、そこには大きな進化がある。たとえば空気抵抗を少なく設計したバイクでは、全面投影面積を少なくした形状からどうしても縦剛性が上がってしまい、乗り心地の面は速く走るために犠牲にされてきたともいえる。それに対し、いかに乗り心地を犠牲にせず、空気抵抗を軽減させるかという理想を実現させたのが、オーバル・コンセプト社との共同開発による「Rフローテクノロジー」だった。 フロントフォークとシートステーに設けられたスリットはホイールが回転するときに発生する乱気流による抵抗を7.5%軽減(Rフロージェットフォイル)、さらにヘッドチューブ、ダウンチューブ、シートチューブに塗られた微粒子の塗装技術(Rサーファス)により層流(硬い表面上における気体のなめらかな流れ)を増加させ、空気抵抗を4%減少する。 フレームジオメトリーはフィッティングマシンをリリースするバイクフィッティングドットコム社とリドレーのノウハウを融合させて製作している。 こうした数々の技術を各モデルの目的に応じて使い分けることで、ロードバイクに不可欠な個性を創出している。完璧なフレーム製作のために力を惜しまないからこそ、フロントフォークの安定性、ボトムブラケットの硬さ、フレームの剛性に関する乗り味など、さまざまな要望に応えるハイレベルなバイク作りができるわけだ。

NOAH ノア

価格 35万7000円(フレームセット) デザイン的にはパワーロスを極限までなくしたTTモデルのようだが、走り出してみるとその印象はがらりと変化する。踏み出しが軽いとか剛性感がすごいというよりも、総合的な完成度の高さを感じさせるバイクで、ひと言で言えば「高速巡航が気持ちいい」。誰にでも感じやすい剛性感を際立たせるような作り方ではなく、純粋に走ることに集中できるモデルだと感じる。剛性感は十分にあるが、硬いバイクではなく、パワーをそのまま後輪に伝えるといった印象ではない。もちろんロスしているという意味ではなく、ムダなく推進力に変えているが、その方法はこれまでと違って各部の微妙なフレームのしなりが全身のパワーをうまく推進力に変換している感じで、体への負担が少なく感じる。とくに時速40km前後のスピード域では、力むことなくポジションを安定させたまま気持ちよく脚を回すことができるのは、ノアの特徴といえる。具体的に感じることが難しいが、フォークやシートステーのスリット、微粒子のテープ(Rサーファス)などの効果もあるのかもしれない。

DAMOCLES ISP ダモクレスISP

価格 22万500円(フレームセット) F・ポッツァートに好んで使われたことからもその性格がうかがい知れるが、踏み込めばそのパワーに応じた鋭い反応を見せてくれる。このバイクもノア同様にハンガー部は確かにしっかりしているが、ガチガチのバイクではないのがおもしろい。フロントフォークも上下異経のヘッドチューブほどには硬くない印象で、荒れた路面では先端がわずかに振動しているのが見て取れる。しかし弱いかと言われればまったく不安定感がないのは、その形状とクラウン部分からヘッドにかけてのボリュームが効果的なのだろう。ペダリングは軽く、剛性感の高いバイクにありがちな一気に加速したあとの重さも感じない。

EXCALIBUR エクスカリバー

価格  22万500円(フレームセット) 大経のダウンチューブと、下ワンの大きな上下異経ヘッドチューブにより剛性が確保されていることで、軽量バイクであるにもかかわらず安定感のあるハンドリング。踏み出しの軽さが印象的で、軽量で剛性感のあるホイールをはけば、上りがさらに楽しくなりそうだ。大経ヘッドの剛性は中速域からの加速や緩い上りで踏んでいくような場面で軽量フレームを意識させない強さがあり、ダウンヒルや高速コーナーでも気持ちよくライントレースできる。バック剛性も横から見た頼りなさは感じない。それでいて荒れた路面でスムーズに振動を吸収してくれるのは、横方向に扁平加工された「フレキシブルシートステー」のおかげだろう。

DEAN ディーン

価格 37万8000円(フレームセット) これまでのTTバイクといえばビッグギアを高回転させるためにどうしても前輪荷重が大きくなってしまっていた。しかし、ディーンのジオメトリーは体がバイクの中心に位置するように設計されており、高い安定感によってコーナーでのタイムロスを最低限に治めてくれる。ステアリングはいい気に切り込むような不安定な挙動がないので、ブレーキングが必要ないコーナーであれば、体勢を変えることなく入っていけるのだ。90mmと短いヘッドチューブなので、当然クラウチングポジションはきついが、ヒジをハンドルに乗せた状態での安定感は高く、スピードが出るほどに直進性が上がっていくことを体感できる。一定出力で回しやすい安定感の高いバイクだ。

問い合わせ先

ジェイピースポーツグループ
072-686-3838
http://www.ridley-japan.com/