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デュラエース 9070 Di2をシマノレーシング畑中&青柳とナカジがテスト!

第2世代に突入したデュラエースDi2。7970系と比べて、何が進化しているのか? 9000系機械式とはどう違うのか? さまざまな疑問と期待を胸に、サイクルスポーツ3月号では、12月とは思えない温暖な宮古島でシマノレーシングの畑中選手、青柳選手と試乗を行なった。ここでは、その後ナカジが使い、トータルで450km走った段階での印象を書き加えたレポートをお届けする。

text::中島丈博、photo:山内潤也

試乗ライダー3人のプロフィール

・畑中勇介(左写真) シマノレーシングキャプテン兼エースをつとめる27歳。2010、2011年Jプロツアー総合優勝。2012年のジャパンカップでは9位に入っている。身長175cm、体重65kg

 

・青柳憲輝(中央写真) 法政大学から、2011年シマノレーシングへ加入。その年のJプロツアーでは新人賞を獲得した期待の若手。2012年はオランダで1シーズンを過ごした。23歳、身長174cm、体重64kg

 

・本誌・ナカジ(右写真) 本誌で「ロードバイクインプレッション」など、ニューモデルの試乗記事を担当している。7970系デュラエースDi2の愛用者。29歳、身長170cm、体重62kg

後発ゆえの苦悩

何をするにしても、後発のものというのは不利なることが多い。先に登場している商品が優秀であればあるほどだ。たとえそれが同じメーカーから登場する商品だとしても同じことがいえる。

 

2012年の秋に試乗した9000系機械式デュラエースの操作性は、まさに衝撃的という言葉がぴったりの仕上がりだった。驚くほど少ない力で操作することができるシフトとブレーキ。その操作フィーリングもまたすばらしいものだった。自転車のコンポーネントが、次の世代に移ったのを目の当たりにした気分。これほどの完成度を誇るコンポーネントであれば、ショップではさぞや注文が殺到しているのだろうと思っていた。

 

ところが、いざショップに聞いてみると、「Di2待ち」のユーザーがかなりいるとのこと。確かに、非常に完成度の高い9000系を見れば、そのDi2バージョンがどれだけすばらしいのか、期待せずにはいられないだろう。いやが上にも期待が高まる9070系の試乗に、シマノレーシングの畑中、青柳両選手と出かけた。この2人ですら、製品版の9070系に触れるのは、この日が初めてということだった。

自然に進化することの偉大さ

走り出した最初の変速タッチは、正直そこまで感動的な革新を感じるものではなかった。大幅なサイズ変更を行なっていないブラケットは、それだけ完成度が高いということだろう。シフトスイッチのストロークもほぼ同じように感じた。

 

畑中選手は「ブラケット形状が7970系と非常に近いので、コンポをのせかえるときに、ポジションを調整し直さなくていいのはありがたいですね。7800系から7900系の時はそれが大変でした。シフトスイッチが大きくなって新しいシフトポジション(本誌コラム参照)ができたのもいいですね。」と好印象だった。

 

相変わらず素早くて正確なディレーラーの動きはさすがDi2。リヤスプロケットの歯数が11枚になったところでそれは変わらない。少しではあるが変速ショックが小さくなったように感じた。フッ素コートの新型チェーンの恩恵だろう。

多段変速の恩恵はいかに?

つづいて、多段変速機能を試してみる。シフトスイッチを押しっぱなしにすると半拍おいてから、リヤディレーラーが強力に変速してく。

 

レース中、機械式のころから多段変速をよく使っていたという青柳選手は「レースのペースがあがった場面では使わないけれど、集団のペースが落ち着いているときには、地形やペースにあわせて多段変速は有効だと思う。」と語る。

 

逆に畑中選手は「7970系Di2でシフトスイッチを連打することに慣れてしまっているので、多段変速を自分で多用することはないと思う。でも青柳のように使いたい人もいるわけで、ユーザーに対してより多くの選択肢を提供できるようになったということですね。あとは、自分の好みに合わせて選べば大丈夫。」

 

選手が使っている姿を見ると、あらためて変速パワーの強さを思い知らされる。プロが平地でぐいぐいダンシングしながら変速操作をしても、それに負けじと変速していく。 個人的に思うのは、多段変速の恩恵は選手よりも、むしろわれわれのような素人にある。常に先を読んで変速しているプロとは違い、場当たり的に変速するわれわれは、ロングライドなどで疲れ果てて、峠の頂上をクリアしたときに一気にシフトアップ。上りの途中で急に斜度が変わって一気にシフトダウンが必要になったりしたときに、まちがいなく威力を発揮してくれるだろう。とりあえずスイッチを押すだけでいいのだ。

9000系ブレーキとの組み合わせでストレスフリーに磨きがかかった

また、非常にタッチの軽くなった9000系ブレーキと組み合わせることで、非力な人でも使いやすいコンポーネントとして、より磨きがかかったといえる。個人的にはここがいちばん大きなポイントではないかと思っている。7970系では変速操作に必要な力が非常に少なくなった。9000系ではそれに加えて、ブレーキ操作に必要な力も少なくなったのだ。長い下りや、手がかじかむような寒さの中でも、より安全に確実にバイクを操作できるようになったといえるからだ。

 

人間の“慣れ”は恐ろしいもので、大きな進化があるにもかかわらず、それに順応してしまい、さも当たり前のような感覚にすぐなってしまう。9070系に慣れた頃に、あらためて7970系を触ると顕著に感じた。もちろん7970系がダメということはない、ただその先を知ってしまったら、アドバンテージであることを認めざるをえない。

 

少し気になるところを挙げさせてもらうなら、リヤスプロケットが11枚になった分、変速調整はややシビアになったと思うことだ。変速自体はスパスパ決まるのだが、音鳴りを解消しようと思うと、自分の技術では時間がかかってしまった。 それと、とても細かいことだが、ジャンクションAがステムの下になったこと。自分はバイクを移動するときにステムをよく握るのだが、そのときに持ちづらくなった。プロチームは取り付け箇所をアレンジすることが多いので、どこに取り付けているのか注目したい。

手の中に、未来がある

9070系もうひとつの魅力。それは拡張性の高さだ。サテライトスイッチはもちろんだが、パソコンとつなぐことにより、セッティングやエラーチェックができる。これは、9070系をベースとして、ソフトのアップデートでより使いやすいコンポーネントへと、進化していく可能性があるといえるのだ。これは電動コンポーネントにしかない魅力。すでにアルテグラDi2では、ファームウエアのアップデートのみで10速の多段変速にカスタマイズできる。 9070系が次世代コンポーネントのベースとなる。非常に大きな可能性を秘めていると感じた。

 

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シマノ デュラエース 9070 Di2 世界最速テスト!

現行モデル、6770アルテグラDi2多段変速に対応