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ブエルタ・ア・エスパーニャ2011

灼熱のブエルタ・ア・エスパーニャがいよいよ今週末に開幕する。スキル・シマノの土井雪広が日本人として初参加し、今までにない盛り上がりを見せそうだ
Foto&Map: Unipublic

伝説のアングリル峠が登場する山岳色の強いコース

3大ツアーのトリをつとめるブエルタは、昨年よりも1週間早い8月20日に南部バレンシア州のベニドルムで開幕する。今年も昨年同様に個人タイムトライアルは1区間で、4日目から登場する山岳ステージが3週間の行程のほぼ半数である10区間を占め、上りゴールが6区間も設定されているクライマー向けのレイアウトだ。 初日は昨年同様、顔見せを兼ねたチームタイムトライアル(13.5km)が行われる。今年の個人タイムトライアルは終盤に設定されていた昨年よりも1週間早く、最初の休養日の前日、第10ステージで登場。サラマンカが舞台の個人タイムトライアルの距離は47kmで、コースは平坦だ。今年のブエルタは和平の証しとして、33年ぶりで北東部のバスク地方を通過するが、第17ステージがかろうじて標高515mのペーニャ・カバルガ峠にゴールするだけで、バスクが舞台になる終盤戦には厳しい山岳ステージは設定されていない。今年は難関ステージが中盤に集中しているのが特徴だ。しかし、まずは第4ステージでいきなり登場する標高2126mのシエラ・ネバダ峠ゴールが、総合争いを占う最初の脚試しになるだろう。 2度目の週末から始まる中盤戦は、難関ステージが目白押しだ。第9ステージでは、標高1970mのラ・コバティリャ峠にゴール。翌日には個人タイムトライアルを競い、休養日をはさんた第11ステージでは、標高1760mのエスタシオン・デ・モンタニャ・マンサネダにゴールする。しかし、何と言っても注目すべきは、世界でもっとも過酷だと評される標高1557mのアングリル峠にゴールする第15ステージだ。その前日にも、標高1715mのラゴス・デ・ソミエド峠ゴールに挑まなければならず、この2日間が総合を争う選手にとっては正念場になる。伝説のアングリル峠にゴールしたときには、首都マドリードで赤いリーダージャージ “ラ・ロハ” を着る勝者は決まっているだろう。今年のクリスタル製優勝トロフィーは、マドリード生まれのファッションデザイナー、アガタ・ルイス・デラプラダがデザインを担当している。 【ブエルタ各賞ジャージ】 ●個人総合成績(赤) ●ポイント賞(緑) ●山岳賞(白地に青玉) ●コンビネーション賞(白)

総合争いは混戦? ニバリの連覇を阻む新チャンピオンは?!

昨年のブエルタを制したのはイタリアのヴィンチェンツォ・ニバリ(リクィガス・キャノンデール/26歳)。第17ステージの個人タイムトライアルで獲得したリーダージャージを、最終日前日の、ボラ・デル・ムンド峠ゴールの山岳区間でも守り切り、グランツール初優勝を果たした。今季ニバリは地元のジロ・デ・イタリアで総合3位になっている。「マドリードでの素晴らしい祝福の思い出が甦ってくる。スペインにはもう一度勝つために戻るつもりだ」と、ニバリは連覇を宣言している。「アングリルは知らないが、チームメートのヴァレリオ・アニョーリが、モルティローロやゾンコランよりも厳しいと教えてくれた。つまり、ボクが今までに走ったことがない、最難関の峠ということだ。でも、ボクは心配していない。みんながそこを上らなければならないんだから、みんなにとって過酷だからさ」昨年ニバリと僅差で総合争いを演じた地元スペインのエセキエル・モスケラ(バカンソレイユ・DCM)は、大会終了直後にマスキング剤で陽性になり、1年近く経った現在もスペイン車連が懲戒手続きのための調査を行っている関係で、今年のブエルタには参加できなかった。総合3位でマドリードの表彰台に上がったスロバキアのペーター・ヴェリトス(HTC・ハイロード)も残念ながら今大会には不参加で、昨年のトップ3ではニバリだけが参加する予定だ。 昨年総合4位だったホアキン・ロドリゲス(カチューシャチーム/32歳)は、今年は総合優勝を目指している。ロドリゲスは今年のツール・ド・フランスには参加しなかったが、8月上旬にブルゴス一周で総合優勝して絶好調だ。「ブルゴスの前も後も、ボクはアンドラでトレーニングしていた。ブエルタのコース下見はそんなにしていない。もうほとんどのコースを知ってるからね。エル・エスコリアル(第8ステージ)は見に行ったが、あれは高い山岳よりもキツい。開幕からベストコンディションで望む必要がある。最初の山岳は第4ステージのシエラ・ネバダで、すぐにあるからだ。しかも最終週にはあまり山岳がない。アングリル峠の山頂でリーダージャージを獲得した選手に、マドリードで総合優勝するチャンスがあるだろう。だが、あの区間の後で回復するのは大変だろう…」しかし、ロドリゲスの最大の課題は、昨年リーダージャージを失った個人タイムトライアルになるだろう。 昨年のリベンジを狙っている選手はもう一人いる。第14ステージで落車に巻き込まれ、リーダージャージを着たまま棄権したイゴール・アントン(エウスカルテルテ・エウスカディ/28歳)だ。ブエルタ主催者は今年33年ぶりでコースにバスク地方が復活したことを祝い、バスク人選手がリーダージャージを着てくれるシナリオを望んでいるが、アントンはそれに適役だ。今季彼はジロでゾンコラン区間を制している。「ジロでは区間優勝が目標で、総合成績では一切プレッシャーがなかった。けれどブエルタでは正反対で、総合優勝のプレッシャーがある。2ヶ月間、準備に集中してきたから、ベニドルムでスタートするのが楽しみだ。レースがどうなるかは事前にはまったくわからない。それはボクが去年学んだことでもあるが、チャンスを失ったことはふり返らない。ただ、落車を避けるために集中し続けなければならないのはわかってる。去年のように好調なスタートを切りたいね」 地元スペイン勢の他にも、ニバリの連覇を阻む可能性を秘めた選手はまだいる。今年のツールで、序盤の落車の犠牲になったヤネズ・ブライコヴィッチ(チームレディオシャック)、ブラッドリー・ウィギンス(チームスカイ)、ユルフン・ヴァンデンブロック(オメガファルマ・ロット)だ。彼らからも今年のブエルタでは目が離せないだろう。

スキル・シマノの土井雪広がブエルタに初参加!

日本のレースファンにとって何よりうれしいのは、オランダのスキル・シマノに所属する土井雪広が、今年のブエルタに日本人として初挑戦することだ。彼にとっても今大会は、初のグランツール出場となる。土井は今季、4月にベルギーで開催されたブラバンツペイルで落車し、膝蓋骨を骨折してしまった。このケガでヨーロッパのレースには3ヶ月間出場できなかったが、土井はシーズン後半戦復帰を目指してトレーニングを続け、7月中旬にベルギーのツール・ド・ワロニーで復帰。8月上旬にはロドリゲスが総合優勝した山岳ステージレースのブルゴス一周で、区間9位に入る活躍を見せ、晴れてブエルタの参加メンバーに選出された。土井は山形県出身。不屈の闘志で復活を果たし、グランツール出場という夢を叶えた彼の熱い走りは、大震災からの復興を歩む日本にたくさんの希望と力と笑顔を与えてくれるにちがいない。そして日本のファンの熱い声援は、彼が過酷な3週間のブエルタを走り切る原動力になるはずだ!

ブエルタ参加を目前に控えた土井雪広選手が日本のファンにスペシャル・メッセージをくれました!

「日本のサイクリングファンの方へ! ヨーロッパに来て7年。追いかけてきたグランツアーのスタートにたつ夢が叶います。これは僕だけの夢では無く、両親を始め、僕を支えてきて下さった方全員の夢だと思います。やんちゃすぎた20代前半からやってきたことはけっして平坦な道のりでは無かったですが、やった分だけきちんと返ってきたのは確かです。そういう意味でも日本の皆さんに夢をお裾分け出来たのではないかと思っています。グランツールに出場する夢を叶えた今、次の目標は飛び抜けたパフォーマンスで日本で見ている方たちを泣かせることでしょう!(笑) 期待して見ていて下さい! 3週間皆さんの分もしっかり楽しませていただきます! そして、最初の10日間を終えた時点での僕の黒さにも注目です!(笑) ではでは3週間共に楽しみましょう! 応援よろしくお願いします!」   *  *  *  *  *  *   土井選手のツイッター:@YukihiroDoi 公式ブログ:http://blog.yukihirodoi.jp/blog/ スキル・シマノ公式サイト:http://www.1t4i.com/

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