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しなりのバランスが気持ちいい!ラピエール・ゼリウス EFI 400 FDJCP

1946年にフランスはブルゴーニュ地方のディジョンで創業した歴史ある自転車ブランド「ラピエール」。ロードレースの世界では2002年から地元フランスチームであるフランセーズ・デ・ジュ(現 FDJ)にバイクの供給を続けている。2012年ツール・ド・フランスでも活躍した「ゼリウス EFI」のセカンドグレードとなる400にナカジが試乗した。

text::中島丈博 photo:佐藤正巳

フランスのプロチーム FDJ レプリカモデル

昨シーズンで印象的な勝利といえば、ツール・ド・フランスの第8ステージにおける、ティポー・ピノの逃げ切り優勝だろう。必死に逃げるピノ。チームカーから大声で激を飛ばすマルク・マディオ監督。フィニッシュ後の喜びようはなんとも感動的だった。そのときに使っていたフレームが、この「ゼリウス EFI」である。

 

4種類の完成車が用意されるなかで、試乗したのはセカンドグレードとなる400というモデルだ。コンポーネントにシマノ・アルテグラ、ホイールはマヴィック・キシリウムエリートが装着され、このままで十分な戦闘力を備えたパーツチョイスとなっている。フレーム設計を詳しく見てみると、前作に比べてヘッドチューブの横剛性は20%、BBのねじれ剛性は10%アップ。リヤトライアングルも7%ねじれ剛性をアップさせてある。これらをトータルで調整することにより、適度にしなり、それが推進力に効率的に変わるようになっているのだ。 また、F1のフランスグランプリが開催されていたマニクール・サーキットにある風洞実験施設を使い、エアロダイナミクスも追求されているという。

 

使用されているカーボンシートはF40という40tクラスのカーボンで自社オリジナル設計。フレームはこのシートを使用したモノコック構造となるが、今までのモノコックフレームよりもバランスよくしなりを発揮するようになっている。

ラピエール・ゼリウス EFI 400 FDJCP

シマノ・アルテグラ完成車価格 47万1450円

 

フレーム:カーボン

フォーク:カーボン

コンポーネント:シマノ・アルテグラ

ホイール:マヴィック・キシリウムエリート

タイヤ:前輪 マヴィック・イクシオン プロ グリップリンク  後輪 マヴィック・イクシオン プロ パワーリンク

ハンドルバー:リッチー・コンプ ロジックカーブ コンパクトハンドル

ステム:リッチー・WCS C260ステム WET BK

サドル:フィジーク・アンタレス

シートポスト:リッチー・プロシートピラー 2ボルト WET BK

試乗車実測重量:7.18kg(Sサイズ、ペダルなし)

サイズ:XS、S、M、L

カラー:FDJ ビック・マットチームレプリカ

 

■写真下・左:今まではイーストンのEC90フォークを採用していたが、このフォークは自社で開発されたもの。フレームとのトータルバランスが、より高いレベルで突き詰められている。

 

■写真下・中:ヘッドチューブは下ワンが1-1/4インチを採用し、上下異径となっている。風洞実験の結果を踏まえ、エアロダイナミクスを考慮した前方向にとがった形状となっている。

 

■写真下・右:車名にもあるEFIテクノロジーは、フレームトップ側を柔らかく、ダウン側で剛性を出し、そこにパワーをロスしないしなりを発揮するカーボン積層設計の総称。同社の高い開発力を表している。

■写真下・左:トップチューブは前側1/4ほどのところに段差がある。これは、ここまでがパワーを受け止めるべく剛性を重視したパートであることの表れだ。見た目のアクセントにもなっている。

 

■写真下・右BBはプレスフィットタイプを採用。横方向だけでなく、前後方向にもしなりを発揮し、ペダリングのパワーをよりムダなくフレームに伝えられるよう設計されている。

 

■最新のフラッグシップモデルらしく、コンポーネントは機械式、電動式の両方に対応している。完成車で購入し、ゆくゆくは電動コンポーネントに載せ替えるのも容易だ。

CYCLE SPORTS.jp編集長・ナカジの試乗インプレッション

トップ側がコンフォートな性格を、ダウン側でパワーを受け止めるべく剛性を高く、風洞実験でエアロダイナミクスも追求と、時代の流れにのっとった設計を持つフレーム。 だが、いかにもエアロロードというこてこての外観ではない。見た目でエアロな部分といえば、ヘッドチューブくらいなもの。トップ側がコンフォートという作りだが、そこにはひと工夫加えられている。トップチューブの前側には段差があり、さもヘッドチューブから続く大きなラグのように見えなくもない。個性的なデザインで好感がもてる。ダウンチューブ側はかなりしっかりしている。PF86を採用したBBと相まって、踏みごたえは抜群だ。

 

おもしろいのは、モノコックフレームなのに剛性を前面に押し出したフレームではない「しなり」を持っているところ。「踏みごたえが抜群」と書いておきながら矛盾しているように思えるかもしれないが、「しなってもどかしい!」と「硬すぎる!」という感覚の中間にうまく仕上げられていると思う。ギヤをかけていっても、脚が回しやすい感覚があるし、上りでもフレームに力をスポイルされるような感覚はない。踏めばカンッと響くような硬さが好きな人にはもの足りないかもしれないが、個人的には好きなフィーリングだ。

 

ちなみに完成車のフレームはプロが使っているものより乗り味をマイルドにしてあるという。本当にツールを闘う選手と同じフレームを使いこなす自信があるなら、フレーム売りの購入をお勧めする。

 

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