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英国人ウィギンス初優勝! パリ~ニース2012

英国人としてツール・ド・フランス初制覇を目指すウィギンスが、フランスのパリ~ニースで初優勝を飾った。第2ステージで首位に立った彼のライバルとして名乗りを上げたのは、意外な選手だった…
Photo: Graham Watson

トム・シンプソン以来の英国人パリ~ニース優勝者

ヨーロッパで最初のUCIワールドツアーだったパリ~ニースは、英国チャンピオンのブラッドリー・ウィギンス(スカイ)が総合優勝し、母国に45年ぶりの勝利をもたらした。45年前にパリ~ニースで優勝したのは有名なトム・シンプソンで、ウィギンスが子供の頃に憧れたヒーローだった。TTスペシャリストであるウィギンスは、第1ステージの個人TTで、スウェーデンのグスタフ・ラーション(バカンソレイユ・DCM)にたった1秒差で負け、2位で今年のレースをスタートした。しかし彼は、その翌日に動いた。寒風が吹き荒れた第2ステージは、横風の影響でレース中盤に集団が分裂。ウィギンスは第1集団に入ると、自ら先頭を牽いてライバルたちを蹴落とすことに成功したのだ。この日ウィギンスがいた21人の第1集団は、メイン集団に2分半の差を付けてゴール。総合争いは第2ステージで早くも絞り込まれてしまった。

総合のライバルとして頭角をあらわしたウェストラ

今年の最難関ステージはマンドのラ・クロワ・ヌーブ(カテゴリー1)山頂にゴールする第5ステージ。3kmつづいたこの登坂で、総合を争う先頭グループからゴール手前500メートルでアタックしたのはオランダのリューウェ・ウェストラ(バカンソレイユ・DCM)だった。瞬く間に差を広げたウエストラは、アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)やウィギンスらに6秒差を付け、最後は胸のスポンサーロゴを両手で誇示し、ゴールラインを通過した。この区間優勝で総合6位から2位にジャンプアップしたウェストラは、ウィギンスにたった6秒差で最終日の山岳個人TTを迎えた。全長9.6kmで平均勾配4.7%のコル・デーズ峠にゴールする個人TTで、先にゴールしたウェストラは19分14秒で区間トップに立ち、ウィギンスの到着を待った。しかし31歳のベテランは落ち着いていた。彼はウェストラよりもたった2秒速い19分12秒でゴールラインを通過し、パリ~ニースのマイヨ・ジョーヌを死守したのだ。

総合優勝したウィギンスのコメント

「オリンピックのトラック競技ファイナルのプレッシャーとは比べ物にもならないよ。むしろ楽しむこともできる。自分の能力に自信があったし、1週間ずっと先頭にいて、ミスもしなかった。今日はパーフェクトな走りだった。自転車競技の歴史は知っている。パリ~ニースの優勝者リストで、トム・シンプソンにつづいて2人目の英国人になることは、ボクにはとても意味がある。ボクはパリ~ニースとドーフィネの優勝者リストに載った。残りはあと1つさ。パリ~ニースは踏み台だと言ったけど、けっして軽視しているわけではない。けれどボクは今、7月に向けて前進をつづけなければならない。ランス・アームストロングが最近ボクに、7月のためにたくさんのエネルギーを費やしてはいけないと警告した。それはたしかに長い道程だ…」

第70回パリ~ニース(UCIワールドツアー)最終成績

1 ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)28時間12分16秒 2 リューウェ・ウェストラ(バカンソレイユ・DCM/オランダ)+8秒 3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+1分10秒 4 シモン・スピラク(カチューシャチーム/スロベニア)+1分24秒 5 ティージェイ・バンガルデレン(BMCレーシングチーム/米国)+1分54秒 6 アルノー・ジャネソン(FDJ・ビッグマット/フランス)+2分13秒 6 マクシム・モンフォール(レディオシャック・ニッサン/ベルギー)+2分21秒 8 シルバン・シャバネル(オメガファルマ・クイックステップ/フランス)+2分42秒 9 ロベルト・キーゼルロブスキー(アスタナ/クロアチア)+3分30秒 10 アンヘル・ビシオソ(カチューシャチーム/スペイン)+3分59秒 [各賞] ■ポイント賞:ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国) ■山岳賞  :フレデリク・ブーヒェレン(バカンソレイユ・DCM/ベルギー) ■新人賞  :ティージェイ・バンガルデレン(BMCレーシングチーム/米国) ■チーム成績:バカンソレイユ・DCM(オランダ) [各ステージの優勝者] 第1ステージ:グスタフ・ラーション(バカンソレイユ・DCM/スウェーデン) 第2ステージ:トム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ/ベルギー) 第3ステージ:アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン) 第4ステージ:ジャンニ・ミールスマン(ロット・ベリソル/ベルギー) 第5ステージ:リューウェ・ウェストラ(バカンソレイユ・DCM/オランダ) 第6ステージ:ルイスレオン・サンチェス(ラボバンク/スペイン) 第7ステージ:トーマス・ドヘント(バカンソレイユ・DCM/ベルギー) 第8ステージ:ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)