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ツール・ド・フランス2011序盤戦ハイライト

7月2日に開幕した今年のツールはチームガーミン・サーベロが大活躍! チームTTで獲得したマイヨ・ジョーヌをヒュースホーウトが6日間守っている
Foto: Graham Watson/Slipstream Sports

チームガーミン・サーベロが4度目の参加でツール初優勝!

今年のツール・ド・フランスは、初日にベルギーチャンピオンのフィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット)が区間優勝して念願のマイヨ・ジョーヌを獲得したが、主役は翌日のチームタイムトライアルであっさり入れ替わった。並みいる強豪チームを退けて初優勝したのは、米国のチームガーミン・サーベロ。トップ選手がそろったチームであるにもかかわらず、これまでツールでは区間優勝したことがなかったアーガイル艦隊ガーミンだったが、今年はサーベロと合併し、チームガーミン・サーベロとして挑んだ4度目の調整でついに手にした勝利だった。表彰台でチームマネージャーのジョナサン・ボータースは選手たちに抱え上げられ、夢にまで見た勝利の瞬間を味わっていた。 しかもチームガーミン・サーベロは、第1ステージで区間3位に入っていた世界チャンピオンのトール・ヒュースホーウトが、チームタイムトライアルの快走でマイヨ・ジョーヌを獲得。チームにとっては2重の喜びになった。カデル・エバンズ(BMCレーシング)とのタイムはたった1秒だったが、その後のステージで常にトップ10でゴールしたヒュースホーウトは、6日間総合首位の座を守りきり、マイヨ・ジョーヌを着て中央山塊にたどり着いている。しかしスプリンターのヒュースホーウトは、第8ステージでマイヨ・ジョーヌを守るつもりはないと公言。この後はふたたびアルカンシエル姿に戻り、目標の区間優勝を目指すだろう。

ファーラーが亡き友ウェイラントに捧げた区間優勝

米国独立記念日に行われた第3ステージでは、マイヨ・ジョーヌのヒュースホーウトに先導されたタイラー・ファーラーが、集団ゴールスプリントを制して初区間優勝を上げ、チームガーミン・サーベロは2日連続で成功を収めた。ファーラーは、ジロ・デ・イタリアの第3ステージの落車で帰らぬ人となったベルギーのウォートル・ウェイラントとは親友だった。彼はジロにも参加していたが、事故の翌日にレオパード・トレックの選手たちと追悼パレードを走った後、レースを去っていた。「これはウォートルのものだ。失ったものは大きい。辛い数ヶ月だった。でもツールでよく走って、彼の思い出のために何かがしたかった。それができてとてもうれしいよ」と、ファーラーは優勝インタビューで語った。彼はゴールスプリントの直後に、両手でウェイラントのイニシャルであるWの文字を作り、その区間優勝を捧げている。

コンタドールがまさかの落車で初日から遅れる波乱の総合争い

1週間の日程を終え、いよいよ週末には中央山塊での山岳ステージがスタートするが、総合争いは相次ぐ落車事故で波乱の展開になっている。第1ステージではゴールまで残り9km地点で、マクシム・イグリンスキー(アスタナ)が沿道の観客にぶつかって落車する大事故があり、集団が2つに分断。総合優勝候補の筆頭であるアルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード)が後方集団に取り残されてしまい、初日から1分20秒遅れになってしまった。しかも皮肉なことに、コンタドールはこの日最大のライバルであるアンディ・シュレク(レオパード・トレック)と同じ集団でゴールしたが、シュレクはゴール手前3kmの落車に巻き込まれて遅れていたため、3kmルールが適用されてメイン集団と同じタイムが与えられた。この結果、コンタドールはいきなりシュレクに1分14秒遅れで今年のツールをスタートすることになってしまったのだ。 しかし、落車で負傷しなかったコンタドールは、むしろ幸運だったと言えるだろう。今年のツールでは、ビッグネームの落車と負傷が相次いでいるからだ。とりわけ不運に見舞われているのは米国のチームレディオシャックで、第5ステージでは期待の若手エースだったヤネシュ・ブライコビッチが落車で脳震盪を起こし、鎖骨も骨折して途中棄権。ツール・ド・スイスで総合優勝して、絶好調だったリーバイ・ライフェイマーは第5、第6、第7ステージと3日連続で落車に巻き込まれ遅れてしまい、総合争いで大きく後退してしまった。39歳のクリストファー・ホーナーは、第7ステージの落車で鼻を骨折。脳震盪も起こし、この日は12分以上遅れてゴールしている。ホーナーと一緒に落車したブラッドリー・ウィギンスは、左の鎖骨骨折を骨折してリタイア。総合優勝の夢は消えてしまった。